初代『ブレードランナー』からの空白の30年間を埋めるアニメ短編も話題となった続編『ブレードランナー2049』。今回は本作のメガホンを取った『メッセージ』、『ボーダーライン』でもおなじみのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー!
映画に込めたメッセージやラブシーンの撮影方法などについて語っていただきました。ちなみに、出来る限り隠していますがネタバレな内容も含んでいますので、鑑賞後に読むことをオススメします!

──今回、映画のストーリーが予告編などのプロモーションの中でほとんど明かされておらず、本編を見た時はびっくりさせられることが多かったのですが、これは監督が狙ったことなのですか?
ドゥニ・ヴィルヌーヴ(以下、ヴィルヌーヴ):その質問への答えはイェスでもあり、ノーでもあります。
私は監督として、作品にサスペンスや緊張感、驚きを持たせたいので、観客には可能な限り内容を知らずに観て欲しいと思っています。
だから、一体どんなものを作っているか注目されていないほうがいいんです。前作の『メッセージ』では私がどんなものを撮ってどんな話にするのかなどはあまり気にされなかったのですが、今作はとにかく期待が高く、みんな躍起になってどんな話かを探ってきました。
しかし、今作はスタジオがかなりの秘密主義で、限られた人しか脚本を読むことができなかったので、作る上では結構苦労をさせられたスタッフもいたことでしょう。まるでCIAで働いてるみたいな感じですね(笑)。

──今作には前作同様沢山のテクノロジーが登場していますが、初代『ブレードランナー』が公開された35年前と比べ現実世界でもテクノロジーは目覚ましい進化をしていますよね。監督自身はそう言ったテクノロジーの発展に対してどのように感じますか? また作品にそういったものを反映させましたか?
ヴィルヌーヴ:35年前とくらべて大きくテクノロジーが発展したということが、今『ブレードランナー』の新作をやる意味にもなっていると思います。
特に今作では、便利なテクノロジーが時に我々人間の間にある距離を縮めるのではなく、スクリーンのように割って入っているものなんだというようなことを論じています。

──映像的に度肝を抜かれるシーンがたくさんありましたが、AIと娼婦の体が重なり合って一心同体になるラブシーンは非常に美しかったです。あのシーンはどのようにして撮影されたものなのでしょうか?
ヴィルヌーヴ:あのラブシーンはクラシックな映画のようなアナログで写実的な雰囲気をもたせたかったんです。その一方で、催眠術のようでちょっと恐ろしく、エロティックでSFらしいものを目指しました。そのためにも役者に自然に演じて欲しかったので、撮影時は一切道具や機器を彼らの間に用意しませんでした。
撮影としては、2人の女優を使ってまったく同じ動きをするシーンを2回撮りながら、それぞれに微妙な差を持たせシンクロしている時とそうでない時の表現をしています。とにかく時間のかかる撮影でしたが、みんなが協力してくれました。
そしてそこからはCGの出番です。まさに悪夢のような作業で、2人の女優を完全に3Dスキャンし、1人の女優の映像の上にもう一方の女優の3D映像を重ね合わせています。
腕のいいCGアーティストたちが、可能な限り自然になるよう融合させてくれました。このポストプロダクションにはおそらく丸1年かかっているので、本当に本当に大変な作業だったと思います。
現場で撮影を見ていたVFXアドバイザーが汗を垂らしながら気を失いかけてたのをよく覚えていますよ(笑)。
とにかく本当に素晴らしいシーンで、それを作り出したアーティストたちの仕事を誇りに思っています。

監督の意向を尊重し具体的な説明はしませんが、驚くほどに素晴らしく、これぞ近未来って感じのSFなラブシーンとなっています。他にも美しいショットが多く、何度も映画館で観たい作品。
ストーリーは監督の狙い通りのサスペンスと驚きに満ちているので、本当に情報を仕入れず楽しんでいただきたい! ただ、個人的には事前に公開された短編は観ていた方が理解がしやすいと思います。
映画『ブレードランナー2049』は現在公開中!
Photo: ギズモード・ジャパン
Image: © 2017 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.
Source: 映画『ブレードランナー2049』 | オフィシャルサイト
(傭兵ペンギン)