Snapの決算報告にぶつけてきましたね。
外部コンテンツから自社コンテンツモデルに脱皮を図るFacebookが水曜、ショート動画配信プラットフォーム「Watch」を米国一部地域でローンチすることを明らかにしました。木曜のSnap株価はボロボロです。
Facebook提携パートナーがWatch独占コンテンツを制作し、収益の55%をGETするとのこと。配信チャンネルは「Most Talked About(いま話題)」、「What’s Making People Laugh(笑う動画)」などで、ライブ視聴しながらコメントつけあう機能(これはFacebook Liveでできるけど)、番組を語るグループに加われることがウリ。ローンチ段階ではA+E 、ATTN:、コンデナスト、タイム、ハーストなどの名が提携パートナーとしてあがっています。
YouTube、Snapchatキラーを目指しているという専らの評判なのですが、PR資料のスクリーンショットを見る限り、キラーと呼ぶにはまだちょっと弱い感じもあったりします。


個人のクリエイターも参加するのですが、決して「お金にもの言わせて豪華メンバー起用」という内容ではないのです。
例)
・「Nas Daily」:会社を辞めて「世界中のファンとともに」1分の旅ビデオづくりに専念する人のチャンネル。プロモ動画では「バーガー1,000個買いました」と出てきます。
・啓蒙セミナー講師Gabby BernsteinさんがFacebookユーザーと語り合うチャンネル。
・キッズが料理に挑戦する料理チャンネル。
・週1回のMLB野球生中継(たぶん一番の呼びもの)
・「Returning the Favor」:Mike Roweさんが社会貢献している人を世界に紹介、恩返しする番組。
NASAの科学検証、ナショナルジオグラフィックのサファリ探検など面白そうな番組もありますけど、そういうのはもうYouTubeで見れますから、なかなか差別化が難しいところですね。
Facebookは技術力とユーザー動員力を示してコンテンツ制作者を呼び込む戦略です。ただ、パブリッシャー側に参入メリットが見えてこないんですよね…これはFacebookのサービス全般に言えることなのですが。「Facebook Live」を使えばライブストリーミングはもうできますし、コメントつけながらTVドラマ視聴もできます。普通の動画も別に契約結ばなくても、サイトにエンベッドできちゃいますもんね。FacebookでもTwitterでもYouTubeでも。
Snapchatに流れたパブリッシャーのショート動画を取り返したいのはわかるのですが、Snapchatの機能を少し真似るぐらいではユーザーは戻ってこない気が。Snapchatの動画は脚本のない生動画で、全体がそのコンセプトで統一されていますし。
…とか書いている間にSnapの第2四半期決算報告が入ってきて、なんかかなりユーザー数が伸び悩んでいるみたい。株価が過去最悪に落ち込んでしまいました。あじゃ~。
囲い込み
パブリッシャーをFacebookに囲い込むという意味では、今回の「Watch」は2015年春に登場したサービス「Instant Articles(インスタント・アーティクル)」を彷彿とさせます。あれが発表になったときには、Facebookアプリ内で新聞記事が読めるということで、「いよいよ外部サイトへのトラフィックをブロックする前触れか」と新聞やブログが大騒ぎになりました。
ところがFacebook自身が社内のアルゴリズム変更で記事より動画を優先的に表示するようになって、そのうち記事は友だち・家族よりも表示順位が下に。今は今年春に発表になったSnapchatのクローン「ストーリー」よりもさらに下に表示されています。けっきょく心配されたほどにはトラフィックが伸びず、広告(自社のものかFacebookの広告か選べる。後者はFacebookに3割分配)への影響も最小限となりました。
Facebookは結構こういうパターンが多くて、今週も「Facebook Groups」とSnapchatクローンの高校生向けアプリ「Lifestage」(AppStoreのSNSカテゴリで最終順位1,392位)を終了したばかりです。
「Watch」もデザインがそのまま需要につながる保証はないので、どうなることやらですね。ユーザーとパブリッシャーを壁に囲い込んでクリックアウトさせないビジネスモデルが幸と出るか不幸と出るか。
Image: Facebook
Source: Facebook
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(satomi)