えっ。プロペラだけじゃなくて、ほかにも変更点があるんですか!?
昨年登場したとたん、買いの注文が入りまくったドローンの名機「Mavic Pro」。コンパクトに折りたためるから車じゃなくても持ち運びやすい!と、僕も即座に飛びついた1人でした。ときおり山のほうにいっては飛行訓練に勤しんでいますが、いや、本当によい機体です。安定度がいいよね。
と思っていたら、上位版の「Mavic Pro Platinum(プラチナ)」がリリースされちゃいました(11月下旬発売)。 スペック上の違いは、飛行時間が27分から30分に。飛行時のノイズが-4db(約60%低減)となったこと。エネルギー効率を高めたドライバーと、プロペラ形状の差だけかな?と思っていたんです。
そんな話をギズモード編集部の山本くんとしていたら、「Mavic Pro Platinum、飛ばしてみませんか? ほら、葛飾区に新しくDJI公認のドローン屋内飛行場ができたじゃないですか。あそこで飛ばしてみましょうよ」という。いいね。ウチのMavic Proも持っていくから、ノイズの差を調べてみようぜ。

さあ、やってまいりました。こちらがJR小岩駅からバスを使って計6分ほど、 京成高砂駅・京成小岩駅からは徒歩15分ほどの距離にある 「DJI ARENA by JDRONE TOKYO」(以下DJI ARENA)です。韓国の直営DJI ARENAに続き、世界で2番目にできたDJIの飛行施設です。

中ではDJI製ドローンやオプション、アクセサリーの販売、またDJI製ドローンの修理・点検も請け負ってくれます。大型ディーラーとしては世界初となる存在なんですって。
施設の運営は特定用途に合わせたドローン開発や、そのほか電子機器の開発・製造を請け負っている日本サーキット。周回走行路のサーキットではなく、電子回路のサーキットなんでしょうね。

飛行エリアは障害物がないベーシックエリア(8.5m×15m)と、LEDゲートなどが設置されているアドバンスエリア(9.5m×22m)の2カ所。それぞれ1台のドローンしか飛ばせないルールです。レンタルしている時間帯は独り占めできる! 利用料金が高そうだと思ったら、リーズナブルでまたびっくりです。
ベーシックエリアは30分800円(土日祝日900円)、1時間1,400円(土日祝日1,600円)で、アドバンスエリアは30分1,400円(土日祝日1,600円)、1時間2,400円(土日祝日2,800円)ですもん。
またPhantom 4、Mavic Pro、Sparkも1台1,000円で借りられるほか、各種バッテリーのレンタルも検討中とのこと。もちろん充電スペースもありますが、バッテリーを借りられるとなったら本体とプロポだけ持ち込めばいいわけで、関東圏のDJIオーナーにとってはありがたい場所です。

それではMavic Pro Platinumを見てみましょう。パッと見は色味がプラチナカラーに変わっただけとしか思えません。大きさはまったく一緒。


前アームにかかれている機体名は、「MAVIC PRO」の部分が控えめになって「Platinum」がドーンと。偉そうです。でもまあ、カラバリだと思えばココロは平穏。ウチのMavic Proだってデキるコなんですからオホホ。

一番大きな違いといわれている、プロペラを見てみましょう。長さはMavic Pro Platinumの「8331プロペラ」のほうが少し長い。また薄く、部分的に幅広な形状となりました。これは効果がありそう。

さっそくiPhoneアプリの「騒音Checker」を使ってホバリング時のノイズを計測してみましょうか。左が何も飛ばしていないときの環境音で68デシベル。右がMavic Pro飛行時の音量で83デシベルです。なお鉄道の車内や正面1mのピアノ、麻雀牌をかき混ぜるときのノイズが80デシベルといわれていますね。

そして左が8331プロペラに換装したMavic Pro(プロペラは互換性あり)、右がMavic Pro Platinumです。スマートフォンアプリで計測しているという条件ゆえ誤差はあるでしょう。そのため参考値として見てほしいのですが…
Mavic Pro Platinumものすっごい。低周波の音圧が減り、高域が全体的にダウン。公称では-4dB、僕らのテスト時は-6dBとなりましたが体感でのノイズ量は確かに半分くらい。すごいな、コレ。
8331プロペラもすっごい。Mavic Pro&8331プロペラの組み合わせだと、癇(かん)に障る高域のピークノイズが低減しました。Mavic Proオーナーのみなさん、これは交換する価値ありますよ。


誰もいない山の中でなくても、これなら飛ばすときの精神的負担が減ります。応対してくれた日本サーキット ドローン事業部長天野さんいわく「モーターも変わっているみたいなんですよ。アームの材質も違うんじゃないかな」と。くっ、ここで最新こそが最良というポルシェ理論がでてくるとは!
「ここまでいいと、在庫のMavic Proが売れなくなりそうで困っちゃいます」と豪快に笑いますが、新たな名機が出てきたことにご満悦の様子。お話をきくに、日本ではコンシューマー用のドローンの市場がまだ熟成されておらず、“ドローン=危険”という先入観が広がってしまっているのが現実。「確かに安全なもの、とはいえません。しかし操作技術を磨けば、安全性を確実に高めることができます」。その思いがDJIと日本サーキットを結びつけ、DJI ARENAというドローンプレイスを生み出したのだとか。

またDJI ARENAは各機ごとに異なる障害物回避センサーのチェックにも使ってほしいそうです。「スペック上は同じでも、センサーの精度にはそれぞれ誤差があるんです。それが機体のクセになるので、そのクセをつかめるような練習もできます」。

ドローンの修理・点検も請け負っているからこそ、トラブルの予兆を感じたときに相談にものってもらえます。ほんと、車のディーラーのように付き合ってくれる存在なんですね。
そしてメンテナンスエンジニアの方いわく、飛ばす前にプロペラの曲がりや、モーターを回してひっかかりがないかどうかをチェックしたほうがいいそうです。車でいう走行前点検ですね。モーターの内部に入ったホコリや砂などは、カメラのメンテナンスで使うブロアなどを使うといいとか。

バッテリーと騒音のスペックアップだけとはいえ「Mavic Pro Platinum」のデキはビッグマイナーチェンジ。今からMavic Proを買うなら絶対こっち。
そしてドローンオーナーにとって頼りになる「DJI ARENA」も素晴らしい。DJIの最新モデルはいち早くここに展示されるようなので、また何度も足を運ぶことになるでしょうね、これは。