スマートフォンやタブレットが、教育システムにどんどん活用されるようになってきました。いろいろな団体や学校がテクノロジーを使って、授業をよりインタラクティブに分かりやすくする工夫に取り組んでいます。それ以外にも宿題の提出や課題の管理など、マネージメントの部分でもコンピューターとインターネットは欠かせない存在になってきているようです。さらに大学や高校だけでなく、対象も低年齢化しつつあります。
インターネットやデジタル機器が教育を効率化し、かつ地域による教育格差を是正する働きを持ついっぽうで、テクノロジーへのアクセスが限られている貧困層の子どもたちに対してはこれまで以上のデメリットを抱え込ませているのではないかという指摘がされています。
そんな教育アクセスへの格差是正のため、オランダのハーグでは低所得層の子どもたちを対象に1,000台ものスマートフォンの無料配布が決まりました。「Social Sim」と名づけられたこのプロジェクトは、通信会社T-Mobile、Samsung、そして自治体のコラボレーションによって実現したそうです。
配られる機種はSamsungのXcover 4。無制限の国内通話と、一カ月につき1GBのデータ通信が無料で利用できるとのこと。国際電話、有料番号などの利用はできず、アプリも「必要であるもの」に限られるようです。ゲームがそれに含まれるのかは気になるところですが、詳細な情報はプレスリリースには書かれていません。
オランダの教育省長のジェッタ・クラインスマは次の声明を発表しています。
あらゆる子どもたちが参加できる状態にあるべきです。低所得家庭の子どもたちがスポーツ、音楽、ダンス、学校のアクティビティに参加できるよう予算を確保するのはそのためです。今の時代、アクティビティにはインターネットやモバイル機器といったものも含まれるのです。
プレスリリースによると、オランダではほとんどの中学校や高校で生徒と学校のコミュニケーションにデジタルな手段が使われているようです。スマートフォンのアプリを使ったコミュニケーションも普及しています。課題や時間割などもアプリで連絡されるため、スマートフォンを持っていない子どもたちは学校関連の重要な情報を得られない危険性があるんですね。
教育内容をよりよくするデジタルデバイスの普及が、所得格差によって教育格差を広げる原因になってしまうのは皮肉です。こういった視点と取り組みが広がっていけばいいですね。
Image: Shutterstock,
Source: T-mobile via TNW, Samsung
(塚本 紺)