Googleの翻訳イヤホン「Pixel Buds」レビュー:夢やぶれて、困惑
Photo: Gizmodo US

Googleの翻訳イヤホン「Pixel Buds」レビュー:夢やぶれて、困惑

期待からの落差がすごい。

AppleのAirPodsにインスパイアされたイヤホンが各社から出ていますが、Googleも独自の答えを出してきました。Pixel BudsはイヤホンからのタッチでGoogle Assistantを操作でき、さらにはスマートフォンと連携することでリアルタイム翻訳もできるという代物です。ついに翻訳こんにゃくか!と期待が高まったんですが、実際Pixel Budsを数日使ってレビューした米GimodoのAdam Clark Estes記者によると、理想の実現はそう簡単じゃなかったようです。


Pixel Buds、つねに何かしらうまくいきませんでした。Pixel BudsはGoogleがAppleのAirPodsの1年後に発売したスマートなワイヤレスイヤホン…のはずですが、実際はあんまりスマートじゃなく、(完全には)ワイヤレスですらありません。数日使ってみましたが、もはや自信をもって、Pixel Budsはひどい、といえるようになってしまいました。期待してたんですが…。

これって何?:Android用ワイヤレスイヤホン(iOSでも使えますが…詳細後述)

価格:159ドル(約1万8000円)

好きなところ:Google Assistantに簡単にアクセスできる

好きじゃないところ:それ以外の全部

未来を夢みたガジェットは困惑の連続だった

Googleは巨大テック企業だし、最近はハードウェアだってなかなかいいものを出してきました。Google Homeとそのミニ版、Google Home Miniは、先行するAmazon Echoといい勝負をしていますし、DaydreamはVRヘッドセット界に新風を吹き込みました。そしてフラッグシップモデルのスマートフォン、Pixel 2は先代の欠点を克服して優秀なスマートフォンへと進化しました。なので僕としては、Google Assistantを呼び出せてリアルタイムの翻訳もできる、Pixel Budsってどんなにすごいんだろう?と期待を高めていました。

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Photo: Gizmodo US

でも実際、その期待通りにはいきませんでした。そもそも箱を開けた瞬間から、困惑でした。Pixel Budsはワイヤレスイヤホンなんですが、いわゆる完全ワイヤレスじゃなく、左右をつなぐコードがあるんです。本体はAirPodsより大きいわりに、バッテリーライフは同じ5時間です。充電ケースもついてきますが、プラスチックの弁当箱みたいに頼りなく感じます。しかもコードがあるのでケースにポンと入れるだけじゃだめで、このGIFみたいにきっちり巻き付けないとケースが閉まりません

シームレスさがゼロなUX

問題はそんなディテールだけじゃありません。Pixel Budsはスマートフォンと高速ペアリングできるように、独自のBluetooth技術が使われています。でもそれが、実際そんな簡単じゃないんです。まず最初の設定をするときは、(1)ケースをスマートフォンの隣に置いて、(2)それを開き、(3)スマートフォンが信号を検知するよう祈らなきゃいけません。

僕のGalaxy S8とイヤホン自体をペアリングするのは問題なくできたんですが、その後Pixel Budsの全機能がGalaxy S8では使えないことに気づきました。リアルタイム翻訳機能は、PixelかPixel 2じゃなきゃ使えないんです。そこで今度はPixel BudsをPixel 2に接続しようとしたんですが、Pixel 2がPixel Budsを認識しませんでした。

イライラしたとか、腹が立ったとかいってもいいんですが、それは正確じゃありません。実際感じたのは、やはり困惑です。結局なんとかPixel BudsとPixel 2をペアリングできたんですが、それはGoogleにメールしてリセット方法を教えてもらったからで、しかもリセットするにはケースの内側の、いわれるまで存在すら気づかなかったボタンを押す必要がありました。

どうしてPixel BudsとPixel 2のペアリングがうまくいかなかったかっていうと、Pixel Budsと自動でペアリングできるデバイスは、1台だけなんです。たとえば通勤中はスマートフォンとペアリングして、自宅ではタブレット、みたいな使い方をするとしたら、デバイスを切り替えるたびにリセットボタンを押す必要があります。そして対応しているOSはAndroidとiOSだけなので、ほとんどのPCでは使えず、強いていえばAndroidアプリの使える新しいChromebookでは使えることが確認できたくらいです。さらにGoogle Assistantが使えるのはAndroid Marshmallow以降、高速ペアリングはAndroid Nougat以降という制限もあります。

ストレスなくペアリングできるAirPodsと比べるまでもなく、Pixel Budsはあまりに非直感的で、こういう細かいことまで理解しようとすると三角関数の問題を解いてるような気分になりました。

リアルタイム翻訳の現実は厳しい

気になるリアルタイム翻訳に関しては、たしかに使えたんですが、こっちも困惑でした。この機能が発表されたときは、単に右のイヤホンをタップすれば、今聞こえている外国語をすぐ翻訳できるように思われて、「まさに翻訳こんにゃく!」と思ったんですが、ドラえもんの道具がそんな簡単にできるはずがありません。イヤホンをタップするってとこは合ってるんですが、次にGoogle Translateアプリを開いて、外国語を話している人の前にスマートフォンを構えなきゃいけないんです。そしてもちろん、上にも書いたように、そのスマートフォンはPixelかPixel 2である必要があります。

Pixel Budsではもちろん音楽も再生でき、その音はAppleのAirPodsと同じようなものでした。AirPods同様にPixel Budsにはふたつのスピーカーがあり、ひとつは前向き、もうひとつは頭の内側を向いています。でもPixel Budsは耳の穴をぴったりふさぐカナル型ではなく穴の外側の耳介にひっかけるタイプで、サイズがかなり大きいので耳の小さい人には向いていません。出てくる音はくっきりしていますが、びっくりするほど1次元的です。たとえばHot Chipの『Ready for the Floor』 はクリーンな音でしたが、全体に気が抜けた感じでした。低音がほとんどないからです。John Denverの『Take Me Home, Country Roads』はすごく良かったんですが、僕にとってはこの歌はいつもいいんです。

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Photo: Gizmodo US

ただ唯一、Google Assistant機能はクールでした。右のイヤホンにタッチを検知する部分があり、そこで音楽の再生・停止や音量をコントロールしたり、Google Assistantを呼び出して時間を聞いたり、最新の通知を聞いたりできます。ただし感度がよすぎて、ちょっと触るだけでうっかり再生させてしまうことがよくありました。たとえば音楽を一時停止してイヤホンを耳から外すと、その動作でまた再生を押してしまう、みたいな感じです。これまた、困惑です。

時代を先行しすぎたPixel Buds

でも、はるか彼方に明滅する灯台の光のように、Googleが何か良いものを作ろうとしているのは感じます。Pixel Budsの今の出来具合は別として、それを作った背景のアイディアは魅力的です。耳元をタップして最新の通知が聞こえるとか、テキストメッセージを送れるとか、近くのコーヒーショップを探せるとかもいいと思います。AirPodsもSiriを使ってこの手のことはできますが、僕の経験からすると、Googleのほうが自然言語処理を得意としています。Google Homeをテストしてわかったんですが、Googleのロボットに話しかければ、ロボットは求めるものを理解してくれます。そしてうまくいけば、Pixel Budsは頭の中の小さなGoogle Homeになるはずです。

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Photo: Gizmodo US

Googleはちょっと焦りすぎたんだと思います。GoogleはPixel Budsとともに、怒涛の勢いでハードウェアを発表しました。たとえばGoogle Clipsみたいに、明らかに実験的なものも含まれてました。Pixel BudsはGoogleの理想の不完全燃焼形のように思えます。もしGoogleの理想の世界があったなら、そこではPixel Budsの左右のイヤホンをつなぐコードは存在しないことでしょう。また誰もが持つデバイスを目指すなら、Pixel 2だけとかAndroid、iOSだけとかじゃなく、どんなデバイスでも全機能が使えるべきだし、ペアリングできる端末は1台じゃなく複数台であるべきだと思います。

特にPixel Budsの本当にユニークな機能であるリアルタイム翻訳が、Googleのスマートフォンでしか使えないなんてほんとに変です。こういうのはAppleではありがちですが、Googleはオープンプラットフォームの提唱者です。AndroidはiOSへのアンチテーゼだと思ってたんですが、今やGoogleが壁を築いているかのよう。

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Photo: Gizmodo US

コストパフォーマンスも微妙かも

これでPixel Budsが60ドルとかだったらまあしょうがないかとも思えるんですが、AirPodsと同じ160ドルもするんです。それなら、ちょっと足して200ドルのソニーの完全ワイヤレスイヤホンとか、もうちょっと奮発して250ドルのBoseのSoundsport Freeとかを買いたいです。両方、Google Assistantも使えるし。またはもちろん、AirPodsを買ってもいいです。

だってPixel Budsとは対照的に、AirPodsは何にでも、AndroidでもPCでも使えるんです。特定のデバイスでしか使えないワイヤレスガジェットを買う人がどれくらいいるのかよくわかりませんが、Pixel Budsは記事執筆時点では非常に品薄です。日本からは買えないんですが、何らかの方法で入手するとしても、しばし待つ必要があるようです。

そんなわけでGoogle、次はもうちょっとがんばってください。

まとめ


・AppleのAirPodsへの答えがこれ、価格は159ドル(約1万8000円)

・残念な作りで、ひどい使い心地

・Google Assistantは特定のAndroidデバイスでしか使えません

・翻訳機能はGoogle Pixelシリーズでしか使えません


Image: Adam Clark Estes
Source: Google(1, 2, 3), YouTube(1, 2), C-NET

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
(福田ミホ)

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