犬と暮らせるのは、奇跡なのかもしれない

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犬と暮らせるのは、奇跡なのかもしれない
Image: Shutterstock

初めて飼われたオオカミが人類に永遠の忠誠を誓ったのかも。

はるか昔から人間の良き友である犬。狩猟時代には狩りの仲間として人間を助け、今ではペットとして私たちを癒やす存在に。そんな犬たちの起源はオオカミ、家畜化されて犬になったわけです。

犬の起源については、2016年にScience誌で発表された研究において、犬の祖先はヨーロッパとアジアの二つの別の場所から生じたとする二つの起源」説が有力とされるなど、研究が続けられています。

これに対して2017年7月18日、学術雑誌Natureのオンライン版Nature Communicationsに投稿された新たな研究では「人間によるオオカミの家畜化は長い歴史上でたった一度しか行なわれなかった」という「一つの起源」説が提唱されました。この研究が言いたいのは「人類が一番最初に飼い始めたオオカミが現代に生き続ける、すべての犬の祖先かもしれない」ということ。

犬のゲノム情報に関するこの研究では、研究者たちが古代ドイツ原産の犬2匹のDNA(7000年前のものと4700年前のもの)を現代の犬のDNAと比較。その結果、ドイツ原産の犬2匹にはお互いに遺伝的なつながりがあり、それぞれが現代ヨーロッパの犬とも同じ起源をもつことが判明しました。この結果は犬が単一の祖先をもつ可能性を示唆しています。

初めて家畜化され、犬になったオオカミがいたはずですが、それがいつ、どこで生まれたのかは、未だに謎。

研究の共同執筆者で、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の生態学および進化生物学の助教授であるKrishna Veeramahは米Gizmodoに対して、「新石器時代の犬のゲノム情報および数千匹の現代犬のDNA情報からなるデータは、約2万年前から4万年前にユーラシア大陸のどこかで一つのオオカミのグループが人間によって家畜化されたことを示しています。さらには現代でペットとして可愛がられている犬たちのほとんどは7000年前のヨーロッパの農家で飼われていた犬の子孫であることもわかっています。その祖先はひょっとしたら1万4000年前に人類が未だ狩猟生活を送っていた時代にまで遡るかもしれません」と語っています。

今回の研究で「歴史上でオオカミの家畜化が何度行われたのか?」という疑問に決着がついたわけではありません。ところで、研究者たちはどうして「オオカミの家畜化の回数」にこだわるのでしょうか?

Veeramah助教授は「オオカミの家畜化が一度しか行なわれていないのか、それとも二度、三度と行われてきたのかが、なぜ重要なのかと思うかもしれません。しかし、ある物事がなぜ、どのように発生したのかを突き止める際には、それが一度で起きたことなのか、何度も発生したことなのかは非常に大切なのです。もしオオカミの家畜化が一度しか行なわれていないならば、それは滅多に起こり得ない奇跡的なことなんです」と説明。たった一度、一つの場所で家畜化された犬が世界中に広がったってことですもんね。そりゃ確かにすごい。

犬は人間が初めて家畜化した動物とされています(猫が人間に飼われるようになったのはずっと後)。歴史上でたった一度だけ家畜化されて以降、その子孫が4万年もの間、人類とともに歴史を歩いてきたと考えるとロマンがありますね。実際に犬の起源が単一だったのか、それとも複数だったのかは、今後の研究が明らかにしてくれるでしょう。

Image: Shutterstock

source: Nature, Science, The Atlantic

Rae Paoletta - Gizmodo US[原文

(Shun)