珍しい青い花は科学の力で作れるか
Image: Science Advances

珍しい青い花は科学の力で作れるか

自然の中に存在する「青」色は意外に珍しいものなんです。もちろん天気が良い日は空は青いですし、海だって青いですよね。でも大多数の植物や動物は青い色素を作れないのです。

美しく彩られたクジャクは青く見えますが、それは羽根が青いからではありません。どう光を反射するかによって生み出されている色なんです。

世界中の28万の被子植物のうち、青い花をつけるものはたったの10%以下。多くの伝承や文学青い花が手に入れられないもののシンボルになっているのも青い花が希少だからかもしれません。

しかし、エンジニアリングによって自然の持つ制約を超えることができると考え続けた科学者たちは、ついに青いと言える花を生み出したのです。2017年7月26日、日本の科学者たちが「青い色相を持つキクを遺伝子操作によって世界で初めてつくりだした」と発表しました。

この研究の主筆で国立農業・食品産業技術総合研究機構の上級研究員、野田尚信氏は米ギズモードにこう語ってくれました。「キク、バラ、カーネーション、ユリは一般的な被子植物ですが、青い品種はありません。また、通常の掛け合わせ技法の範囲では、どの品種からも青い花をつくりだせませんでした」。

通常、赤やピンクの菊の花を青くするために、野田氏と同僚たちは、遺伝子操作でチョウマメとフウリンソウから花を青くするのに関連した二つの遺伝子を発現させなくてはいけませんでした。こうすることで花の色を青のスペクトラムにできたのです。研究で判明したのは、この結果生じた色は「co-pigmentation」(仮訳:相互-色素形成)と呼ばれる花内部の化学的相互作用によるものだと言うこと、研究者たちはこれを用いて他の花も青くできるのではと期待を抱いています。

アルコール飲料でよく知られる日本企業サントリーは、長年青い花をエンジニアリングしようと考えてきました。20年の研究ののち、2009年には世界初の“青いバラ”を発表。しかし、それは青というよりは紫に見えるものでした。審美眼のある人なら、今回の新たな“青いキク”も、ラベンダーやナスのようなバイオレットっぽいと気づくはずです。

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Image: Science Advances
遺伝子組み換えで作られた“青いキク”。

自らも独自の青いバラを作ろうとしているアーティストでバイオハッカーのSebastian Cocioba氏は「彼らの花は、よく言ってもクールなラベンダー」、「アレを青と呼ぶのは違和感を感じるね」と語っています。それでもサントリーのバラ「Applause」(「称賛」の意)は、今のところ「正真正銘の青いバラ」にもっとも近いです。

キクに関しても同様で、今回発表された青いキクも厳密にはイギリスの王立園芸協会の定めるところの青もしくは青紫色の分類内に収まる色となっています。紺碧色ではないですが、それでもサントリーのキクは遺伝子エンジニアリングの賜です。キクはdelphinidin-based anthocyanins(デルフィニジン起源のアントシアニン)として知られる特定の花で青い色合いの元となる色素を作りません。野田氏らはそれらの色素をチョウマメとフウリンソウからキクのゲノムへと取り込み、それらが発現するよう促したのです。

このような実験室の産物に対する市場の需要は大きなものです。日本でサントリーの青いバラがデビューしたときには、通常のバラの10倍の価格で売れました。キクはバラに次いで世界で2番目によく売れている花です。野田氏は「奇抜な遺伝子組み換えの青い花が、花の購買意欲を大幅に広げる」と予想しているとのこと。

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Image: サントリー
サントリーの“青いバラ”。

とはいえ、自らがつくりだした花が青というよりも紫に近いことについても科学者たちは率直です。

青い花ができる仕組みは詳しく研究されており、花を青くする方法は複数あるとわかっています。野田氏のチームは、一番実現する可能性が高いと考えた「co-pigmentation」の手法をとりました。ほかの方法としては、pH値を変えることで花の細胞を不安定化できると仮定していましたが、花は研究者の期待したほど青くなりませんでした。そのため「これまでに判明しているよりも、花の青色は奥が深いものかもしれない」と研究には書かれています。

結局のところ、自然の中にある青色は人がエンジニアリングで再現できるものではないのかもしれません。

Image: Science Advances

Source: ScienceAdvances

Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文

(abcxyz)

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