赤ちゃん恐竜の化石が新種認定される
image: Nature Communications

赤ちゃん恐竜の化石が新種認定される

ティラノサウルスだと思われていた赤ちゃん、実は新種でした。

1990年代にナショナルジオグラフィック誌(National Geographic)の表紙を飾った有名な恐竜の赤ちゃんがいました。白亜紀後期の恐竜の卵に入った赤ちゃんの化石です。これまで、この恐竜の詳しい種類は明らかになっていませんでしたが、時を経て新種の巨大なオビラプトロサウルス類だということがわかりました。成体は1,130kgにもなり、これまで地球に生息した鳥に似た恐竜のなかでも最大クラスで、巣はトラックのタイヤほどの大きさなんだそうです。

Nature Communicationsに発表された研究によると、90年代に中国・河南省で良好な保存状態で発見された「ベビー・ルイ(Baby Louie)」という卵に入った赤ちゃん恐竜の化石が新種として認定されたとのこと。今回新種として認定された恐竜は「Beibeilong sinensis(中国語で赤ちゃんドラゴン)」と呼ばれ、約8万9000年〜1億年前に生息していました。

中国、カナダ、スロバキアの共同チームは、この卵と赤ちゃんの胚を研究し、類似する恐竜の種と比較することによって新種であるという結論に至りました。この化石の詳細な研究は、米国の企業が所有していた化石が中国に返還されたことでやっと最近可能になったとのこと。

これまで中国の河南省は恐竜の卵の宝庫だと言われてきました。ところが90年代にこの地で大量に発見された恐竜の卵は、世界中に売られてしまったのです。当時の中国政府はこれらの価値ある化石の輸出を阻止するのに大変苦労したようです。

今回新種として認定された恐竜の赤ちゃんの化石は、元々Stone Companyという会社が入手したもので、1996年5月のナショナルジオグラフィック誌の表紙を飾ったことをきっかけに一躍世界中の注目を浴びました。また、「ベビー・ルイ」という名前は化石を撮影したフォトグラファーLouis Psihoyosにちなんでいます。2001年、アメリカのインディアナポリス子供博物館はベビー・ルイを中国に返還するためにStone Companyから入手し、展示しました。交渉は10年以上行なわれ、2013年にやっと中国の河南博物館のコレクションとなったのです。

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新種であることが判明した胚の化石。濃いグレーの部分は卵の殻

ベビー・ルイが入っていた卵は全長45cm(赤ちゃんだけでも38cm)、重さは5kgと、これまでに発見された卵の化石では1番大きなものです。元々は2〜3mの大きさの巣の中に24個ほど入っていた卵のうちのひとつで、以前の研究に基づくと、孵化すれば1,100kg以上もの体重の恐竜に育っていたとのことです。

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卵と胚の化石から再現した図

また、骨を分析したところ、この赤ちゃん恐竜は孵化途中に亡くなっていたことが判りました。さらに、これまでに見られなかった巨大なオビラプトルの一種であることも判明したのです。研究者たちは成体の化石を発見していないため、12の近縁種と比較分析することで、体長8m、体重およそ3tにまで成長すると予想しています。共同研究チームのダーラ・ゼレニツキー(Darla Zelenitsky)さんはこう話しています。

こんなにたくさんの卵を産む恐竜が一体どの種だったのかというのは長年の謎でした。河南省ではティラノサウルスのような獣脚類の化石がたくさん見つかっているため、最初は獣脚類の卵でティラノサウルスなのではないかと考えられていたのです。しかし骨格を調べたところ、巨大なオビラプトロサウルス類だということがわかりました。3tもの巨大な恐竜が巣を作って卵を温めている光景はすごかったでしょう。

化石から全ての情報を知ることは不可能ですが、いちどにたくさんの卵が産みつけられるのは、略奪や捕食の対象から一匹でも多く生き残らせるためだと考えられています。これまでの記録は乏しいものの、アジアや北米でこの卵の化石が非常に多く発見されていることから、ベビー・ルイのような巨大な種の恐竜が当時広く存在していたということになりますね。

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image: Nature Communications
source: Nature Communications, National Geographic, Phys.org, Nature

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(岩田リョウコ)

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