安価な端末向け「Android Go」も!
開催中のGoogle I/O、初日のキーノートではAndroidの次期バージョンについてさまざまなことがわかりました。呼び名は引き続き「Android O」、年内の正式リリースまではこの名前です。
このOSはAndroidとして8番目のバージョン(Android 8.0)で、3月に公開されたデベロッパープレビューですでにわかっていることもありましたが、今回のGoogle I/Oで発覚した良さげな機能もたくさんありました。以下、見ていきましょう!
まずは基本から
Android O、β版がもうダウンロード可能になりました。とはいえあくまでβってことで安定してないので、すぐ試してみたい人でもメインの端末では使わないほうがいいと思われます。
Androidの今回のアップデートのほとんどは、操作性をより良くするための細かな変更です。一番わかりやすいのは設定アプリで、最上位のオプションが少なくなったり、バッテリー使用状況などのインターフェースが微妙に変わったりしました。「Androidにはメニューが多すぎて」っていう不満もこれでちょっと解消しそうです。
もうひとつ大きいのは「ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)モード」が追加されたことです。PIPモードでは、画面のすみっこでYouTubeなどの動画を見ながら、メールやSMSといった別のアプリを動かすことができます。Samsung(サムスン)のGalaxyデバイスのマルチウィンドウと同じような感じですが、Android Oではパソコンのような感覚でウィンドウのサイズの変更もできます。

Android Oでは、通知ももっと便利になります。まずアプリアイコン上に「通知ドット」が表示され、そこを長押しすると通知内容をホーム画面で確認できます。つまり、通知からアプリを立ち上げたり、画面の上から通知メニューを引っ張り出したりする必要がないんです。
さらにAndroid Oでは、あふれる通知を「通知チャンネル」でよりきめ細かく管理できるようになります。これまでの通知はアプリごとに管理されていましたが、Android Oではたとえば、ニュースアプリの中でもテクノロジー系ニュースだけを受け取る通知を設定したり、Gmailの通知を全部まとめたり、さらにそれらの通知方法を細かく制御したりできます。

それから「アダプティブ・アイコン」によって各端末に合わせたアイコンデザインを適用できたり、「Wi-Fi Aware」ではネット接続がなくてもWi-Fi経由でファイルを転送できたり、「Autofill API」を使えば住所や電話番号といった決まった情報を素早く入力できたりします(Chromeですでにできているような感じで)。
最後に、最大にして一番目立たないであろうアップデートは、バックグラウンドでアプリが実行できることに制限ができて、バッテリーの持ちを改善できることです。Android Nougatでも制限はかかっていたんですが、Google(グーグル)はそれをもう一歩進めました。
セキュリティサービス
セキュリティ維持のため、端末やその中のアプリを定期的にスキャンする「Google Play Protect」も発表されました。これはAndroid Oにデフォルトで付いてくるサービスです。
GoogleのAndroid担当プロダクトマネジメントディレクター、Stephanie Saad Cuthbertson氏はGoogle I/Oのキーノートで、Googleはすでに機械学習を使って毎日10億台以上の端末、500億件以上のアプリを毎日スキャンしてマルウェアの拡散防止に務めていることを明かしました。Google Play Protectによって、ユーザーはAndroidによって端末が守られていることを確認できるようになります。
安価な端末用OS「Android Go」
インドやブラジル、インドネシアといった新興国を視野に入れた安価な端末用OS「Android Go」も発表されました。これは端的に言うと、メモリが1GB以下の端末でも動くAndroidということです。
Android Goは低スペックの端末でも動かせるように、重い処理とかアニメーションは排除されます。また新興国では、データ通信料金や接続が切れ切れになることも大きな障害のひとつです。Googleはこの問題に対し、画面上部のメニューで引き出せるデータ管理用のクイック設定を作りました。またユーザーがプリペイドのデータ通信料を使いすぎることを防ぐため、通信キャリアが使えるAPIもできました。
また、Googleのアプリもデータ通信に関してひと工夫入ります。Webの表示を簡略化するChromeのデータセーバー機能がデフォルトでオンになり、またこの機能によってどれだけデータ通信量を抑えられたかも表示されます。
さらにYouTubeアプリもAndroid Go向けに最適化された「YouTube Go」になります。こちらは昨年にその存在が公開されていました。YouTube Goでは動画全部を読み込む前にプレビューが見られたり、オフライン視聴用に動画を保存できたりもします。
Google Assistantは、Androidだけのものではなくなります

今回のGoogle I/Oで最大の発表のひとつが、人工知能(AI)アシスタント「Google Assistant」がiPhoneでも使えるようになること。iOS向けのGoogle Assistantアプリは、まずはアメリカ向けにリリースされ、日本では後日リリースされるとのことです。
・「Google Assistant」がiPhoneにやってくる!
Android Autoは加速

「Android Auto」とは、AndroidデバイスをAndroid Auto対応の車に接続し、車のタッチパネルからマップアプリや音楽アプリを操作する機能。
2015年3月の立ち上がり以降それほどケアされていなかったんですが、今回Android Oのおかげでいくつか変わったところがあり、起動もアプリ間の切り替えもより素早くなりました。そして通知などもよりまとめて表示されるので、運転中にドックに置いた端末を使うのも楽になります。
またGoogleの公式ブログによると、AudiやVolvoは今後、車両にAndroid OSを採用するそうです。The Vergeによれば、これはAndroid Autoではなく、車のより基本的なハードウェアの機能もコントロールする「車用のAndroid」が搭載される、ということです。たとえばエアコンやシート位置の調整なども車載のAndroid経由で可能になるそう。とはいえ、さすがにブレーキを踏むといった、車のもっとも基本的な部分まではカバーしない模様です。
Android Wearは基本変わらず

ちょっと寂しいんですが、Android Wearに関するアップデートは今回見られませんでした。Android Wear 2.0が今年2月にリリースされたばかりなので、その次バージョンは今まさに作ってるところなんでしょうね。しかもAndroid Wearの普及もゆっくりなので、アップデートされなかったことを気にする人もあんまりいなさそうです。
・Google Photos新機能。被写体認識、写真共有でもっと便利に(そしてもっと恐ろしく?)
・スマートスピーカーの「Google Home」年内に日本上陸へ! Spotifyにも対応です(追記あり)
image: Justin Sullivan / Getty Images News / ゲッティ イメージズ, Google Developers - YouTube, Gizmodo US 1, 2, 3
source: Google I/O 2017, Google Developers - YouTube, The Keyword | Google, The Verge
Michael Nunez - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)