今週はMacのターン。
年に1度あるお楽しみのあの瞬間から3ヶ月ほど。あの瞬間というのは当然あれです。WWDCのKeynoteでApple(アップル)のクレイグ・フェデリギが新しいmacOSのコードネームを口にするあのときです。クレイグさんが前作「macOS Sierra」につづくバージョン10.12は「macOS High Sierra」だと言うだけで場内は笑いに包まれました。OSのコードネームのネタ切れ感、手を替え品を替え感がAppleもデベロッパーも半分おもしろくなってしまってるんですね、ネガティブな意味ではなく。一瞬、High Sierraが冗談かどうかの空気が流れたあと、「あぁ、本気のやつだ」となるまでが一連のあれです。もはや毎年の楽しみになっています。クレイグさんほんとプレゼン上手ね。
と、前置きが長くなりましたが、ついにその「macOS High Sierra」がリリースされました。ダウンロードとインストールはMac App Storeから無料でできます。
最大のアップデート項目は、これまで長らく使われてきたデフォルトのファイルシステムが刷新されること。SSDで動いているMac(ほとんどのMacBook Airがそうです)は、HFS+からApple File System(APFS)に変わります(SSDとHDDを組み合わせたFusion Driveは今後のアップデートで対応とのこと)。
一体なんのこっちゃだと思いますが、それでいいんです。裏側のことです。その効果を実感するのは容量の大きなファイルをコピーするときでしょうか。瞬きする間に完了します。実際にはファイルがコピーされているのではなく、メタデータのみが書き換わっているだけなので一瞬で完了しているかのようにユーザーは使えるわけですね、はい。
実はAPFSは、iOSでは10.3のときからすでに使われているファイルシステムなのですが、ファイルにユーザーがあれこれアクセスするmacOSへの導入はAppleのエンジニアにとって大きな仕事だったのではと想像します。なにしろ、いいことです。おつかれさまです。
もうひとつわかりやすいところでは、iOS 11もサポートしている高効率ファイルフォーマットをサポートします。画像は「HEIF」、動画は「HEVC(H.265)」をサポートします。
2Kから4Kに、30fpsから60fpsに、SDRからHDRに移り変わっていく映像の取り扱いを高効率のフォーマットで扱えるようになるのは、ディスクスペースの面でも映像クオリティの面でも着実な進化です。Appleによれば、HEVCは広く使われているH.264よりも、最大で40%高い効率で圧縮できます。
あとは、グラフィックス処理がより高速にできるようになるMetal 2、具体的には外付けのGPUを扱えるようになったり、VRをサポートするようになったりするものの導入もありますし、「写真」アプリ、Safariなど私たちが普段使うアプリのアップデートも当然あります。いくつかはmacOS High Sierraでできるようになる14のことにまとめてあります。
iOSに比べれば眠いアップデートに見えがちですが、macOSの中身は着実に、次の時代のクリエイターの道具にアップデートされています。
さあ、Mac App Storeへどうぞ。
Source: Apple
(suzuko)