古き良きゲームと現代人の相性やいかに…
アメリカでの生誕20周年を記念して、BANDAI Americaから「たまごっち」のミニ版がリリースされました。日本では2005年に販売された「ちびたまごっち」の復刻版として2017年4月に「かえってきた! ちびたまごっち」が発売されています。少し小さくなったモデルで、あの頃と変わらない懐かしいゲームで遊ぶことができますよ。
もちろん、当時ブームに乗り遅れた人たちにとって今回はチャンス。「土曜の朝11時から世話しはじめたんだけど、数日後の午後には死なせちゃった」と、ドラマチックにたまごっちデビューを振り返る米GizmodoのAndrew Liszewski記者のレビューをご紹介します。
本当はちゃんと育てたかったのに…たまごっちはそう簡単ではありませんでした。
子どもの頃、時代の最先端ゲームコンソールだったスーファミで遊んだのは素晴らしい経験でした。でも、オトナになってミニスーファミの海外版「SNES Classic」で数分以上情熱を注げるのは限られたゲームタイトルだけ。残念ながら、たまごっちにはもっと少ない時間しか注げませんでした。

日本では1996年、アメリカでは1997年に発売された世界初のバーチャルペット「たまごっち」。20周年となったアメリカでは、ポケットに入れて持ち運びやすいミニサイズが発売されました。デザインはアメリカでは販売されていなかった日本オリジナルの卵の殻型。当時両親にねだって買ってもらったことを考えれば、15ドル(税込1,620円)という価格と懐かしさもあいまって、手に入れることは痛くもかゆくもないでしょう。
20年経って技術的に改良されたのは小型化だけ?といえばそうなのですが、こればかりは昔ハマったゲームそのもので遊びたい人と、現代ならではの追加機能を求める人と意見がわかれるところ。

低解像度の液晶画面は当時のままです。256ピクセルの世界で、さまざまなキャラクターを育てることができます。
ただ、現代のスマホやPCの画面に慣れているぶん、使いづらいときも。光を反射してしまうので、プラスチックの画面で何が起こっているのか見づらいんです。画面の向きを変えてみたり、暗闇で試したりする必要があったのですが、暗闇ではバックライトがないので何も見えませんでした。

たまごっちにハマっていたという人のなかには、3つのボタンでどう遊ぶのか記憶に残っている人もいるでしょう。トイレを流してあげたり、ごはんをあげたり、キャラクターの要望に応えたり…。今回初めてたまごっちを手にした身からすれば、絶えず付属マニュアル片手に育成しなければならない状況でした。
たまごっちが2017年という時代を生き残れるかというと難しい気がします。キャラクターにつきっきりでお世話しなければいけないこともですが、Instagram、Twitter、Snapchat、Netflix、YouTube、ゲーム、電子書籍など、スマホからいとも簡単にアクセスできてしまうエンタメが溢れているのが現代です。それらには通知機能もあって頻繁にスマホを鳴らすので、たまごっちがうんちを何個も積み重ねて鳴らすビープ音はスルーされちゃうかもしれません。

20年前のブームに乗り損ねたからこそ、あの頃みんながハマっていたように本気でたまごっちの良い親になりたいと思っていました。なのに、ダメだった…死なせちゃったんです。
たまごっちをすぐに死なせた私は、育児放棄した悪い親だったんでしょうか。裁判ではきっとそう判定されてしまうに違いないですが、本当のところなにがいけなかったんでしょうか?
20年前から進化していないたまごっちに情熱や時間を注ぎ続けるのは難しいものでした。せめてスマホやスマートウォッチに通知機能を送ってくれたら、状況は違ったかもしれません。
たしかに、忙しい現代人のライフスタイルに20年前のたまごっちがピタッとくるかといえばそうではないかもしれません。とはいえ少なくとも20年前に夢中で育てたあの感動をもう一度、という意味では「当時と変わらないたまごっち」を喜んで手にしたいユーザーも多いはず。
昔のままの懐かしきたまごっちを今の時代にすくすく育てるには、米Gizmodo記者のいうようにスマホとの連動など、いろいろな策を練ってもよさそうです。
All Images: Andrew Liszewski/Gizmodo & Bandai
Source: BANDAI America, バンダイ
Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)