実用的と思えるまでにはもう少し時間が。
新しいガジェットって、ただ見た目が優れているだけのものも結構ありますよね。美しいデザインと、閃光のごとく現れた感プンプンで新技術をアピールし、「欲しいなぁ」なんて思わせてくれるわけですが、ただ私たちが本当にそのガジェットを必要としているかどうかはまた別の話です。今まさにそんな類のガジェットが仲間に加わりそうな予感がしますよ。
Bloombergによると、先日Samsung(サムスン)のモバイル事業代表のKoh Dong-Jin氏が「Samsungは来年に折り曲げ可能なディスプレイ搭載のスマホをリリースする予定である」ということを明らかにしました! まだまだ、技術的に直面している課題がいくつかあるようで、実際のユーザー向け製品の開発過程に関してはベールに包まれていますが、これはもしかしてGalaxy Noteシリーズに採用される技術なのかもしれませんよ?

「事業の代表として言わせてもらうと、目標は来年です。いくつか抱える問題をクリアできれば、その製品をリリースするでしょう」と語るKoh氏。そういえば、Samsungは2013年にも初の屈曲式有機ELディスプレイの試作品を披露しており、「Youm」と呼んでいましたね。つまり、当時抱えていた問題を解決するために、この技術に数年も取り組んでいたということです。もう出るんじゃないかという予測や噂が、数年間行ったり来たりしていました。
当時も試作品と思われるものの動画がネット上で出回っていましたよね。それら試作品は、化粧用コンパクトのような殻のような形のものから、収納式スクリーンやタブレットサイズに拡張する折りたたみ式モデルまでいろいろありました。
どれも、ゴツゴツしている印象だったんですが、Bloombergの報道によると、折りたたみ式のモデルが、今Samsungが取り組んでいる有力なアイデアなのだそうです。
ただ、歴史的に見て、折りたたみ式の携帯電話はもはや少し古すぎるんじゃないかとも思うんですよ。いまスマホはベゼルを取り除いたフルタッチスクリーンに移行してきているわけで、Samsungが最近投入した懐かしの折りたたみ式携帯だって、その背景があるからこそ「レトロ」に見えるわけですよね。
そう考えると屈曲式ディスプレイは、このコンセプトに新しい息吹をもたらしてくれるか、もしくはちょっとしたまやかし程度で終わることになるかのどちらかなのかもしれません。プロダクトって、複雑なコンセプトに基づくものの、ユーザーの利便性を向上させるような具体的な利用シーンが想定されていないと、シンプルさのほうがむしろ魅力的だったりもしますからね。
それに現行のスマホが、パワー面でもディスプレイサイズでもかなりタブレットと近くなってきていますので、タブレット市場もすでに頭打ちですし。そう思うと、改めて消費者を惹きつけるにはなかなかハードルが高い気もしますよね。
また、現行のほとんどのスマホは、私たち人類の最大の敵でもある「水」と「尖った角」には必ずしも太刀打ちできるとは言えません。昔の折りたたみ式のガラケーのほうが実は耐久性には優れていたなんてデータもありますが、それは単に小さくて、ガラスではなくプラスチックケースに包まれていたからでしょう。今回のような柔らかくて曲がるディスプレイが、現行のスマホよりもどれくらいのダメージに耐えうるかが、私たち消費者の購買決定において最も重要な要素となるのかもしれません。
以前にSamsungによって披露されたいくつかの試作品を見る限り、この手のデバイスがテーブルからポロっと落としたときに、致命的な損傷を避けられるとはどうも思えないんですよね…。表と内側両方にスクリーンを持つものもあるんですよ? それに、ディスプレイのちょっとしたヒビも、フレームを一緒に折り曲げることで、一瞬で全体に広がってしまうんじゃないかとも考えちゃいますし。
ただ、コンセプトはかなりカッコいいんですよね。だからこそ、次はこのコンセプトをただのギミック以上のものに進化させてくれることを期待しています。Samsungは開発にまた数年費やすのかもしれませんが、この技術がモバイルテック業界の進む新たな道筋になることを願って…。
Image: Samsung
Source: Bloomberg, YouTube, Engadget, Business Insider, WIRED UK, ZDNet
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(Doga)