すべての恒星はもともと双子だった? 連星誕生ミステリーが新研究で明らかに
Image: Bill Saxton, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NRAO/AUI/NSF

すべての恒星はもともと双子だった? 連星誕生ミステリーが新研究で明らかに

すべての星は双子だったのかもしれない。

太陽系のすぐそばにあるケンタウルス座α星系は3つの恒星からなる三重連星です。そのうちの一つのプロキシマ・ケンタウリの周りには地球に非常に近い惑星プロキシマbがあることでも注目されていますね。実はケンタウルス座α星系のように二重連星、三重連星と、兄弟星(伴星)を持つ恒星は数多く存在しており、天文学者たちはなぜ連星が存在するのかを長年探し求めていました

どのようにして双子、三つ子の星々が生まれるのか? 一つの恒星の引力圏内に片方の星が捕まるのか? 逆に双子の星が分離することがあるのか?など多くの疑問が天文学者たちを悩ませてきたんです。

ところがUCバークレーの理論物理学者Steven Stahlerとハーバード大学のスミソニアン天体物理観測所の電波天文学者Sarah Sadavoyによる、すべての恒星が双子の星として誕生するという研究が発表され、連星の謎を解く第一歩が踏み出されたようです。研究結果は、2017年4月にarXivに投稿され、その後、天文科学雑誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyでの掲載が認められています。

そもそもどのように新しい恒星は誕生するのでしょうか?

天文学者たちは長年、冷たい水素分子で構成されている巨大なガス雲の中の、高密度コアと呼ばれる卵型の繭の中で新星は誕生すると考えてきたそう。そのガス雲は光学望遠鏡を通すと、きらびやかな星々の間にぽっかりと空いた穴のように見えます。なぜならガスに付随するチリが、後ろの星や、中で生まれる星の光を遮ってしまうから。しかし冷たいチリの粒子は電波を発しているので電波望遠鏡を使えば観測できます。

すべての恒星はもともと双子だった? 連星誕生ミステリーが新研究で明らかに2
Image: FORS Team, 8.2-meter VLT Antu, ESO
分子雲「Barnard 68」。真っ黒で穴が空いているよう。この中で新しい星が生まれているのか…

Stahlerは、高密度コアの中の若い星の観測の手助けをSadavoyに依頼(SadavoyはVANDAMという、ペルセウス座の巨大ガス雲の中のすべての星を観測する研究プロジェクトのメンバーでした)。生まれてから50万年以下のClass 0の星、50万年から100万年のClass Iの星の調査データが生成されました。さらにハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡で観測された、新星の周りの卵型高密度コアのデータGould Belt Surveyを組み合わせ、ペルセウス座の中にある星と伴星の数の割合を算出。24の星系の55個の新星中、50は二連星、そしてさらに45個の単体の星があるという結果に。

Stahlerは、

我々はペルセウス座の分子雲の中のすべての若い星とその分離した伴星の数の比率が合うかどうか一連の統計モデル解析を実施しました。そして唯一正しいデータを再出できたのが、すべての星が"離れた"伴星を伴って誕生するという場合においてのみだったのです

と説明。ここでの"離れた"伴星というのは、500AU(天文単位、1天文単位は約1億5千万km)以上離れていることを意味します。SadavoyとStahlerはデータから500AU以上離れた二連星はどれもClass 0の若い星で、卵型高密度コアの軸に沿って並んでいることを発見。ところがClass Iの二連星の距離はそれよりも近い約200AUほどで、卵型の高密度コアの軸との関連が見られなかったのです。

その観測結果から、彼らはすべてのClass 0の若い星は卵型の高密度コアの中で、離れた距離の二連星として誕生し、そのうちの60%は分離して別々の星となり、残りはさらに近接していくと結論づけました。Sadavoyは、

多くの星が伴星と共に生まれるという考えは以前からあるものだったのですが、幾つの星が伴星を持っているかは疑問だったのです。しかし我々の統計モデルによれば、すべての星が伴星を持って生まれると言えます

と説明しています。

さらに「我々はほとんどの星が、双子の星として誕生すると考えています。これまでの予測を裏付ける強力な証拠を得たのです」と語るStahler。しかしこの研究はスタートに過ぎず、なぜそのような現象が起こるのかさらなる検証が必要とも語っています。

今後、アメリカ、ニューメキシコのカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡(VLA)やチリのアルマ望遠鏡(ALMA)、ハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡といった高性能望遠鏡を使ったデータと統計によって、高密度コアとその中で生まれる連星のさらなる詳細が明らかになっていくようです。

Image: Bill Saxton, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NRAO/AUI/NSF, FORS Team, 8.2-meter VLT Antu, ESO
Source: Berkeley News, arXiv

(Shun)

あわせて読みたい

powered by