色々ありまして6月にCEOの座を失なったUber共同創業者のトラビス・カラニックですが、現在も取締役として会社には残っています。Uber自体は表向きには企業カルチャーを刷新しようと新CEOのもと頑張っているようですが、まだまだ元CEOであるカラニックは権力を求めて色々と動いているようです。
独断で取締役を2人任命
「取締役としてのカラニックの権限を減らそうと取締役会が計画している」。そんな噂が語られるなか、The New York Timesによると、カラニックは突如として現CEOに相談もなく新しい取締役を2人、任命したのです。これによって11人で構成される取締役会の席はすべて埋まったことになります。自分の権限が削られそうになっている中、味方を取締役会に増やしたわけです(後に、席の数は17人に変更されました)。
Ursula & John bring 50+ years of combined executive experience to @Uber's board - helping the company become stronger now & for the future pic.twitter.com/osyby4TI5r
— travis kalanick (@travisk) September 30, 2017
これに驚いた現CEOダラ・コスロシャヒは社員にメッセージを送っています。Recodeが入手したものによると、メッセージにはプレスリリースにも含まれていた次のような声明が書かれていました。
Burns氏とThain氏のUber取締役会への任命はUberとその取締役会にとって完全に驚きです。これこそまさに、我々が全力でワールドクラスの企業ガバナンスを達成し、すべての従業員と株主が誇りに思える会社を作ろうとしている理由です。
「取締役員が2人に勝手に任命されちゃったけど、カラニックの独断だからね。我々はちゃんと統制の取れた良い企業目指そうね」というメッセージなわけです。
元CEO・カラニックの権限縮小
そしてその後、取締役会で投票され決定したのが、カラニックの権限縮小です。The New York Timesによると、Uberに初期に投資していたベンチャーキャピタルに与えられる“優先株”と、共同創業者であるカラニックが所有している特別な“クラスB株”には、通常よりも強い投票権が含まれていました。これを取締役会は剥奪したわけです(特別な投票権自体を廃止)。Uberの声明によるとこれは「株主間の公平さを実現するため」の決定とのこと。
しかしカラニックが完全に権力の座から落ちてしまったかというと、そういうわけではありません。前述の新取締役2名がカラニックと近いことを考えると、3人分の取締役会の権力を握っていることになります。
ちなみに取締役2名を任命するのにカラニックが行使した任命権は、その有効性をめぐって前述のベンチャーキャピタル・Benchmarkと裁判で係争中なんです。もうややこしいのなんの、です。
ソフトバンクも参加
そんななか、Uber取締役会はソフトバンクからの出資を受け入れることを決定したわけです。つまり特別な投票権を廃止したりと、パワーバランスを整理していたのも、ソフトバンクからの巨額出資に応えるなかで必要とされたわけですね。
しかしミーティングが終わった後、初期のUber投資家(=優先株の所有者)であるShervin PishevarとSteve Russellは、投票権限を奪われたこの決議を「不公平で違法である」とコメントしており、集団訴訟を行なうと宣言しています。Uberにおける権力闘争、まだまだ第二幕が始まったばかりという具合でしょうか。
Image: Mike Windle/Getty Images Entertainment/ゲッティイメージズ
Source: Gizmodo US, New York Times, Record, Twitter
(塚本 紺)