だから備え付けの紙以外は流さないでって…。
油脂、ウェットティッシュ、紙おむつ、使用済みコンドームなど、下水に流しちゃいけないモノすべてが下水に流すべきモノと混ざり合ったうんこ臭い「ファットバーグ」の中でも史上最大級のヤツがロンドンの地下に出現したそうです。(「ファットバーグ」とは「ファット」=油脂と「アイスバーグ」=氷山をかけた造語のようです。)
今回のファットバーグはホワイトチャペル地区で発見され、2013年8月にキングストン地区を騒がせた15tの塊よりさらに凶悪な130t。下水道内部を全長250mにわたってベッタリ貼りついているそうで…それって野球場2つぶんぐらいの長さですよね。なぜこんなことになってしまったのか…?
The Guardianによると、ファットバーグのもとは家庭や飲食業会社から流された食用油。その油が冷えて固まり、下水道のあちこちに貼りつくと、そこに流されてきたモノがくっついてどんどん巨大化していくようです。ロンドンでは最近トイレ後のエチケットにウェットティッシュを使う人が多いみたいですが、このウェットティッシュほど油脂にくっつきやすいモノはないそう。他にも生理用ナプキン、雑巾、殺虫剤、絵具、エンジンオイル、除光液…などなど、下水に流しちゃいけないモノを大量に吸収したファットバーグは臭いばかりか有毒です。
Our version of a walking tour of London: see for yourself the monster #Fatberg everyone's talking about: pic.twitter.com/LNd81wAliO
— Thames Water (@thameswater) 2017年9月12日
映像でみるかぎり、ファットバーグのまわりをドブネズミがウロウロしてるわ、ハエがたかってるわでまるで地獄絵図。

こんな恐ろしい怪物を片づける羽目になったのがイギリス最大手の水供給処理会社、Thames Water社です。下水道処理部門トップのMatt Rimmerさんによれば、ファットバーグはコンクリートみたいにガチガチに固まっているため、高圧洗浄機で削り取ってからホースで吸い出すしかないようです。すでに回収作業は進められていますが、ファットバーグをまるごと取り除くには8人がかりの手作業で3週間以上もかかるんだとか…。
今回ファットバーグが発見された下水道はヴィクトリア朝時代に造られたものです。高さ120cm、横幅70cmしかない上に老朽化も進んでいて、特につまりやすい構造なのかもしれません。ロンドン市内には他にいくつもひっかかりやすいポイントがあるようで、今後またどこにファットバーグが出現するかわからない状態とのこと。
We've shown you what happens when fat & wipes go down the drain. We've asked you to bin it. But do you know how? Watch this space! #FatTrappic.twitter.com/cLq7GkWYhN
— Thames Water (@thameswater) 2017年9月11日
なんとThames Water社が下水道の清掃と維持管理にかける費用は1カ月で約1.4億円。しかも、ファットバーグはちゃんとゴミを分別して捨てて、食用油を直に下水に流さなければ起こらない人災です。なのでThames Water社では「ちゃんと捨てて、つまらせない」キャンペーンを実施中だそうですが、こうしてファットバーグの出現が後を絶たないということは、人の習慣ってなかなか変われないんですかね…。
Image: Thames Water via Gizmodo US
Source: Thames Water, Twitter
Reference: The Guardian
George Dvorsky - Gizmodo US(原文)
(山田ちとら)