DCコミックスのヒーローチーム「ジャスティス・リーグ」の最強の戦士の誕生秘話を第一次世界大戦の中で描く映画『ワンダーウーマン』。
今回は映画『モンスター』でもおなじみの、パティ・ジェンキンス監督にインタビュー。監督に起用された経緯やなぜ第一次世界大戦が舞台になったのかなどなど、たくさん語っていただきました!

──今回どのような経緯で監督に起用されたのでしょうか?
パティ・ジェンキンス(以下、ジェンキンス):2005年に映画『モンスター』を撮った後、ワーナー・ブラザーズと話す機会がありました。その時に「私は『ワンダーウーマン』がやりたい!」と話したので、これが始まりですね。
それから会議を続けていたのですが、私が妊娠したことやタイミングが合わなかったり、ワーナーが最初に持ってきたストーリーが私のやりたいものではなかったので、一度話が流れ、当然ながら彼らは別の監督を起用しました。
しかし、それも上手くいかず、ワーナーは私が以前に語ったアイデアの良さに気づいたようで、「まだやりたい?」と聞いてきました。なので私は「もちろん!」と答え、監督に決まったんですよ。
──監督に決まるまで、だいぶ時間がかかっていますね。ワーナーは今の形の『ワンダーウーマン』を作ることをどれくらいの時期に決めたのでしょうか?
ジェンキンス:ワーナーが制作を決めたのは、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』よりも前ですね。
──今回、第一次世界大戦が物語の舞台となるという点が、近年の大作映画では珍しいと思いますが、これは誰のアイデアだったのでしょうか?
ジェンキンス:ザック・スナイダーと脚本家のアイデアだった思います。あえて第一次世界大戦にした理由としては、まず第二次世界大戦を舞台にしたヒーロー映画はすでにあってみんなよく知っているからというのがあります。
また、第一次世界大戦は100年も昔に起こった戦争であり、第二次世界大戦とくらべても善悪の境目が曖昧で非常に複雑なストーリーを描けるところが大きな魅力です。私が監督として戻ってくるときには、ちょうど第一次世界大戦を舞台にしようということが決まっていました。

──ということは、『バットマン vs スーパーマン』に登場するワンダーウーマンの古い写真を作った時には、すでに映画は第一次世界大戦が舞台と決まってたのでしょうか?
ジェンキンス:そうなのですが、実はその時点では『ワンダーウーマン』の脚本は20ページ程しか出来上がっておらず、細かいところが全然固まっていませんでした。ただ古い写真が出てくることは決まっていたので、我々は『バットマン vs スーパーマン』の編集中に撮影して間に合わせました。
──なかなか複雑なことをしましたね……!
ジェンキンス:本当にもう大変でした。そんなスケジュールもあって、私たちが一番最初に撮影したのがまさにあの写真のシーンです。本来、ああいうたくさんの人をまとめて撮るシーンは最初にやりたくないんですけどね(笑)
──第一次世界大戦のシーンで言えば、ノーマンズランド(No Man's Land:両軍が膠着状態となり発生した無人地帯)をワンダーウーマンが歩くシーンが超カッコ良かったのですが、あれはどれくらい実写で撮っているものなのでしょうか?
ジェンキンス:9割方実写ですね。CGを使ったのはスローモーションと走るシーンの一部のショットだけでした。
私も大好きなシーンで、撮れたことを誇りに思っています。撮影はすごく寒かったんですけどね(笑)
──ちなみに、ノーマンズランドをウーマンに歩かせるというのは狙ったことですか?
ジェンキンス:そうなんです。言葉遊びが好きだったので、あのシーンを撮りました。彼女が直接的に言葉で表現するという案もあったのですが、特別言及しないほうがカッコいいだろうということになりました。

──コミックから直接的に引用したシーンもありましたが、映画を作る上で特別参考にしたシリーズなどはありますか?
ジェンキンス:まず、ワンダー・ウーマンの生みの親であるウィリアム・マーストンのシリーズの影響が大きいです。私たちにとっては聖典のような存在ですね。そして、ワンダー・ウーマンをよりシリアスに描いた80年代のジョージ・ペレズのシリーズの影響も受けています。それに最近の『New 52』のシリーズも少し参考にしました。
また、コミックではありませんが、1975年のTVドラマシリーズからも大きく影響を受けています。とにかく、ワンダーウーマンの伝説を発展させてきたすべての作品の意志を受け継ぎ、いろんな要素を取り入れました。
──コミックと言えば、ライターであり、DCコミックスのチーフクリエイティブオフィサーであるジェフ・ジョーンズが今作のプロデューサーとして参加していますよね。彼はどのような形で今作に携わったのですか?
ジェンキンス:実は彼とは『ワンダーウーマン』の監督に決まるずっと前からの知り合いなので、仲良しなんです。今回の映画ではクリエイティブ面でのパートナーとして、脚本作りなど、あらゆる場面に大きく関わってくれました。次回作でも同じような形で参加しくれると思いますよ。

はっきりとした口調で自分の意見を語る様子は非常に力強く、こういう人物だからこそ、一度は離れたの監督の座を再び手に入れ、自分の思い描いた『ワンダーウーマン』が撮れたのでしょう。
また、他の記者の質問に「私はワンダーウーマンが女性ヒーローだからやりたかったのではなくて、面白いキャラクターだからやりたかったんです」と答えていたのも印象的でした。
実際、本作は典型的な正義のヒーローが戦争という善悪がグレーな場所で正義をどうやって貫くのかを問われるのが大きな要素であり、第一次世界大戦当時の女性差別のシーンはあれど、主人公の性がどうこうというのが主題の作品ではありません。
とにかく、今作を通じて経験豊かな戦士へと成長していくワンダーウーマンは『ジャスティス・リーグ』では、バットマンやスーパーマンよりも頼りになる先輩として若手のヒーローたちを束ねるリーダー的存在になってくれるんじゃないかと思わせてくれる作品です!
映画『ワンダーウーマン』は2017年8月25日(金)全国ロードショー。
・美しくたくましいDC最強ヒーロー『ワンダーウーマン』の映像化の歴史
Photo: K.Yoshioka(ギズモード・ジャパン)
Image: (C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC
Source: 映画『ワンダーウーマン』オフィシャルサイト
(傭兵ペンギン)