拡散するその前に、これだけやれば大丈夫。
ウェブの嘘写真を見分ける基本をまとめてご紹介します。
肉眼でわかる嘘写真
胴体がないとか、頭が1個多いとか、半分もげてるとか。誰が見たって偽物とわかる雑な合成もあります。さすがに最近はアプリも高度になって、そういう雑誌の間違い探しクイズみたいなのはなくなりましたが、影の方向が怪しいとかいうのは、今でも割と通用します。
色、明るさ、コントラスト。いくらツールが高度になっても、すべての整合性を図るのは結構なスキルが要求されますからね。そのよい例がこちら。

トルコのメヴリュット・チャヴシュオール 外相が後ろからプーチンに異常接近と騒ぎになりましたが、どう見たって浮いてますよね、プーチン。
文字の反転、文章がおかしくなっているのも、2枚の合成写真を見分けるサインです。クロップの痕跡、どう考えたって無理があるアングルも、都合の悪いものを隠すときによく使うテクニックですね。大きな写真は限界までズームインすると、いろいろボロが出てきますので、ぜひお試しを。
事実確認
写真で見分けられない場合は、事実の裏確認でフェイクとわかることも多いです。一番上の写真は昨年暮れ、「ナショナルジオグラフィックのフォト・オブ・ザ・イヤー」という説明と一緒に世界中でシェアされたものなのですが、ちょっと拡大すればCGなことは一目瞭然です。

撮影者は「同誌Bob Burton写真部門チーフ」とありますが、検索すればそんな人物はどこにもいないことがわかります。
チェックのポイントは、撮影者が実在の人物か、撮影内容が報道とかみ合うか。キリンがマンハッタンを歩いていたら絶対ニュースになるはずなので、写真をシェアする前に検索してみましょう。
画像をリバース検索
画像で画像を検索して拡散の足取りを追うアプローチ。これは結構効きます。グーグルの画像検索の検索バーのカメラのアイコンをクリックすると、画像のURLかアップロードで検索できますよ。同じことはTinEyeでもできます。
似たような写真が山のように検索されて終わりのこともありますが、最初の写真がヒットして、ねつ造ルートが特定できたりもします。

何枚かの合成なら、それぞれの元の写真が辿れることもありますので、各パーツをクロップして画像検索してみてください。最初に公開された画像が大手報道機関のものなら、そこが本当の写真クレジットとなります(報道機関がウェブの偽写真を転載してなければね)。いつ誰が撮影した写真か、洗い出します。
嘘発見サイト「Snopes」ではこれを専門にやっていますので、そこで検索をかけてみるのもおすすめです。上記のシャークの写真みたいに、何度も何度もすり減るまで拡散されている偽写真の有名どころは大体もう、Snopesでウソ認定されています。URLやキーワードで検索をかけてみましょう。
ファイルのデータで見分ける
肉眼ではわからなくても、画像のメタデータまで掘るとボロが出る偽写真もあります。EXIFデータ。画像編集ソフトか、なければウェブアプリでも取得できますけど、ここを見れば撮影日時と場所が特定できます(そこまで修正してなければ、ですけどね)。
メタデータは簡単に削除・ねつ造できちゃうし、ネットの偽画像はないものが多いので、決定打にはならないけど、嘘判別の手がかりにはなります。たとえばこちらはニコン・シンガポールが昨年1月、写真大賞に選んでしまった合成写真。

「飛行機の周りだけ空が四角く浮いて見える!」と世界中のフォトグラファーから疑惑の声とともに上記検証フォトが寄せられ、受賞は取り下げとなりました。撮影者のChay Yu Weiさんはこう釈明を発表しています。
「ほんの遊びのつもりで、PicsArtで飛行機の写真を挿入してインスタグラムに投稿しただけで、誰も騙そうなんて思ってなかった。本当にねつ造したかったらPicsArtアプリなんて使わない。ちゃんとPhotoshopでやる。でも大賞に応募したのは調子に乗り過ぎた。反省している」
この場合は、簡単なレイヤー分析でウソと判明しました。これはほとんどの写真編集ソフトでできますので、お手持ちのソフトでいろいろ試してみてくださいね。
写真の原理で見分ける
写真の原理がわかれば、すぐ見分けられる偽写真もあります。たとえばこちら。

星をこれだけくっきり撮るには長時間露出が必要です。当然、熱気球はブレてないとおかしい。ところが一分のブレもありません。つまりはフェイク、ということになります。
毎回100%見分けられるわけじゃないけど、この基本を覚えておけば騙される確率はだいぶ減りますよ。判別できないときには、米Gizmodoの嘘判定特集もぜひチェックしてみてくださいね!
David Nield- Gizmodo US [原文]
(satomi)