二転三転。
なにやら最近ツチノコのようにその存在が発見された、Apple(アップル)による自動運転技術。その運用は、思わぬ形で始まるのかもしれません。New York Timesは、Appleが自動運転技術を新本社「Apple Park」と旧オフィスとを結ぶシャトルバスに応用しようとしていると報じています。
このプロジェクトは「PAIL(Palo AltoからInfinite Loopへ)」と呼ばれており、自動運転でオフィス間を移動することができます。それだけ? はい、それだけです。確かに、数年前から期待されていたAppleの自動車開発プロジェクト「Titan」の野望の大きさからすると、規模が縮小している気もしますね。
Titanといえば、昨年には車体すべてから設計する目標を諦め、ソフトウェア開発に注力する方針に変更されたのは皆さんもご存知の通り。またGoogle(グーグル)もこの分野で新会社「Waymo」を立ち上げ、自動運転技術を開発しています。ただ報道を聞く限り、AppleはTitanに関してさまざまな妥協と諦めを味わっているようなのです。
Appleの元上級副社長のボブ・マンズフィールドやデザインチーフのジョナサン・アイブは、当初Appleが独自製造する車「iCar(外部が名付けた名前ですが…)」を革新的なものにしようと試みていました。以下はNew York Timesからの引用です。
当初、Titanのプロジェクトメンバーはさまざまな技術を検討していました。たとえば、静かに自動開閉するドア。またステアリング(ハンドル)やアクセルペダルのないインテリア、それにAR技術を利用したディスプレイなどです。(中略)さらに、まるでボールのような球形ホイール(タイヤ)の計画もありました。
うーん、話を聞くだけならかなりかっこよさそうですね。下の画像は メルセデス・ベンツによるコンセプトカー「F015」のイメージですが、Appleもこのような先進的な自動運転車を当初は計画していたのかもしれません。

いずれにせよ、Apple社内における「独自の自動運転車を製造する」か「ソフトウェアによる半自動運転技術の開発をすすめる」という対立のあと、同社はオフィス間を結ぶシャトルバスや将来的には自動運転車に利用されるかもしれない「carOS」の開発に取り組むことになったそうです。
自社製造の自動運転車から、本社オフィス間をむすぶシャトルバスへの方針転換には随分驚かされますが、もしかするとAppleには自動車製造あるいは自動車業界を軽く見ていたのかもしれませんね。まずは得意分野のソフトウェア開発で自動運転技術に貢献する、それで十分だと思いますけどね。
Image: alphaspirit/Shutterstock.com
Source: New York Times
Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文]
(塚本直樹)