50万円のハイエンドプレーヤー「A&ultima SP1000」を実際に聴いた。コレは新たな音の基準を定めるかもしれない
Image: Astell&Kern

50万円のハイエンドプレーヤー「A&ultima SP1000」を実際に聴いた。コレは新たな音の基準を定めるかもしれない

従来モデルでも十分じゃない?と思っていた気持ちが霧散しましたよ。なんだこれ。なんですかこの音場の広さは

2014年に約30万円のAK240、2015年に約50万円のAK380という飛びっ切りのデジタルオーディオプレイヤーを出してきたAstell&Kern(アステル&ケルン、iriver社)。数十万円のiPod的ガジェットを誰が買うのかと思ったら、いずれもスマッシュヒットなモデルとなり、一部の音楽好きにとっては「いつかはAKxxx」という憧れの存在となりました。

2年という月日は長いのか短いのか。2017年7月7日。Astell&Kernは最新型のハイエンドデジタルオーディオプレイヤー「A&ultima SP1000」をリリースします。価格は49万9980円。内覧会で試聴してきたのですが、コイツ他社の高価格帯モデルを含めた従来の製品群とは次元が違います。「なんじゃこりゃあ!」です。松田優作です。

スペックはAK380からの順当なアップデート

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Photo: 武者良太
左:カッパー(銅)モデル/右:ステンレススチールモデル

CPUはオクタ(8)コアプロセッサ。DACにAK4497EQをデュアルで搭載し、USB3.0(Type-C)に対応。9V/1.67Aでの急速充電が可能になりました。ヘッドホン出力は3.9Vmsと大きめで、ディスプレイも5インチ(720×1,280ピクセル)と大きめ。microSDカードスロットはトレイタイプになり、高級感をアップ。イジェクトピンを使わないと交換ができない面倒さもありますが、従来のAKは内部のバネが強かった。取り外すときにmicroSDがK点超えるかの勢いでジャンプするので、この変更点は大歓迎です。

ケースの材質はステンレススチールとカッパー(銅)。なお7月7日に発売されるのはステンレススチールモデルのみで、カッパーモデルは後日となります。

スペック面を見る限り、2015年の世界最高峰サウンドといえたAK380を順当にアップデートしたもの。でもDACやCPUの性能アップによって良い音になるかというと難しいところ。アンプ部の作り込みだったり、他部分のノイズの多寡で、低域の深み、中域の密度、高域の伸び、そして前後左右の立体感が異なります。さてA&ultima SP1000の音はどうだといいますと、「なんじゃこりゃあ!」なのです。

ステンレス、カッパーモデル両方を聴いてみて

前モデルのAK380はグレイトでデリシャスでブリリアントなサウンドでした。ノイズの少なさからくる透明感と立体感。清く正しくブレないローを鳴らす足腰の強さ。良質な響きをもたらす分解能などなど、コレで十分でしょ、と思ったものです。でもSP1000でその印象がかき消えました。「こんなに浅めの音だっけ」とまで感じてしまいました、スマン。時代の進化とはある意味、ムゴい。

SP1000のステンレススチールモデルは音が極めてシャープ&スピーディ。音色に対しても、その音を捉えた空間に対しても正確でニュートラルに向き合って素のままの音を送り出してきます。特にベースラインの堅さがいい。波形のアタックに対して打てば響くようにレスポンスするので、味付けという要素が入り込む隙間を感じません(“オーディオ機器”である以上、実際は違うと思いますが)。マイケル・ジャクソンがイメージした低音ってほんとうはコレだったのか!と、過去のトラックを聴いても発見がありまくり。

対してSP1000のカッパーモデルは、ハイスピードの中に柔らかみを持たせた、リラクゼーション効果のあるサウンドにまとまっています。空気を通した…そう、ハイエンドなスピーカーで聴いたときのような、弾力性のあるサウンドなんですよ。注目すべきはボーカル曲。ステンレススチールモデルよりボーカルの喉がちょい太くなった印象もありますが、ゆえに声の伸びと響きがグー。これは聴き惚れます。いつまでも聴いていたくなる音です。

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Photo: 武者良太

両機共にパワフルなアンプにも納得です。ヘビメタなどを鳴らすならAK380には外部アンプが欲しいと感じましたが、A&ultima SP1000には不要かも。専用アンプなどのアクセサリーも考えているそうですが、単体でも満足度は高いですね。

AK380はアーティストや、レコーディングエンジニアにも好評だったと聞きます。AK380の音をリファレンスとしてマスタリングした曲もあると聴きます。そしてSP1000も同じく、プロユースで活躍するモデルとなるでしょう。そしてSP1000の音の方向性が、楽曲のトーンを定めることになるかもしれません。

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Photo: 武者良太

A&ultima SP1000ステンレススチールモデルは、直販価格で49万9980円(税込)。おいそれとは手が出ないプライス。ですが、常時音楽に包まれたいと願うのであれば、ボーナス全ツッコミの価値ありますよ。…いや、同額のカッパーモデルの音もいいからなあ…。オーディオ系のイベントで両者を試聴するか、カッパーモデルが出るまでは手を出さないほうがいいかも。それだけ、ケースの素材の違いによる音質差が著しいのですから。デジタルを追求した製品といえど、五感に訴えかけてくるプロダクトは素材差による方向性の差が出てくるものだと、体感してみてください。驚くこと、確実ですよ。

Image: Astell&Kern
Photo: 武者良太
Source: Astell&Kern

(武者良太)

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