ありもしない架空の論文が、何百ものサイエンス系記事に引用されている

ありもしない架空の論文が、何百ものサイエンス系記事に引用されている

フェイクに気づかずいつの間に。

大学時代、どれほど熱心にレポート書きましたか? レポートに関係するもの、たとえば引用元となる本や論文の隅々まで読んでましたか? それとも、必要な箇所だけちゃちゃちゃっと目をとおす程度でした? きっとね、世の中のほとんどの人は後者なんですよ。でなきゃ、実際には存在しない論文が何百回もあちこちで引用されるなんてこと起きないですもん。

オランダのライデン大学のPieter Kroonenberg教授が、サイエンス系記事執筆のためにあれこれリサーチしていると「Van der Geer, J., Hanraads, J.A.J., Lupton, R.A., 2010. The art of writing a scientific article. J Sci. Commun. 163 (2) 51-59.」という出典表記を発見。ところが、この出典表記に書かれている論文は、実際には存在しないものでした。これはどういうことかというと、ロンドンのミドルセックス大学のAnne-Wil Harzing教授が詳しく調べてみたところ、この出典表記自体がサイエンス系メディアのElsevierが、引用のやり方を示すために書かれた例文の一部だったのです。

驚くのは、この「存在しない論文=ただの例文の一説」を引用していたサイエンス系記事が400件近くもあったということ。Google Scholar検索では700件以上もでてきます。Harzing教授いわく、引用した記事の多くが「参照したこの論文は信憑性が低い」としているとはいいますが…。低いどころか、存在していないというね!

ちょっとした怠慢が引き起こす偽りの情報。悪意はないかもしれないけれど、嘘が広まるのは同じ。特にサイエンス系は、研究判断を行なうのが難しいうえに、お金を払えば論文を掲載してくれるというパターンもあり、真意を見極めるのは至難の技。

Oransky氏は、架空の論文参照問題を笑い話としつつ、引用するとき気をつける人が増え、サイエンスメディア界が向上していけばと語っています。もちろん、教授自身を気を引き締める思いだとか。


(2017年11月22日 18:28 修正)Pieter Kroonenberg教授が発見したのは「参照:Phantom」ではなく、「Van der Geer, J., Hanraads, J.A.J., Lupton, R.A., 2010. The art of writing a scientific article. J Sci. Commun. 163 (2) 51-59.」という出典表記で、これは例文に登場した架空のものです。謹んで訂正いたします。


Image: Shutterstock
Source: Retraction Watch, Wikipedia, Elsevier, Middlesex University

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US[原文

(そうこ)

あわせて読みたい

powered by