Beats Studio3 Wireless ヘッドフォン レビュー:Beatsの中ではベスト。ライバルメーカーの中ではベストに非ず
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Beats Studio3 Wireless ヘッドフォン レビュー:Beatsの中ではベスト。ライバルメーカーの中ではベストに非ず

平均点以上。

Apple(アップル)によるハイエンド・ヘッドフォンブランド「Beats by Dr. Dre」。そのBeatsシリーズの最新プロダクト「Beats Studio3 Wireless ヘッドフォン」のレビューを米GizmodoのAdam Clark Estes記者が書いています。ノイズキャンセルと、AppleのW1チップの組み合わせということで狙っているAppleファンも多いかと思いますが、実際の使い心地はいかに。


BeatsのヘッドフォンはAppleがブランドを買収して以来、少しずつ良くなってきています。と断言してしまうと大胆すぎるかもしれませんが、それでもテック企業によって発明された「”プレミアム”(感をあおる)マーケティング」によって生み出されているプロダクトには変わりない、というのが私の意見です。しかし確実に商品としては良いものになりつつあるようです。

今回のBeats Studio3 Wirelessは、旧モデル(Beats Studio Wireless、Beats Studio V2 Wireless)と非常に似ています。デザインだけに注目すると、若干暗めのロゴが刻印されている以外は全く同じように見えます。もちろんデザイン変更がないことは悪いことではないですよね。特に今回は中身が一気にアップグレードされているわけです。

Beats Studio3のメインアップグレードは、ピュア・アダプティブノイズキャンセリング(Pure ANC)が搭載された点(これももしかしたら実際の技術以上にマーケティング的なものかもしれないのですが)。そしてもう1つがおなじみAppleによるW1チップです。これによってバッテリーの持ちと接続が改善されています。とは言ってもヘッドフォンに350ドル(約4万円)を支払う以上は、良いノイズキャンセリングとバッテリーはついてきて当然、と言っても良いかもしれませんね。

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Beats Studio3 Wireless

・これは何?Beats製の最高のヘッドフォン

・価格:350ドル(日本価格 3万4800円

・好きなところ:良質な音と、堅実なバッテリーライフ

・好きなじゃないところ:とても高い!

値段に見合った価値があるのか?について語りだす前に、まずは製品のクオリティについて語らせてください。過去のBeatsヘッドフォンにまつわる不満は「これはアリなのか」というデザイン、そしてその結果生まれていたプロダクトの作りの弱さなどが挙げられてました。Beats Studio Wirelessの第一世代を試したときにはそれほどヘビーには使用していなかったにもかからわらず、数週間でプラスティック部分が壊れ始めたこともありました。Studio 2.0(Studio V2)、Studio3ではこの問題は起きなかったので、とりあえずそこに関しては安心です。新モデルは軽く、ある程度の頑丈さは感じられるものの、Bowers & Wilkinsといったハイエンドのブランドで得られる革のディテールなどといった高級感はありません。またゼンハイザーのMOMENTUMのような頑丈さを追求した骨太デザインでもありません。

デザインにおける「プレミアムなのにこの物足りなさ」は音のクオリティにも同じことが言えてしまいます。十分な音質を提供するという意味では問題はないのでご安心ください。ドリー・パートンによる70年代のカントリー・ポップの名曲『Jolene』は温かい低音と自然なギターの音を実に心地よく聴けました。しかしハービー・ハンコックによる『Cantaloupe Island』のようなイノベーティブなジャズを聴くのが好きな人にとってはちょっとがっかりするかもしれません。Studio3はこの曲のオーケストラ全体の魅力を伝えるところまではいかず、全体的に閉じ込められたように感じられました。また驚いたのは電子音楽もパフォーマンスが比較的落ちることです。Justiceによる『Genesis』のような楽曲はハイエンドスピーカーで聞くとしっかりとした低音が支えていることが聴いてとれるのですが、それはStudio3では感じられなかったんです。また高音も耳につく音になって聞こえてしまいます。とはいえ、だいたいのユーザーにとって、音のクオリティはまず問題ないでしょう。

W1チップ搭載とピュアANC機能という今回のアップグレード内容は、どちらも音自体にはほとんど影響を感じられるものではありませんでした。W1チップが発表されたのは1年(以上)前のこと。これによってヘッドフォンとデバイスの接続が通常のBluetoothよりもずっと確かなものになるハードウェアとして開発されたのでした。また効率性も高まっているためデバイスのバッテリー寿命も伸びているというわけです。ピュアANC機能をオンにした状態でStudio3ヘッドフォンはなんと22時間も電池が持ち、ANCをオフにすれば40時間ももつとAppleは言っています

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どういうわけか、充電ポートはmicroUSBのまま。一方、BeatsX WirelessイヤフォンはLightningポートを搭載しています。

ピュアANC機能(Pure ANC)がちょっと理解し辛い機能であることは間違いありません。というのも、この呼称はBeatsが作り上げたもの。Beatsのウェブサイトによると、このテクノロジーは「アルゴリズムが常にリスナーの環境をモニタリングすることで周囲の騒音をベストな方法でブロックすることができる」とのことです。それに加えて「ピュアANC機能はノイズキャンセリングが適応されている間、聴いている音源も同時にチェックします。それによって常に最適な音響環境を保つために調整し続けるのです」とも述べています。

果たしてこんなにたくさんのことを本当にピュアANCが成し遂げているのか? それは正直わかりません。Appleは耳障りの良いバズワードが好きですし、他のノイズキャンセリングや前世代のプロダクトよりもピュアANCが大きく優れているという実感はない、というのが正直な感想です。ノイズキャンセリングで私が気に入っているのはソニーのMDR-1000Xですが、そちらのほうが確実に質の良いノイズキャンセリングを提供してくれます。アップグレードしたこと自体は良いことですが、Studio3のかっこいい言葉で飾られたピュアANCは特にこのプロダクトカテゴリーでベストなものというわけではないように思われます。

もちろん前モデルよりは良いことは確実です。ノイズキャンセリングも前モデルのものよりは良くなっていますし、バッテリー寿命は格段に良くなっています。しかし結局のところ、200ドル程度であるべきヘッドフォンをBeatsは350ドルで売ろうとしている、というのが現実です。

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下が新モデル。上が旧モデル。デザインは変わっていません。

なので他に買うべきプロダクトはある、というのが私の判決です。前述のソニーのヘッドフォンも最近アップグレードされたばかりですし、値段も同じ350ドル(日本価格は3万6880円+税)となっています。ノイズキャンセリングヘッドフォンが欲しいのであればそちらを買うのをオススメします。もしも高級感あふれるかっこいいワイヤレスヘッドフォンを欲しいのであれば、少しお金を足してBowers & Wilkins P7のほうが良いかもしれません。Beatsと同じクオリティで良いけどもっと安いものが良いのであればJBL Everest Elite 750NCを買うのが良いでしょう。またBose QuietComfort 35 Wirelessも300ドルよりもちょっと高い値段ですが、こちらは実証された素晴らしいノイズキャンセリングを備えています。

と長々と書きましたが、もしもアナタがBeatsプロダクトが好きで何が何でもBeatsを買う、と決めている場合は関係ない話です。Beats Studio3 Wirelessはマーケットにあるヘッドフォンの中でベストではありませんが、Beatsのヘッドフォンの中ではベストな物であることは確かです。

まとめ

・接続性とバッテリー寿命はW1チップによって改善されています。

・音のクオリティは確かに満足のいくものですが、驚くほどではありません。

・ピュアANCは前モデルよりも若干良いですが、マーケティングの香りがします。

・350ドル(日本価格 3万4800円)という値段はやや高いです。



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Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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