Apple TVの4K動画コンテンツ、全然買いたくないお値段になるかも
Image: Gizmodo US

Apple TVの4K動画コンテンツ、全然買いたくないお値段になるかも


20ドル(約2200円)、はたまた30ドル(約3300円)?

Apple(アップル)は9月12日に恒例の新型iPhoneの発表イベントを開催します。そしてそこで発表されるのはiPhoneだけではなく、4K対応になったApple TVも発表されると噂が流れています。

そんな中Appleは、新Apple TVに向けた手頃な4Kコンテンツ価格を打ち出すべく映画業界と交渉中らしいのですが、どうやら交渉は難航。これに関して米GizmodoのRhett Jones記者がハリウッドの状況を解説しつつ、「4Kコンテンツは10ドル(約1,100円)にして!」と持論を展開しています。

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Appleは今回のイベントで、新iPhoneや4K対応Apple TVを発表すると言われています。そこでAppleは、うちのApple TVなら4K動画がちょっとはまともな値段で見られますよと言いたいらしく、映画会社はそれに抵抗、という攻防が繰り広げられているみたいです。でも僕に言わせれば、どっちもどっちです。

Wall Street Journalによれば、AppleはiTunesでの4K映画の価格を1本20ドル(約2200円)にすべく映画会社と交渉中らしいです。20ドルっていうのはiTunesのメジャーな新作HD映画にありがちな価格ですが、映画会社側はそれプラスαの25〜30ドル(約2800〜3300円)くらいにしておきたいようです。Appleにとっては、4K映画の価格を下げられれば、その分新Apple TVの価値が高まり、引いては売上拡大につながります。市場調査会社Parks Associatesによれば、最近Apple TVはより安価なRokuなどのデバイスにシェアを奪われつつあるらしく、今回のアップグレードには巻き返しがかかっているものと思われます。

でも映画業界は、Appleの思い通りには動きません。Wall Street Journalにコメントしたある映画業界幹部は、「こっちはAppleにiPadの値段を指図しないよ」と不満げです。しかもAppleは今、映画のレンタル・販売ビジネスにおいてAmazonみたいなライバルに急速にパイを奪われつつあるので、交渉力も低下しています。

とはいえユーザーの立場から言えば、映画業界が考えてる「1本25〜30ドル」ってのは無理があります。その筋の人にとっての4Kとは、映画館における3Dみたいに追加料金を取るための手段になってるんですね。あと4Kファイルは大きすぎてストリーミングが大変だからってことで、定額サブスクリプションサービスからユーザーを引きはがして、ダウンロードさせる(=個別にお金を払わせる)作戦の一環にもなってます。4KTVの普及が進んできた今、映画業界にとって4Kコンテンツは期待の収益源。それはわかるんですけど、その値段で買う気になる人がどれくらいいるでしょうか?

業界団体Digital Entertainment Groupが発表したデータによれば、映画・TV番組のレンタル・販売売上は、2016年に7%減少しています。でもだからって、ユーザーがこの手の動画コンテンツを見なくなったわけじゃなくて、むしろ視聴時間は増加傾向にあるし、コンテンツ自体も増えているんです。つまりNetflixみたいなサブスクリプションサービスに人が流れているってことでしょう。

調査会社のZenithによれば、北米でのひとり1日あたりのメディア消費時間は2016年時点で10.2時間。2019年にはさらに21分プラスすると予測されています。21世紀FOXのFX Networkによる分析では、台本のあるTV番組は過去5年間で71%増加していて、番組本数で言うと2016年は455本でした。映画は数値化するのがもうちょっと難しいんですが、映画館で上映された映画に関して言うと2016年は736本となり、2000年と比べて倍増しているんです。

これだけコンテンツが増えてるんだからめいめい勝手に好きなものを見ればいいのに、ソーシャル全盛の今むしろ「会話についていくために見なきゃ」みたいな空気が強くなっている感じもします。そのあおりで、昔見た映画をまた見て自分の変化に気づくとか、話題になってないインディーズ作品をチェックするとか、そういう楽しみ方は失われつつあります。

でもそんな世の中にあって動画コンテンツをちゃんと所有したいっていう人もいます。映画業界にとっては上得意なんですが、映画業界はそこから絞れるだけ絞って、減っていく売上を穴埋めしようって考えなんです。でもDVDとかBlu-Rayなら多分素敵なパッケージに入った物理メディアが手に入るのに対して、iTunesのDRMにがっちり守られたファイルが30ドルもするのは悲しいです。というかAppleが主張してる(らしい)20ドルも、まだ高いんじゃないでしょうか。ファイルしかもらえないなら、10ドル(約1100円)くらいじゃないかと思います。10ドルだったら、Netflixで見られない作品をお金払って見てもいい気になれそうです。

ちなみに米国の映画館のチケットは8.65ドル(約960円)なので、それに対して10ドルなら、ファイルも手に入るしまあいいかって思えるはずです。でも30ドルもしたら、検討すらしない人が多いと思われます。じゃあレンタルなら?って思うかもしれませんが、それも今新作だと6ドル(約660円)とかで、映画館と大して変わらないじゃんっていう割高感があります。レンタルは最高でも5ドル(約550円)にしてほしいです。5ドルでレンタルか、10ドルで所有するか。2回以上見たいと思える映画なら、購入を選ぶ人がたくさんいると思います。

ハリウッドの上得意、映画コンテンツを買うのが趣味の人たちはきっと、30ドルでも10ドルでも買い続けてくれるはずです。彼らが毎月同じ金額を使うなら、10ドルならただ彼らのコレクションが3倍になるだけで、映画会社の懐は傷みません。だってデジタルファイルの提供コストは、AppleなりAmazonが取る手数料以外はごく少ないはずですから。

映画業界は古い考え方に凝り固まって、価格を下げれば売上が増えるという事実を見失っています。マジックナンバーは10ドル、じゃないでしょうか。それくらいにしない限り、4K動画はAppleの戦略という意味でもそれほど恩恵をもたらさないものと思われます。

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Image: Gizmodo US
Source: Wall Street Journal(1, 2, 3),LA Times, Recode, Stephen Follows

Rhett Jones - Gizmodo US[原文
(福田ミホ)

2017年9月13日午前2時から行なわれるApple Special Event、その場で発表されるとみられているiPhone X、iPhone 8 を徹底的に追いかける特集ページです。 イベントのLIVE BLOG、新型iPhoneのハンズオン、さらにイベントが行なわれるホールSteve Jobs TheaterやApple Parkの様子なども現地からお届けします。

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