Skypeが中国のアプリストアから姿を消し、「グレート・ファイヤーウォールの犠牲者がまた一つ」と話題になっています。ニューヨーク・タイムズの報道によると、Skypeが中国におけるApp Storeを含むアプリストアから消えてから1カ月ほどになるとのこと。Apple(アップル)の広報担当はニューヨーク・タイムズの取材に対し、「中国公安部から、インターネット・プロトコルを利用した音声アプリの多くが国内法に準拠していないとの通達を受けました。そのためこれらのアプリは中国のApp Storeから削除されています。これらのアプリは他の全てのマーケットでは入手可能となっています」とEメールで答えています。
ここで言う国内法とは中国で6月に施行されたサイバーセキュリティ法のことです。この法律の文言に従えば、政府はサービス自体をあからさまに禁止することなく、メッセージアプリをブロックすることができるようになっています。「中国国内のSkypeユーザーたちはApple経由でSkypeの有料サービスに支払いをすることもできなくなったとオンライン掲示板で不満をもらしている」とニューヨーク・タイムズは述べています。この現象はちょうど1カ月ほど前から起きるようになったとのこと。
Appleが中国のインターネット規制に屈したのはこれが始めてではありません。6月にはApp StoreからVPNサービスのアプリを排除したのも記憶に新しいところです。これとほぼ同時にFacebook(フェイスブック)によるメッセージアプリ「WhatsApp」も一部ブロックされたのでした。その2カ月ほど前にはiBooksとiTunes Moviesも排除しています。
被害にあったメッセージアプリは他にも多くあります。テレグラム、LINE、Facebook、Gmailなどもブロックされています。とは言えニューヨーク・タイムズも指摘しているようにインターネットに対するこういった管理と規制は長年中国が行なってきたことです。しかし国家主席の習近平は特にコミュニケーションやソーシャルネットワーク関連のプラットフォームに対する規制を厳しくしています。Skypeの親会社であるMicrosoft(マイクロソフト)はニューヨーク・タイムズに対してSkypeがApp Storeから「一時的に取り除かれた」ことを認めていますが、Android向けの第三者パーティのアプリストアからも排除されたことに関してはコメントをしていません。Googleのサービスはすでにその多くが中国では禁止されています。そのためAndroidユーザーはGoogle Play以外の第三者パーティによるサービスを使う必要があるのが現状です。
すでにダウンロードされているSkype自体はまだ中国でも機能するようですが、サイバーセキュリティ法に準拠していると認めてもらえるような対策をとるまではApp Storeからダウンロードすることはできないようです。米GizmodoではAppleとMicrosoft両方にコメントを求めていますが、執筆段階では何の返答も届いていません。
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Source: The New York Times
Jennings Brown - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)