まるでディストピア映画…。
「Google Home Mini」は50ドル(日本では6,480円)で幅10センチほどの小さな体に、Google(グーグル)の人気スマートスピーカー「Google Home」の機能を詰め込んだシロモノ。もちろん130ドル(日本では1万5120円)の大きいやつのほうが音はいいですが、それでもこのGoogle Home Miniは聞くことに関しては長けているようです。
Googleのプレスカンファレンスイベント「Made By Google」とポップアップイベントでは4,000台のGoogle Home Miniが配られましたが、Android Policeの報道によれば、それらの個体はバグによって周囲の音声をほぼ全て録音し、Googleのサーバーに送っていたようです。
10月4日のプレスイベントでデモユニットを入手したというAndroid PoliceのArtem Russakovskii氏は、バスルームにGoogle Home Miniを置いていました。その2日後の10月6日、彼はテレビを見ようとしているときにMiniが繰り返し作動していることに気づきます。Googleアカウントの「マイ アクティビティ」を調べて判明したのは、この小さなデバイスが彼の知らないうちに数千もの録音データをGoogleに送信していたということ。しかもデータはどれも再生可能なものでした。
これは大問題です。スマートスピーカーはユーザーからのプロンプト(「OK Google」や「Alexa」などの作動を促す呼びかけ)なしには音声を録音するべきではありません。ユーザーの了承を得ずに膨大なデータをテック企業が吸い集める、しかも家の中という私的な空間から集めるなんて、プライバシー擁護派の最大の懸念の一つであるスマートスピーカーの悪用がバグとはいえ起きちゃったわけです。
Russakovskii氏はGoogleのPRにこれを知らせ、Google側は即座にこの問題の調査を始めたようです。結局、問題の犯人はどうやらデバイスのタッチパネルだったとのこと。Home Miniは音声コマンド無しでGoogleアシスタントを起動できるようタッチパネルがあるのですが、そこに問題がありデバイスが常に触られていると誤感知してアシスタントが録音をしていたんです。
それでも4,000台というのは大きな数字。Ars Technicaによればタッチパネルの機能はパッチで無効化可能ですが、Ars Technicaの持つHome Miniは「一度もおかしくなってランダムに録音し始めたことはない」そう。
まるでジョージ・オーウェルの小説『1984年』みたいなスマートスピーカーによる監視社会の夢を垣間見た話でした。2016年にはFBIが「Amazon Ecoを盗聴したことがあるか」というPaleofutureの質問に回答拒否、2017年にはAmazonが殺人事件に関連するとみられるEchoの録音内容を提出するなんてこともありました。
米GizmodoはGoogleにこのバグに関する詳細を尋ね、回答を待っているところです。
Image: Google
Source: Android Police
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)