この何の変哲もない市街地の画像、パッと見るとなんだかボヤケているのか何なのか、まるで遠い昔の記憶を夢の中で思い出しているような光景に見えます。
実はこれ、3000枚のドイツの町並みの画像を元に学習したAIに、「道路を真ん中に通して、車がここにあって、」とラフなレイアウトを伝えて生成させたものなんです。スタンフォード大学の研究者とインテルによる「直列調整ネットワークによるフォトグラフィックな画像生成」という題で発表された論文で詳細を読むことができます。10月にイタリアで行なわれるコンピュータ・ビジョンに関する国際カンファレンスでプレゼンテーションがされるとのこと。

3000枚の写真にはその中身に「これは車」「これは街路樹」「これは道路」といった具合にラベル付けが行なわれました。それを元に学習をしたマシーンが、ラフなレイアウトを入力するだけで上のような精密な画像を自動で生成してくれるというもの。こちらのビデオではマシーンの成果の一部が紹介されているのですが、グランツーリスモのゲーム内の景色をこのマシーンを使って生成して比較しています。
グランツーリスモのような鮮明なリアル感は当然ありませんが、これはこれでなんとも不思議なリアルさがありますよね。論文の紹介文では「このアプローチはレンダリング・エンジンとして機能する」と書かれているように、ゲーム世界をリアルに構築するための非常に効率的なアプローチとして使えるようになるかもしれません。

シミュレーション、VR、さらには忘れかけた記憶の描写など色々な応用法がありそうでワクワクします。
Image: Intel VCL / YouTube
Source: arXive.org, Intel VCL via New Scientist
(塚本 紺)