ブ――――ン、ピタッ!
鳥にインスピレーションを受けて開発されたSherbrooke Multimodal Autonomous Drone、こと「S-MAD」。このドローンは屋内外関わらずどんな壁にもピタッとはりつくことができ、しかもはりついている間はエネルギーを温存できるので長時間稼働できるようです。こちらがその映像です。
マイクロファイバーで作られた「前足」を前方に伸ばして壁にくっつく姿は「鳥」というより「昆虫」を連想させます。以下の画像が、S-MADの前足。

そしてこれがカブトムシの前足。似てませんか?

壁にピタッと止まれる回転翼ドローンは前にも開発されていますが、S-MADは見ためも作りも非常にシンプルな固定翼機。
子どもでも作れそうな発泡スチロールボディに搭載されたレーザーセンサーが前方に壁を察知すると、スピードを時速1~3mに落としつつ、モーターの推力を上げてボディを上向きに傾かせます。その後、ボディを垂直に保ちながらゆっくりと壁にアプローチし、前足が壁に接触すると同時にモーターが切れて、前足の付け根についているダンバーが接触の衝撃を吸収して見事壁に止まるという仕組みです。NewAtlasによれば、何千回ものフライトシミュレーションを経て確立した技術とのこと。
共同開発したカナダのシャーブルック大学とCreatek Design Labは人道的支援に有効だと考えているようで、たとえば震災の被災地で活躍したり、工事現場でのモニタリングにも役立つのではと考えています。
ちなみにこのS-MAD、バイオミメティクス(生物模倣)の分野で活躍している技術者が集う今年の「Living Machines Conference」にて最優秀賞に選ばれました。
フグっぽい愛らしい丸みを帯びたもの、触手のように自在に伸びるもの、ハチのように受粉できるものなど、ギズモードではこれまでにも多くのバイオミメティクスドローンが紹介していますが、今後どんなヤツが飛び出してくるんでしょうか。
コウモリ型のぶら下がり監視ドローン…なんてヤツだけは、ちょっと勘弁してもらいたいですけど。
・大空は君のもの! パイロット視点で楽しめるVR対応ドローン紙飛行機が空をゆく
Image: YouTube, schankz / Shutterstock.com
Screenshot: ギズモード・ジャパン / YouTube
Source: YouTube, SpringerLink, NewAtlas
(山田ちとら)