Webサイトが勝手に「何か」を追跡するのを阻止します。
たとえば2週間前にAmazon(アマゾン)で見た商品の広告が、早く買えと言わんばかりに他のWebサイトの広告枠に何度も何度も表示されるのウザい…ってことありますよね。そういった現象を阻止してくれるアップデートがSafariに実装されます。Apple(アップル)のソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏が、WWDC 2017のキーノートで発表しました。
Appleは、この一連機能を「Intelligent Tracking Prevention(ITP)」と呼び、今年後半にリリースされるmacOS High Sierraから追加します。ITPは、プライバシー保護と利便性とのバランスを上手にとることで、外部サービスからのアクセスを完全に断つのではなく、Cookieをより有効に活用しユーザーのプライバシーを取り戻そうとするAppleの試みです。
ITPがどのように働くかは、まずはどのように自分の閲覧データを追跡され、それを元にした広告が表示されるのか知っておく必要がありますね。まず広告主は、サードパーティー製のCookieを使用して、AmazonからFacebookといったサイト上でのユーザーのクリックを追跡。このCookieが、ユーザーが使用しているブラウザや買い物をしている商品についての情報を広告主に知らせるのです。
しかしCookieの仕事はこういった行動の追跡だけではありません。たとえばTwitterに1度ログインすれば、ずっと記憶していてくれるのもCookieの仕事です。つまり追跡からプライバシーを守るために、Cookieのアクセスを完全に断つのは得策ではないわけですね。
そこでITPは、これらのログインを許可しながらも、自分の閲覧データにもとづいた不気味な広告を阻止するために、ユーザーが特定のWebサイトとやりとりする頻度を分析します。

特定のWebサイトを訪問した後の最初の24時間のうちは、Cookieはこれまで通り外部からもアクセスできます。つまりショッピングサイトなどを見た直後に、そのアイテムの広告が表示される可能性があります。
1日経つと、SafariはCookieを分割。ログイン関連にはCookieのデータ利用できますが、ユーザーの追跡には利用できなくなります。そして30日後には、すべてのCookieが削除され、ユーザーは再度ログインする必要があります。
AppleのWebKitセキュリティエンジニア、John Wilander氏は、「つまり、ユーザーは長期的なCookieと実際に頻繁にやりとりしているサイトのデータのみを持ち、トラッキングデータ(自分の閲覧履歴を所有するデータ)は、どんどん削除される」「多くのユーザーは『追跡された』と感じたときに、プライバシーに関連するデータが同意していない目的のために取得されていると思い、信頼性が損なわれている」と述べています。
何もAppleだけがウザい広告を撲滅しようとしているわけではありません。Google(グーグル)もChrome上でのアドブロック機能を検討していますし、同じようなことを可能にするブラウザのアドオンが既にいくつか存在しています。しかし、フェデリギ氏が基調講演で強調したように、Safariは完全に広告をブロックするわけではありません。
フェデリギ氏は、不快な広告とさらに戦うために、Safariは自動再生動画広告をブロックすることも発表。ユーザーが自らの意思で再生するまで、Safariでは自動再生動画は一時停止されます。Chromeも自動再生動画をターゲットにしていますが、Flashプラグインを介して配信された動画のみをブロックするとされ、HTML5の動画は停められることなく再生可能です。
・(エロ)動画自動再生にさようなら、VRこんにちは。macOS「High Sierra」を1分で
Kate Conger - Gizmodo US[原文]
(mayumine)