時速5ナノメートルだぜ。原子100個のレーシングカーが怒涛の36時間耐久レース

時速5ナノメートルだぜ。原子100個のレーシングカーが怒涛の36時間耐久レース

どんな感じに動くんだろう…?

フランス・トゥールーズでもうすぐ開催されようとしているレースがあります。地球上でこれまで開催されたどんなレースともスケールが異なるこのレース、なんとナノレベルの競争となっています。世界中の研究者チームが集い、100個以下の原子によって作られた"レースカー"によって競うとのことですが、速度はなんと時速5ナノメートルほど。これがどれくらいの速さかというと、1マイル(約1.6km)の距離をこのナノカーに走らせると3,700万年かかってしまいます。

NanoCarRaceが公開した紹介動画。

フランス国立科学研究センターによって主催されているこのレースは「NanoCar Race」(ナノカー・レース)と名付けられています。名前を聞いただけで目が細ーくなってしまいそうです。レースを行なうのは、極限まで磨かれた金の円盤の上に作られた100ナノメートルのトラック。またナノレベルでは少しの運動でも原子に大きく影響するので、なるべく静止するようにトラックは-270℃まで冷却されています。

一瞬頭の中で、トラックの観客席にミジンコが並んでいるところを妄想してしまいましたが、小さいミジンコでも体長0.2ミリほど。これは20万ナノメートルに値するので、もしもミジンコがレース会場に現れたら、ゴジラどころか巨大すぎて何が現れたのかわからないレベルです。当然、参加チームは肉眼でレースを見ることはできませんので、国立科学研究センターがカスタマイズした走査型トンネル顕微鏡を使って観察・操縦を行なうとのこと。そして、開始から36時間後に一番長い距離を移動していたチームが優勝となります。

なお環境上の制約から、レースに参加できるのは4チームのみとなっているそうです。参加申請があったのはフランス、スイス、ドイツ、オーストリア、アメリカ、そして日本だったそうですが、今のところ最終参加チームは発表されていないようです。

NanoCar Race

サイズは原子100個以下でないといけないものの、それぞれのチームが理想だと考えるデザインを作ることが許されています。小さい風車のようなデザインから実際に4つのタイヤがついているような車型のデザインなど、さまざまなものが予想されています。

もちろん、どのナノカーにもエンジンは搭載されていません。原動力は電子顕微鏡のスキャン先端部を通して送られる電子です。これをそれぞれのチームがどう活用してナノカーを動かすのかがポイントとなっているんですね。ただスケールが小さいだけでなく速度も恐ろしく遅いですから、かなり忍耐力が必要なレースとなりそうです。F1レースのように、首を右に左に降りながら見るレースにはならないわけですね。ただ、送られる電子によってナノカーが破壊される可能性もあるということですから、F1レースのような激しいアクシデントが見られるかもしれません。

このレースは、コンセプトとしても面白いですが、ナノカーという分野は実は注目の先端分野でもあるわけです。近い将来、我々の体内をこういった極小の移動物体が薬を載せて移動するようになるかもしれません。自動車レースが自動車業界全体の技術力の向上につながったのと同様に、ナノカーレースのおかげで医療分野が発展するかもしれないわけですね。

NanoCar Raceは4月28日(現地時間)にレース開始です。当日はライブ配信も行なうそうですよ!

世界初、血管の中を泳ぐお魚ロボット「ナノフィッシュ」

image: NanoCarRace - YouTube
source: NanoCarsRace via New Atlas, NanoCarRace - YouTube

Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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