誰が何と言おうと新兵器の開発は止まらないんでしょうね...。
AI業界のリーダーたちが、殺人ロボットとも呼ばれる、自律型致死兵器(Lethal Autonomous Weapons, LAWs)の禁止を要請する文書を国際連合に提出しました。署名に名を連ねた26カ国、116人のAIとロボットの専門家は、「これらの技術は火薬や核兵器に並ぶ第三次兵器革命を引き起こしかねない!」と主張しています。大惨事になるぞってことですね、いや洒落とかじゃないです...。
この文書は、8月20日に行なわれた国際人工知能会議(International Joint Conference on Artificial Intelligence, IJCAI)で披露されました。署名には、以前からAIが人類の脅威になると警鐘を鳴らしていたイーロン・マスクや人類を超えた碁打ちAI「AlphaGo」を開発したDeepMindのMustafa Suleymana氏も名を連ねています。
署名に参加した専門家たちは、殺人ロボットは人道的観点を度外視して人々を殺戮するものであり、1983年に発効した特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons, CCW)の下で管理されるべきだと主張しました。この条約は地雷や焼夷弾、化学兵器といった非人道的な効果を有する兵器の制限・禁止するものです。
自律型致死兵器、で第一にイメージするのは暴走するアーノルド・シュワルツェネッガーですよね。でも自律型致死兵器の定義ってまだ曖昧なんです。なぜって自律型致死兵器がまだ実現していないから。「人的介入なくそれ自体で目標を判断し攻撃する兵器」というのが一般的な自律型致死兵器の定義になっていますが、これも程度の問題。どこまでを人的介入とみなすか、どこからを機械の判断とみなすか、ということです。
先述の通り、今回署名した専門家たちは「殺人ロボットは人道的観点を度外視する」と主張する一方、自律型致死兵器に肯定的な人は「ロボットには欲求や感情がないため、人間のような判断ミスが生じない」と主張しています。私が違和感を感じるのは、ロボットによる殺戮も人の手による殺戮も等しく非人道的ではないのか、ということです。AIという技術が真っ先に、戦争を縮小するためでなく、戦争を拡大するために利用されてしまうということが恐ろしいですよね...。
本当にターミネーターみたいなムキムキグラサンの自律型致死兵器が完成するとなると恐ろしいです。生身のシュワちゃんで我慢してくれとペンタゴンに訴えたいくらいですが、止めることはできないでしょう。あらゆるSFの世界でそうであったように、人間は自らの身を滅ぼすとわかっていても向上心を抑えられませんから...。
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(瀧川丈太朗)