そこにあるけど聞こえない、拡張された音。
NECが、ヒアラブルデバイス(ワイヤレスイヤホン)を活用した「音響AR」なる新技術を開発しました。ARやVRって視覚に関するものだとばかり思っていましたが、いわれてみれば目に限定したものじゃなかった気もします。なるほど、これは盲点。
さてその音響ARとはどういうものなのか。プレスリリースによると、立体音響とヒアラブルデバイスに搭載されている9軸(加速度×3、ジャイロ×3、地磁気×3)モーションセンサーを組み合わせることで、顔の向きや移動方向に関係なく音源を任意の位置に固定する「音響定位」をワイヤレスで実現する技術とのこと。世界初の技術だそうですが、なるほどわからん……。

ヒアラブルデバイスとは、画面を必要としないコンピューティングスタイルのひとつ。身にまとうウェアラブルデバイスのイヤホン版のようなものです。このヒアラブルデバイスから得られる位置情報や生体情報などを利用して、たとえばショッピングモールなどの施設を歩いているとそのユーザーだけにポスターが話しかけてきたり、それぞれのオススメエリアへと誘導してくれたりするんだとか。

従来の立体音響は音源(スピーカー)に対してユーザーが中央にいましたが、音響ARでは音源(イヤホン)を装着したユーザーが移動し、その周辺状況に合わせて音声の内容や定位が変わっていきます。わかりやすく『ポケモンGO』に置き換えるのであれば、各地にあらわれたポケモンが話しかけてくるポスターやアナウンス内容で、移動するプレイヤーがイヤホンを付けた人という感じでしょうか。
イメージはしにくいものの、スマホを眺めずイヤホンでARを解せるようになればハンズフリーやスマホ歩き防止にも役立ちます。NECはこの音響ARを、同社が以前から開発中の耳音響認証技術、屋内位置測位技術、バイタルセンシング技術などと組み合わせて、ヒアラブルプラットフォームサービスとして2018年度の事業化を目指しているとのことです。
目に見えないポケモンやポータルがそこにあるように、ヒアラブルでしか聞こえない情報というのも今後は出てくるのでしょうか。無音の施設でデバイスを付けると「いらっしゃいませ」が聞こえてくる、そんな未来の市場がくるのかも?
Image: Visual Generation/Shutterstock.com, NEC
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(ヤマダユウス型)