南極ペンギンの不思議な鳴き声が意味すること
Image: NOAA

南極ペンギンの不思議な鳴き声が意味すること

ペンギンの鳴き声ってどんなものかご存知ですか?

種類にもよりますが、「ガーガー」「ベーベー」など低く唸るような声から遠くに響くような高い声まで、じつに多様(そして不思議)な音を発します。これには仲間を探すため、子どもを見分けるため、テリトリーを守るためなど意味合いもさまざまですが、群れで繁殖地を形成するのに役立つと考えられています。

Scientific Reportsで公開された新たな論文では、主にニュージーランドの亜南極諸島や南極地方に生息するジェンツーペンギンが食糧を求めて泳ぐときに鳴き声を発すると、どのような変化が起きるのか調査結果が示されました。

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Image: Liam Quinn/Flickr
南極Jougla Pointのジェンツーペンギンとそのこども

ジェンツーペンギンは、魚やちいさなエビのような甲殻類「オキアミ」を捕食するのを好みます。ただ、調査のために彼らの食糧探しの様子を追うのは、凍えるような地で(文字通り)荒波に揉まれるようなもの。

そんななか、背中にビデオカメラを取りつけて初めての観測証拠を記録したのは、韓国極地研究所のWon Young Lee氏率いる研究チーム。以下の映像はそのひとつ。サウンドをオンにして、ぜひ鳴き声にもご注目ください。

Video: NPG Press/YouTube

Lee氏は米Gizmodoに対して「カメラを取り付けるのは繊細な作業でした」と語ってくれました。1人の研究者が両腕でペンギンを押さえ、もう1人がカメラを設置するというやり方をとったといいます。「普段こうした作業は8〜10分ほどかかります。厳密にいえば、カメラを紐などで縛ったわけじゃないんです。防水テープ(テサテープ)を使って背中の羽毛につけました」

2014年〜2016年にかけて、南極のキングジョージ島近くのペンギン10羽から収集された598の鳴き声は音響特性の分析のほか、潜水パターンや集団行動、食糧探しなどの行動との紐づけに用いられました。その結果わかったのは、ジェンツーペンギンが海表面で鳴くのは「仲間を呼ぶ」のに関連しているということ。

ほぼ50%の確率で、鳴き声が響いてから1分以内に仲間が集まって群れを形成したのが観察されました。鳴き声が発せられる前後の状況を比較すると、(食糧を探すための)潜伏の頻度や捕食の成功率に著しい変化はなかったものの、鳴き声のあとは浅く短く潜るようになったり、同じような場所を徘徊するよりも新しいエリアを泳ぐようにはなったといいます。

Video: NPG Press

Lee氏は、イルカやクジラも同様に大きな群れをつくるものの、ペンギンの特性とは異なると考えるようです。「ペンギンには、口頭コミュニケーションによって群れを形成するある種の戦略があることがわかりました。外洋でどのように意思伝達しているのか、私たちにはまだ多くの調査が必要です」と述べています。

たしかに、ひとつの論文では示しきれないほどの要因が絡んでいるような気がします。Lee氏の考察のとおりペンギンの捕食活動に戦略があるならば、鳴き声を発する者とそうでない者でどのような違いがあるのか、また集団行動の場合には分け前が対等にもらえると限らないことを踏まえると、鳴き声以外の要因も捨てきれなさそうです。

Image: NOAA
Source: Scientific Reports
George Dvorsky - Gizmodo US [原文
(Rina Fukazu)