カップルが別れるかどうか人間より正確に予測するAI:分析するのは言葉の意味じゃない

カップルが別れるかどうか人間より正確に予測するAI:分析するのは言葉の意味じゃない

恋愛のアドバイスすらAIからもらう時代に。

アメリカでは「カップル・セラピー」というカウンセリングが普及しています。問題を抱えて夫婦関係が上手くいっていない、2人とも関係の修復方法がわからずこのままでは離婚しかない。そんな悩みを抱えた夫婦が心理学などを専門にするセラピストと3人で解決の糸口を探るものです。

はたしてカップルが関係を修復して離婚を回避できるか、カウンセリングを始めた段階では誰にも予測がつかないものですが、南カルフォルニア大学の研究者たちはAIを使って高確率で予測することに成功したそうです。このことに関する論文がPLOS ONEで公開されています。

我々の実験ではストレスを抱えた関係にある夫婦を対象にした、経年臨床調査のデータを用いました。その結果、音声に基づいた夫婦関係の予測がカップルの言動を人間によって評価したものに基づいた予測と同等、もしくはそれ以上に正確であるということがわかりました

声が含んでいる大事なメッセージ

実験でははじめ、134組のカップルのカウンセリングの音データと、それぞれのカップルの関係がどれだけ続いたかというデータをマシーンラーニング・アルゴリズムに入力したそうです。ちなみに論文によれば、研究中にカウンセリングが終了したり十分な情報が得られなかったとして、一部カップルの記録は得られなかったとのこと。

この研究で記録された音データには、カップルの双方がどれだけ長く話したか、どんなタイミングで、どんな声のトーンで話したかが含まれています。そうです、実際の言語の意味はまったくデータに含まれていないんです。純粋な音声とカップルが続いた期間をデータとして入力し、相関関係を分析させているわけです。

これはハッとさせられる事実ですよね。たしかに何を話しているかよりも、相手の話を聞いているか、叫んでいたり怒鳴ったりしないか、相手の話を遮っていないか、といった声のパターンで人間関係っていろんなことがわかりますよね。外国語の映画を字幕なしで観ても、なんとなく関係がわかるのと似ています。

一筋縄ではいかない相関関係

しかし我々人間が想像するほど、結果は単純ではなさそうです。こちらの表の青い丸は関係性を修復したカップル、赤い丸は修復できなかったカップルの、カウンセリングにおける声の大きさの標準偏差を示す横軸と声の高さの差分の平均を示す縦軸の相関関係を示したものです。

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Image: Predicting couple therapy outcomes based on speech acoustic features / PLOS ONE

(この表を見ると)声の高さの変化、そして声の大きさの変化が散らばっているほどポジティブな結果と相関していると推測することもできます

もちろんAIは「なぜこういう関係があるか」は説明してくれないのですが、なかなか興味深い知見です。たしかに声の高さも大きさもずっと一定なふたりのカウンセリングは「終わりが見えている」カップル像を想像できます。もちろん、このAIの目的はカップルたちに対して「あなたたちは望みがないですよ」と判決を下してしまうことではありません。

現状の目的は改善のサポート

論文では次のように目的を説明しています。

この研究の目標は、メンタルヘルス研究者や臨床医といったこの分野の専門家たちが判断を下す際のサポートを提供することです

たしかに、修復困難なカップルは双方に言い分があり、お互いに歩み寄れない状況になっていることが多いように思います。そのときにこのデータやAIの分析を見せて「あなた方がお互いに話す声のトーンは、失敗するカップルの典型です」といえるだけでもハッと気づかされる人はいるかもしれませんよね。

カウンセラー自体がロボットに置き換えられてしまうSF映画の世界はまだまだ実現しなさそうですが、普段の自分の話し方にちょっと気をつけたくなるような研究結果です。

Images: Shutterstock, PLOS ONE
Source: PLOS ONE via TNW, Wikipedia

(塚本 紺)

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