内容はさておき「超予算オーバーな映画」13選

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    内容はさておき「超予算オーバーな映画」13選

    こちらは2015年11月22日に公開されたコタク・ジャパンの記事の再掲載です。

    映画を宣伝するときに、それが大作であればあるほど「製作費○○億円!」といったアピールが入るものです。しかし、低予算でも面白い映画はたくさんありますし、製作費がバカ高いからといって良い映画とは限りません。

    中には、監督がこだわりすぎてしまったために悲惨な事故が続いて撮影が延び、途方もない製作費がかかってしまった......なんて理由で超予算オーバーしてしまったケースもあります。これは映画の内容とは関係がなく、良い作品だからといって、そのような事態に陥らないとは限りません。

    そこで今回は、io9がまとめた「内容はさておき超予算オーバーな映画」をご紹介します。なお、一部ネタバレがありますのでご注意ください。

    ■『カットスロート・アイランド』(1995年)

    こちらはOcpCommunicationsによる動画。

    超予算オーバー映画といえばこれ。また、マシュー・モディーンが最終的にショー役を引き受ける前に、トム・クルーズやキアヌ・リーブスをはじめ、10人以上の俳優がオファーを蹴ったという逸話も本作にはあります。

    プロダクションの遅れがバジェットを膨らませただけでなく、実物大の動くガリオン船を破壊するなど、セットの費用が莫大でした。

    さらにレニー・ハーリン監督が「俳優自らスタントをするべき」と主張したため、未公開映像が量産されることに。そして、ハーリン監督と口論したことが原因で、チーフカメラオペレーターが解雇され、それをきっかけに半数以上のクルーが現場を去りました。

    そして、本作の不幸は監督の無茶なプランだけではありませんでした。例えば、セットのパイプが壊れて汚水が俳優たちが泳ぐはずだったタンクの中に流れ込むというアクシデントに見舞われたのです。そういったことが原因で、監督はプロダクションを遂行させるために、ポケットマネーから100万ドル(約1億円以上)を出すことになりました。

    当然、製作会社が無傷でいられるはずもなく、10年以上に渡って成功を収めてきたカロルコ・ピクチャーズ(『ランボー』シリーズや『T2』などを製作)は倒産してしまいました(『ショー・ガール』の失敗も原因の1つ)。

    また、『カットスロート・アイランド』は興行収入との差が半端なく、1割程度しか回収できなかったことでギネスに「最も興行赤字が大きい映画」と記載されている予算オーバー映画界のトップです。

    ■『Horror of Party Beach』(1964年)

    こちらはMedia Graveyardによる動画。

    ドライブインシアターで人気を博した、デル・テニー監督白黒映画の『Horror of Party Beach』(日本未公開)。

    本作は、撮影中に起こったバイクの玉突き事故が主な原因で、2万ドル(約220万円)以上の予算オーバーになったと言われています。しかも、知らせを受けた警察までもが撮影現場へ向かう途中で事故に遭うという、不運が連続した作品。

    これが原因で、デル・テニー監督はコネチカット州のスタンフォード市警から「二度とこの地域で撮影しないように」と言い渡されてしまいます。

    本作に登場するモンスターの姿は目玉の飛び出した半魚人で、アップには耐えられない情けないもの。映画の仕上がりに満足できず、このままでは配給されないだろうと考えたテニー監督は、「配給会社に認めてもらうには映画から気をそらさなくては!」と考えました。

    そこで彼は、人を雇ってモンスターのコスチューム姿でトイレに待機させ、20世紀フォックスで配給向けスクリーニングが行われている最中にババーンと登場させるという、「半体験型上映会」を実行。これが大ウケし、映画はめでたく配給されることになりました。

    ちなみに、映画の最終的な予算は12万ドル(約1,300万円)。今数字を見ると大したことないようにも思えますが、1964年にこのクオリティーで2万ドルの超過というのは凄まじいことでした。

    ■『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993年)

    こちらはONEDASHONEによる動画。

    関わった人のほとんどから罵倒されている作品。

    本作は撮影が開始した後にも、脚本の書き換えが繰り返されました。脚本家と監督(ロッキー・モートンとアナベル・ヤンケン夫婦)は、トーンの方向性に関して言い争っていたそうです。

    さらにカオスな撮影スケジュールは予定よりも5週間延長され、予算が足りなくなる中、どうにか映画を終わらせる必要があり、本来ならばマリオがブルックリン橋をよじ登ってボム兵をクッパの喉にブチ込み、爆発前に蹴ってメデタシメデタシというラストだったのが、クッパが溶けて消えるというものに変更されました。

    さんざんな内容だったにも関わらず、50億円という巨額の製作費に驚きます。

    ■『フランケンシュタインの花嫁』(1935年)

    こちらはMovieclipsによる動画。

    撮影初日から問題だらけだった本作。複数のキャストの怪我や頑固な監督、フランケンシュタイン博士を演じたコリン・クライヴのアルコール中毒なんてのは序の口で、その他にも山のような災害に見舞われました。

    怪物役のボリス・カーロフによると

    オープニングで自分は防寒のためにと衣装の下にラバースーツを着たんだ。だけどそのスーツの中に空気が入ってしまったんだろう。池の中に入ったらひっくり返って、足が水から放り出される形になってしまった。そこからはプカプカと浮かぶだけでね、自分もみんなも腹を抱えて笑ったよ。最終的に僕はボートのフックで釣り上げられて、沈むように空気を抜いてもらったんだ。

    なんてこともあったそうです。

    この日、カーロフは臀部を骨折。コリン・クライヴも撮影中に足を折ってしまいます。

    また、監督のジェームズ・ホエールはオーストラリア人俳優がハーミット役を演じられるようになるまで、10日間も撮影を中断させ、最終的な予算は今の金額にするとおよそ900万ドル(約10億円)と言われています。

    ■『ジョーズ』(1975年)

    こちらはMovieclips Trailer Vaultによる動画。

    名作サメ映画の舞台裏は悲惨そのものでした。大西洋での撮影が原因でカメラは濡れ、プロップは塩でダメになり、予算が倍以上になったのです。

    スティーブン・スピルバーグ監督とプロデューサー陣は、上手く動かなかったアニマトロニクスのサメと、俳優が乗船したままの沈みかかったオルカ号の修理に莫大な費用をかけなくてはなりませんでした。

    さらに、同作の脚本家であるカール・ゴッドリーブは、撮影中にボートのプロペラによって危うく首をはねられるところだったと明かしており、一歩間違えば重大な事故を起こしかねなかったのです。

    主な撮影期間は55日を予定していましたが、これが大幅に延びて159日という結果に。ユニバーサルはこれ以上の資金援助はでき無いと切り捨てたため、スピルバーグ監督は、ポケットマネーから3,000ドル(約33万円)を出して、フーパーがベン・ガードナーの目を見開いた遺体を発見するというシーンを撮影しました。

    ■『ファイナルファンタジー』(2001年)

    こちらはZbolt2による動画。

    ゲームがもとになっている本作の制作費は1億3700万ドル(およそ157億円)。これは当初予定していた予算7000万ドルの倍でした。

    フルCGアニメーションでの主人公アキのヘアーは6万本。これをレンダリングするとなると、1秒の絵で36時間もかかったのです。

    アキの声はミン・ナが担当しており、彼女は同じく高予算映画として知られる『ストリートファイター』の春麗の声も演じています。

    ■『塔の上のラプンツェル』(2010年)

    こちらはDisney Movie Trailersによる動画。

    本作は公開までに6年もかかり、製作費は驚きの2億6000万ドル(約270億円)

    よりヒットした『アナと雪の女王』の製作費は1億5000万ドル(約160億円)なので、どれぐらい高かったのかがわかります。

    数年にわたるツールの変更や脚本の変更によって制作期間が延び、その間に携わっていたスタッフの人件費がかさんで、ディズニーの中で2番目に制作費の高い映画になってしまいました。

    ■『エバン・オールマイティ』(2003年)

    こちらはFilmTeaserによる動画。

    『ブルース・オールマイティ』の続編で、全米初登場1位を記録。日本公開も控えていたにも関わらず、スタジオの意向で急遽日本公開中止になったことで話題にもなった作品。

    本作は1億7500万ドル(当時で約213億円)も費やした、最も高額なコメディ映画の1つですが、興行収入的には失敗に終わりました。

    また、動物権利団体のPETAから、エキゾチックアニマルを登場させたことが問題だとして抗議されただけでなく、複数のイスラム教徒のグループから、宗教をテーマにしたコメディは許されないと、禁止する要求があったそうです。

    さらには、監督のトム・シャドヤックがプロダクションの二酸化炭素排出量を増やさないという公約を立てたため、クルーは自転車で現場まで来ることを余儀なくされ、何千本という木を植え、ハビタット・フォー・ヒューマニティのためにセットを再利用したこともあり、予算が跳ね上がったのです。

    ■『ローン・レンジャー』(2013年)

    こちらはMovieclips Trailersによる動画。

    『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに代わるものとして製作された作品。

    スタジオは、これが『パイレーツ6』だったら...と想定して7000万ドル(約78億円)の予算を組みましたが、ゴア・ヴァービンスキー監督が最終的に使ったのは2億1500万ドル(約240億円)

    予算の問題で脚本にあった狼男や悪魔といった超常現象は撮影中に却下され、砂嵐が原因で撮影が延び、アクションシーンがカットされました。

    ヴァービンスキー監督とプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは自分たちへの支払いをカット。そのようなギリギリの状況にも関わらず、ニューメキシコ南部に特別に作らせた線路(撮影後にすぐさま撤去)にカスタムメイドの機関車を走らせる計画だけは絶対に妥協したくないとこだわり続けました。

    しかし、そんな最新の方法で細部が再現された機関車は観客の心をそこまで動かせず、興行収入は2億5000万ドルほど。良かったことと言えば、監督がこだわり抜いた機関車がTrainsマガジンで脚光をあびたことかもしれません。

    ■『ジョン・カーター』(2012年)

    こちらはDisney Movie Trailersによる動画。

    開発段階でロバート・ロドリゲスとジョン・ファヴローの監督2名が現場を去り、最終的にピクサーの『ファインディング・ニモ』や『ウォーリー』のアンドリュー・スタントンが初の実写映画に挑戦することになりました。

    スタントン監督は、ほぼ全ての既存映像を撮り直し、異なる4つのVFXスタジオに2000のビジュアル・エフェクトを担当させ、最終的に2億5000万ドル(約280億円)を使いました。

    エドガー・ライス・バローズの『火星のプリンセス』が原作となっていますが、ディズニーは火星絡みの映画が苦手なのか、後の『少年マイロの火星冒険記3D』でも失敗。こちらも史上最も大きな損失を出した映画の1つとして有名です。

    ■『ウォーターワールド』(1995年)

    こちらはMovieclips Trailer Vaultによる動画。

    ユニバーサルは『ロビン・フット』や『モアイの謎』のケビン・コスナーとケヴィン・レイノルズのペアの4作目『ウォーターワールド』に元々1億ドル(約111億円)の予算を用意していました。

    しかし、最終的には7500万ドル(約83億円)オーバーしています。本作はハワイ沖のセットで撮影され、プロダクションのスタッフはジェットスキーで現場に通う日々。海が荒れると撮影は延期しなくてはならなく、1日で25万ドル(約2800万円)の損失があったとか。

    さらに、問題はそれだけではありませんでした。予算のほとんどは、ケビン・コスナーの高い理想へ到達させるために使われたのです。マーク・アイシャムが作曲したオリジナルの曲は「民族的で冷たすぎる」という理由で却下され、クレジットはされていないものの、ジョス・ウィードンが7週間にも渡ってジェットスキーでセットに通い、脚本を書き直したとのこと。

    コスナーの本作に対するこだわりは強く、近づいてくるスコールに突っ込んでいくトライマランヨットのマストの先に、自分の体を縛り付けるという体当たりな演技も見せました。

    ■『グリーン・ランタン』(2011年)

    こちらはmoviemaniacsDEによる動画。

    元々ロバート・スミゲル脚本でジャック・ブラック主演のコメディ路線になるはずでしたが、最終的に、マーティン・キャンベル監督がライアン・レイノルズで真面目なテイストの作品を製作しました。

    ちょっぴり癖のあるヒーロー、ハル・ジョーダンはあれよあれよという間にグリーン・ランタンとなり、悪者の生物学者ヘクター・ハモンドと対決します。

    2億ドル(約222億円)の予算を使い、1300ものビジュアル・エフェクトとCGの衣装で頑張りましたが、興行収入は赤にならなかった程度という結果でした。

    ■『バロン』(1989年)

    こちらはDanios12345による動画。

    お騒がせ監督テリー・ギリアムの自称失敗作で傑作

    予定されていた予算は2350万ドルだったのが、大幅にオーバーして4663万ドル(約52億円)になったと言われていますが、ギリアム監督はこれを否定。『バンディットQ』の特典DVDで、確かに予算を超えたものの、4000万ドル(約45億円)程度だったとコメントしています。

    また、1000万円以上の予算の削減や、製作にゴーサインを出した当時のコロンビアの社長が解雇されたことに加え、彼と交わした全ての契約が口約束でしかなかったとも言われている作品です。後任のドーン・スティール社長は「デヴィット・パットナムが何を言ったか知ら無いけれど、興味無いから」と切り捨てたのだとか。

    予算面の問題だけでなく、撮影期間中に数々のアクシデントに見舞われ大混乱を極めた作品でもあり、出演当時9歳だったサラ・ポーリーは、2007年にAICNで『バロン』についてこんな風に話しています。

    少なくとも幾つかの傷は残りました。とにかくとても危険だったんです。私のすぐそばで多くの爆発が起こりました。子供だったから、危険であろうとなかろうとトラウマになるくらい怖かったです。冷たい水の中で長時間震えたり、延々と撮影が続いたり......。物理的に危険でしたね。

    ***

    何が起こるかわからない映画撮影。今後上記を超えるような、驚きの予算を使いすぎてしまう作品は出てくるのでしょうか。

    好きだというとちょっと残念な目で見られる映画21選

    image: ©Disney via YouTube
    source: io9, YouTube(12345678910111213), AICN

    中川真知子