Sphero社のCMOケリー・ギアにインタビュー。ライトニング・マックィーンで見せるロボットと人間の関係への挑戦
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Sphero社のCMOケリー・ギアにインタビュー。ライトニング・マックィーンで見せるロボットと人間の関係への挑戦

Sphero社のCMOケリー・ギアにインタビュー。ライトニング・マックィーンから紐解く、ロボットと人間の関係への挑戦

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のBB-8をはじめ、子供だけでなく大人も夢中になってしまうほどクオリティの高いロボット・トイをリリースしてきたSphero(スフィロ)社ですが、今回新たに作りだしたのは「アルティメット・ライトニング・マックィーン」。これは文字通り映画『カーズ』シリーズの主人公、ライトニング・マックィーンのおもちゃです。しゃべるときに滑らかに動く口やボディを揺らしてリアクションする姿は、まさにアニメーションのなかのマックィーンそのもの。また、7月15日にはシリーズ最新作『カーズ/クロスロード』が公開されることが決定しています。

今回はこちらのアルティメット・ライトニング・マックィーンについて、Sphero社のCMO(Chief Marketing Officer)のケリー・ギアさんにインタビューを行ないました。

アルティメット・ライトニング・マックィーンの開発秘話や自慢の技術、そしてSphero社によるロボット・トイ開発のこれからについて聞いてきました。

『カーズ』制作スタッフとの強い連携プレー

ーーはじめにアルティメット・ライトニング・マックィーンを作ることになったきっかけを教えてください。

ケリー・ギア(以下ケリー):今回ライトニング・マックィーンを作った大きな理由のひとつは、シリーズ最新作『カーズ/クロスロード』の上映が来月にあるということです。新作映画に合わせると、認知度や注目度が高まりますよね。あとは、これまでのプロダクトも動くものに対するチャレンジだったので、それをさらに推しすすめるための試みです。

ーー『カーズ/クロスロード』に合わせたマックィーンの開発は、Sphero社からの提案ですか?それともピクサーからの要望があったのでしょうか。

ケリー:「今度こんな新作がありますよ」という話を聞いて、ピクサーからの提案も受けつつ、互いに話し合いを進めたうえで決まりました。

ーー『カーズ』シリーズはアニメーションですが、立体化させるのに苦労した点はありますか?

ケリー:『カーズ』シリーズのキャラクターはフラットではなくCGなので、ピクサーのアニメーター達と一緒に作りました。共同チームとして、マックィーンがどのタイミングでどういう動きをするとか、形やデザインといった点をかなり考えました。はじめの企画段階からスケッチ、レンダリング、そして完成までピクサーととても緊密な関係でした。

Video: Sphero/YouTube
アルティメット・ライトニング・マックィーンについて語るジェイ・ウォード

ジェイ・ウォードをご存知ですか? 彼はピクサーのクリエイティブディレクターで、『カーズ』シリーズをずっと監修してきたんですが、彼とも最初の段階から何回か会いました。最終的には素晴らしいとのコメントを頂いています。

まずはコストを気にせず、工夫を詰めこんだ

ーー開発のなかで、自信を持ってプレゼンできた部分はどこですか?

ケリー: いろいろありますが、一番はひとつのおもちゃにさまざまな技術をまとめて入れ込んだことです。

たとえば動く口。ここまでナチュラルな動きで、映画から出てきたようなものは他にないと思っています。また、ほかのマックィーンのおもちゃが取り組んでいなかったのがサスペンションの部分です。サスペンションによってさまざまな動きが出て、とても表情豊かになっていますよね。その部分には、ピクサー側もとても驚いていました。さらに、フロントガラスはディスプレイになっているのですが、普通の四角形ではなく、カスタムメイドで台形になってるんです。車体のステッカーはただのシールの貼り付けではなく、プリントしたものになっています。

これまでにも、ライトニング・マックィーンのラジコンや音声が流れるようなおもちゃはあったと思いますが、ここまで技術が集約された製品はほかにありません。サウンドや操作性も含めて、それが高度なレベルで達成されているんです。

実際、最初には「コストがいくらかかる」という問題は一切考えずに「本当にいいもの」を考えて作りました。制作期間は13、14カ月ですね。その結果、アルティメット・ライトニング・マックィーンが出来上がったんです。細かいところにまでしっかり気を配って仕上げているという点は、ピクサー側にも気に入ってもらえたと思っています。

Video: GENE TV/Facebook

チーム丸ごと「マックィーン愛」で開発

ーーアルティメット・ライトニング・マックィーンはハイテクな技術が詰まったおもちゃですが、実際に遊んでみると、細かい遊び心の工夫も魅力的でした。例えば、充電を給油口からするとか、バック走行をするときにマックィーンが「ピーッピーッ」というところとか。そういうアイデアはどこで生まれるのでしょうか?

ケリー:一人の天才がいれば簡単だったかもしれません。でもそうではなくて、みんなで作ったものです。社長が提案することもあればピクサーのスタッフのアイデアもあったし、インターンとか開発メンバーからアイデアが出てくることももちろんあります。毎日のように新しいアイデアが生まれていました。

ーーチーム丸ごとマックィーンを好きなんだなってことが伝わってきました。

ケリー:Sphero社では一度にたくさんのプロジェクトがあるわけではなく、いくつかしかありません。ですから皆、ひとつのプロジェクトに集中していて、だからこそより深く細かいところまで毎日考えていたんです。おっしゃる通り、すごく熱意をもって取り組んでいました。

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ーーこれまでSphero社のプロダクトはSDK(プログラミングを使ってソフトウェアを開発するのに必要なキット)を使って自由にプログラムを開発することができましたが、マックィーンでSDKを使うことはできるのでしょうか?

ケリー:SDKの機能はありません。将来的に搭載される可能性はあるかもしれないですけど…。ですが、私たちはSDKによる教育や、インスピレーションをもたらすようなことは続けていきたいです。アルティメット・ライトニング・マックィーンに関しては、今の段階ではなんとも言えません。

ーーマックィーンはハードウェアに注目されることが多いと思いますが、目に見えないソフトウェアの部分で工夫した点はどこでしょう?

ケリー:ひとつめは、サウンドエフェクトです。音は本物の車から録音したものがスピーカーから流れます。BB-8はスマートフォンから音が出ていたんですが、マックィーンは本体そのものにスピーカーが搭載されています。あまり注目はされない小さな変化かもしれませんが、これまでとの違いを生み出していると思っています。

ふたつめは私が一番気に入ってる点で、アプリがなくてもマックィーンだけで楽しめることです。私には4歳の息子がいるんですが、直接マックィーンと向き合うと、まるで生きているかのように動くんですよ。その子が喜んでいるのを見て私も嬉しくなりますね。アプリでゲームをしていてもその最中で反応して色々言ってきたり、スマートフォンとの接続がないときでも叩いたりすると反応したりします。あとは自宅で一緒に映画を観ると思いがけないところでリアクションしたり(『カーズ』初代作品に反応する「ドライブイン」機能)、まるで生きていて一緒にいるかのような感じがするんです。そういう感覚を作ってくれるのがアルティメット・ライトニング・マックィーンの魅力だと思っています。

まるで家族のような存在のロボットへ

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ーー今回のおもちゃはSDKやプログラミングといった教育面より、マックィーンとの直接的なコミュニケーションにフォーカスしている印象があります。

ケリー:おっしゃる通りで、現段階ではエンターテインメントとして、いかにマックィーンを現実の世界で生きているかのように楽しんでもらえるかという点にあります。ですが、今後考えられるのは教育やインスピレーションを与えるなどといったことです。

ーー以前、Spheroの共同創業者イアン・バースティンさんにインタビューした際「将来的に家族の一員になるようなロボットを作る」とイアンさんがおっしゃっていました。マックィーンは言語を発するのでBB-8以上に親しみやすくなったかと思いますが、そこに関してはどうお考えですか?

ケリー:それについては2つに分けて考えています。

ひとつは「キャラクターを現実に(Toys come to life)」という点です。キャラクターが、映画のなかだけの存在ではなく現実に現れることを考えています。それをBB-8でも試みましたし、マックィーンではより本物に近い形で達成できたと思っています。

もうひとつは、ロボットをさまざまな形で進化させるということです。アニマトロニクスなど高度な音声認識の技術のほかにも、これまでのさまざまな技術を使ったハードウェアを開発していきたいと思っています。

ーードロイド、車の次は動物や人間などのロボットも考えていますか?

ケリー:たくさんアイデアはあるんですが、お話できることは少ししかありません。キャラクターなのか動物なのか人間なのか、全く見たこともないものなのかはわかりませんが、引き続きさまざまなロボット・トイの開発に挑戦していきたいですね。

***

人間とロボット・トイとのコミュニケーションにさらなる挑戦をしていくというSphero社。今回のライトニング・マックィーンも感動するほどリアルで、意思を持っているかのような動きやリアクションを見せてくれますが、ここからさらなる発展を遂げるとなるといったいどんなロボットが生まれるのか楽しみです。

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アルティメット・ライトニング・マックィーン by Sphero
【発売日】2017年6月23日(金)
【価格】 38,380円(税込 41,450円)
【発売店】実店舗のほか、Amazon、SoftBank SELECTION オンラインショップ等ECサイトで購入可能。またAppleの実店舗/オンラインストアでも7月から販売スタート
【詳細】自宅で映画を一緒に観るとマックィーンが場面に合わせて反応する「ドライブイン」機能は、『カーズ』1作品目に対応。日本語版は吹き替え作品に対応するとのこと

カチャウ! Sphero社の最新おもちゃは映画『カーズ』のライトニング・マックィーンを完全再現
Sphero社の共同創業者イアン・バースティンにインタビュー。ロボットが家族の一員になる未来とは?

Image: ギズモード・ジャパン編集部
Source: Sphero, Disney, YouTube, Facebook

(豊田圭美)

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