ワイヤレス充電について知っておくべきことすべて
Image: Apple

ワイヤレス充電について知っておくべきことすべて

ついにスマートフォンの基本機能へ。

登場から何年も経った今、ワイヤレス充電がついにiPhoneにやってきました。他のメジャーなスマートフォンではもう数年ほど使われてはいますが、ワイヤレス充電っていったいどんなものなんでしょうか? そしてワイヤレス充電は、有線での充電よりも優れているんでしょうか? ワイヤレス充電について知っておくべきことと、それを活用するために必要なもの、この記事でまとめます。

ワイヤレス充電ってどんな仕組み?

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Image: PowerbyProxi

ワイヤレス(または電磁誘導式)充電のカギは電磁場、つまりエネルギーをある場所(充電パッド)から別の場所(スマートフォン)へ、電磁誘導の魔法で伝送する方法にあります。

ざっくりいうと、上図のようにふたつのコイルがあって、ひとつはエネルギーをワイヤレスで伝わる電磁場へと変換するため、もうひとつはその場をエネルギーへと変換するためにあります。このふたつのコイルが、変圧器の役割を果たします。iPhone 8の内部構造の情報が流出してコイルが見つかったとき、すぐさま「ワイヤレス充電来る!」ってなったのは、このためです。

ワイヤレス充電非対応のスマートフォンを使っていても、ワイヤレス充電用ケースとかアダプタを使えば充電ができます。ワイヤレス充電パッドはどっちにしろ外付けで買うものなので、ひとつ買い物が増えるだけだと思えば、こういうのを使ってみるのもいいのかもしれません。

規格について詳しくは後述しますが、上に書いた電磁誘導方式だけでなく、磁界共振方式についても知っておいたほうがいいです。電磁誘導方式とそんなに大きくは変わらないんですが、より離れた場所の端末を充電でき、ひとつの充電器で複数の端末を充電するとき便利です。対応する素材の種類も多く、本体が厚い端末でも大丈夫です。

基礎知識はこれくらいですが、あとはスマートフォンと充電パッドそれぞれの対応出力は要チェックです。ワイヤレス充電のスピードは、スマートフォンと充電パッドの出力の遅い(数字が小さい)方に引っ張られるし、一般的に有線での充電よりも時間がかかります。とはいえ、こうしたスペックはつねに改善しつつあり、技術はより効率よくなっていくし、必要な部品の価格も下がっていってます。

ワイヤレス充電のいろんな規格

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Image: Wireless Power Consortium

上に書いたように、ワイヤレス充電はもう何年も存在していて、電動歯ブラシとか2012年のNokiaのLumia 820などで使われています。そしてもちろん、テクノロジーである以上いくつかの規格があり、それぞれの間には互換性がありません。

ワイヤレス充電に関してメジャーな規格で、新しいiPhoneを含めて多くのスマートフォンが採用しているのが「Qi」(「チー」と発音)です。QiはWireless Power Consortiumが開発したもので、そこにはAppleやGoogle、サムスンなどガジェットのビッグネームほぼすべてを含む247社が参加しています。

もうひとつ大きいのはAirFuelで、これはAlliance for Wireless PowerとPower Matters Allianceのパートナーシップでできたものです。Qiもそうなんですが、この規格では電磁誘導方式と磁界共振方式両方をサポートしていて、ただその実装の仕方がそれぞれちょっと違います。なのでこれらふたつの規格はお互いに互換性がない、つまりQi対応の電話をAirFuel対応のパッドでは充電できないということです。

AirFuelはQiほどは普及しておらず、ただメジャーな端末の中でもいくつか対応してるものがあります。たとえばGalaxy S8は、AirFuelとQiの両方に対応しています。それから米国のスターバックスではテーブルにワイヤレス充電パッドを内蔵してるところがあるんですが、それは当初AirFuel(当時はPMA)対応で、最近はQiもサポートするようになっています。

とにかくスマートフォンが対応してるのと同じ規格の充電アクセサリを買えば、間違いはありません。もしスターバックスのテーブルの充電パッドにiPhone 8を置いてみて、あれ? 充電しないんですけど、って思われた方がいたら、その理由はこういうことだったんです。

ワイヤレス充電に必要なもの

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Image: Gizmodo US

ワイヤレス充電そのものの複雑さとか、規格同士のシェア争いとかはさておき、ワイヤレス充電に必要なものを買うのはそんなに難しいことじゃありません。自分のスマートフォンで対応している規格を確認し、それと同じ規格のパッドを選ぶ、それだけです。

Qi規格対応のスマートフォンはすごく多く、たとえば新しいLGやサムスンの端末、iPhone 8などがあります。一方AirFuelは、今年のLG G6や、最近のサムスンのGalaxyシリーズ、あとはマイナーな端末もいくつか対応しています。どうしてもAirFuelを使いたい人は、スマートフォンに差し込んで使うリングを買えば、AirFuelの充電パッドで充電できるようになります。

充電パッドはスマートフォンメーカー純正である必要はありません。Qi対応の充電パッドを使えば、Qi対応の端末すべてを充電できます。ただ、上でも書いたように最大出力は要確認で、これが合ってないと、パワーのない方に足を引っ張られることになります。

Appleはいつものことながら、独自の純正アクセサリ「AirPower」を開発しています。これはQi対応で、iPhone 8以降のiPhoneとAirPods(これはApple純正の充電ケースに入れて使う必要があります)、Apple Watch Series 3以降を充電できることになってます。ただAirPowerはまだ発売されておらず、Qiをどういう風に実装しているのかよくわかっていませんが、とにかく複数のデバイスを同時に充電できたり、全デバイスの充電状況を表示できたりといった特殊な機能があるとされています。でもAirPowerじゃなくても、Qi対応の充電パッドならiPhone 8でもiPhone 8 Plusでも、iPhone Xだって充電できます。

サムスンはQiをベースにしつつ「急速充電」可能なパッドを出しています。このパッドでは対応するサムスン製スマートフォンをより速く充電できるんですが、そのために熱くなるので、内蔵のファンで放熱する仕組みになっています。サムスンの端末ではQiにもAirFuelにも対応しているものがいくつかあるので、充電方法の選択肢もたくさんあります。

ワイヤレス充電のメリット・デメリット

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Image: Pi

ワイヤレス充電の良いところはもちろん、スマートフォンをパッド(または家具)に置くだけなので楽ちんってことです。だって有線で充電するときは、まずケーブルを探し、端子をつかまえて、それをスマートフォンのポートに差し込む必要があり、さらには裏表まで意識しなきゃいけないものもあります。それがなくなる便利さこそ、ワイヤレス充電を選ぶ最大の理由です。

でも、デメリットもあります。基本的にワイヤレス充電中は、端末を使えません(少なくとも簡単には)。またワイヤあり充電に比べると、充電に時間がかかります。電磁誘導方式は磁界共振方式よりちょっと早いんですが、端末と充電パッドをしっかり近づけて、位置もきっちり合わせる必要があります。

と言うとワイヤレス充電をお勧めしていないように聞こえるかもしれませんが、実際ワイヤレス充電に慣れてしまうと、デメリットは快適さで帳消しになります。パッドを2、3個買って家とオフィス、あとは車の中とかに置いておけば、スマートフォンを使っていないときにはいつも充電できるようになります。充電中に電話に出なきゃいけないときがあっても、ケーブルを外したりする必要はなく、パッドから端末を取り上げるだけでOKです。

今はサムスンもAppleもワイヤレス充電に対応したことで、この技術は今まで以上に急速に進化していくと思われます。そうすればワイヤレス充電はもっとユビキタスになって、速度や出力もワイヤあり充電に近づいていくと期待できます。

たとえば来年発売予定のワイヤレス充電器Pi(上の画像)は、特殊な電磁場により端末を近くに置くだけで急速充電できるとされています。テック企業や研究者がより手軽な充電手法を追求し続けていくことで、ワイヤレス充電はスマートフォンの新たな基本機能となっていくことでしょう。

Source: 9to5mac, imore, Powermat, Samsung, Pi

David Nield - Gizmodo US[原文

(福田ミホ)

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