世界一やさしい、気球に乗ってどこまでも。
Googleと同じAlphabetの子会社、Xが進める「でっかい気球で世界各地にインターネットを届けよう」というProject Loon。このあまりに壮大でどこか無邪気な計画が、プエルトリコに向けたあらたな災害支援として始まるようです。
Engadgetは、FCC(米連邦通信委員会)がプエルトリコでXの気球を展開することへの応急的な認可を与えたと報じました。FCCの発表によると、プエルトリコはカテゴリー4のハリケーン「マリア」による被害で、いまだに83%の人々がインターネットに接続できない状態にあるとのことです。計画が実現すれば、同様に嵐の被害にあったアメリカ領バージン諸島への災害支援にもなるでしょう。
その地域で気球によるインターネット環境を用意するためには、パートナーとなる通信事業者を見つけなければなりません。今年5月に嵐に見舞われた後のペルーで、通信事業者Telefonicaと提携したようにです。
Xの代表であるLibby Leahy氏は「私たちはFCCとプエルトリコ政府のサポートに感謝する。一刻も早く通信を復旧させなければいけない今、Loonの気球が有効ならば尽力する」と米Gizmodoに語りました。
加えてLeahy氏は「通信機器をインターネットに繋げるには通信事業者のネットワークが必要だ。気球だけでは不可能なことだ。私たちは次のステップへ確かに進んでいる。このプロジェクトを支援していただいているすべての人に感謝したい」と述べました。
しかしプエルトリコへの気球の準備にはペルーの成功例よりも時間がかかるでしょう。というのも、ペルーでは洪水が起こる前から気球のテストが行なわれていたからです。また今回の実験がどれだけの地域をカバーできるかが不透明であるにもかかわらず、FCCがXの気球実験を認めるのは2018年の4月4日(水)までの予定です。
そうこうしている間も、プエルトリコの状況は凄惨なままです。Washington Postによると2017年10月7日(土)時点で電気復旧率は11.7%、水道復旧率は55.5%、携帯電話が使用できる人々はたったの44%ということです。
風に乗って野原を超えて雲を飛び越え、とにかく早く助けを待つ被災地まで飛んでほしいものです。
Image: YouTube
Source: Project Loon, Engadget, FCC, Washington Post, YouTube(1, 2)
Tom McKay - Gizmodo US[原文]
(瀧川丈太朗)