押したら本当に助かるのかな…?
以前ギズモード・ジャパンでも、将来iPhoneにパニックボタンが搭載されるかもという話は紹介しましたが、どうやら着々と準備は進んでいるようです。パニックボタンといえば、ホームボタンに触れるだけで迅速に緊急サービスへ連絡を入れることができる機能。CNBCの報道によると、先日このパニックボタンに関するApple(アップル)の特許申請が米国特許商標庁より承認されたそうです。
米国特許商標庁のサイトに掲載された特許内容によりますと、このパニックボタンを指で起動する方法は数種類用意されている模様。たとえば、「特定の指でのタッチ、もしくはタッチの順序」や「特定のタイミング、もしくはリズム」、「特定の指圧」など、指が触れた際の細かな違いでコマンドの実行有無が決まるそうです。まぁ確かにただ触れただけで起動してもらっては困りますもんね。
襲われている時にロック画面から緊急電話を…なんて余裕はありませんし、犯人に阻止されてしまうでしょう。しかし、この機能が搭載されれば、犯人に知られることなくさりげなくホームボタンに指を伸ばし、緊急サービスに電話をかけ、合わせてGPSの位置情報や音声データなどを専門機関へ送り、iPhone内の個人情報を自動削除するというような作業を瞬時に行えるようになるということです。
ただ、どうやらこの機能が本当に使い物になるかどうかは、警察側の誰がこの緊急電話を受けたかによってなかなか差が生じる可能性もありそう…。米ギズモードによりますと、Bureau of Justice Statisticsが実施した2008年の米国の統計調査で、強盗、加重暴行、軽度な暴行という3つの犯罪に関して受けた緊急電話に対して、警官が5分以内に駆けつけた割合は全体の28.3%だったそうです。6分〜10分で駆けつけた割合は30.3%、残りはそれ以上の時間がかかっています。警察の個々の管轄区を見るとこれよりさらに悪いケースもちらほらあるようですよ。
つまり、将来本当にiPhoneにパニックボタンが搭載されたからといって、すぐにそれが犯罪率軽減に繋がるかどうかは、まだ何とも言えないレベルなのでしょう。直接電話で犯人の情報を伝えるわけではないため、駆けつけた警官が誤って別の人を誤射してしまうというリスクも高まりますし、誤って警察へ通報してしまうケースが増えれば、警察側も真剣に対応してくれなくなってしまう可能性もありますもんね。
ただ搭載されると精神的な安心感が増すことは間違いありません。こうした新しいテクノロジーは、それを取り巻く環境が合わせて変わったときに初めて真価が見えてくるものなのかもしれませんね。まだこのパニックボタンが実現するかどうかは定かではありませんが、実現されれば、ゆくゆくは防犯対策の一助となることでしょう。
Image: sitthiphong / Shutterstock.com
Source: Gizmodo US
Reference: Bureau of Justice Statistics 1, 2, USPTO, CNBC
(Doga)