銃社会が持つジレンマ。
コンサート会場めがけて無差別に銃火器を乱射しまくり、489人の負傷者と58人の死者を出した「2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件」。事件は10月1日のことで、またアメリカ銃社会に負の遺産を残したのは記憶に新しいところ。
狙撃を行なったホテルの部屋には、大小のライフルなどと大量の弾薬が残されていました。その中にはストック(銃床)をわざと可動式にしてフルオートと同じ効果を出す、「バンプ・ストック」という改造を行なったライフルが10丁以上発見されたそうです。
この事件以前まで、YouTubeではどのように「バンプ・ストック」の改造を行なうのかを教える解説動画が出回っていましたが、事件後はYouTubeがコミュニティー・ガイドラインを変更したとThe Telegraphが報じています。
それについて米GizmodoがYouTubeの広報担当者に聞いたところ、以下のようにコメントしてくれました。
当社は長い間、有害で危険なコンテンツについてポリシーがありました。ラスベガスでの悲劇を受け、高速連射が可能になる銃火器の改造動画に注視し、それらを禁止にするするように既存のポリシーを拡大したのです。
実際に「有害で危険なコンテンツ」のページを見てみると、こうあります。
YouTube では、暴力の扇動、深刻な身体的危害あるいは死亡の恐れがある危険な行為や違法な行為を誘発することを意図したコンテンツを許可していません。
続いてこのように書かれています。
爆弾の作成手順、失神ゲーム、覚せい剤の使用、深刻なけがを起こしうる行為などの有害で不法な行為を助長すると思われる動画です。
ダイレクトに「銃火器の改造」とはありませんが、ユーザーは事件以降これも含むと解釈しなければいけないようですね。
「バンプ・ストック」は、今回のように大量の無差別殺人を可能にする改造です。しかし連邦法ではこれ、違法ではないんです。そしてこの一件でいくつもの動画が削除されたものの、実はまだまだ何百本もの解説動画が残っているのが現状だったりします。
YouTubeより、いくつかスクリーン・ショットをどうぞ。





動画のタイトルや説明文では、ポリシーに反しているかどうか判断が難しい場合も多々あろうと思われます。
米Gizmodoは、まだまだこうした動画が多く公開されているとこれらを例に挙げ、YouTubeに「銃火器の改造」についてポリシーを明確にするようお願いしたそうです。さて、これからどうなるのでしょうか?
Image: Arina P Habich/Shutterstock.com
Source: The Telegraph, YouTubeヘルプ, YouTube
Reference: Wikipedia