最高のパフォーマンスに120Hzのディスプレイ、音量マックスなスピーカー。
ゲーミングPCやアクセサリで定評のあるRazerからスマートフォンが発売されました。Razerらしさが発揮されているのかどうか、米GizmodoのSam Rutherford記者が数日使ってレビューしていますので、どうぞ!
Razerの最初のミッションは、ハイエンドなゲーム用マウスを作ることだったかもしれません。でも彼らの製品ラインナップは年月とともに成長し、今やキーボードからフィットネストラッカー、デスクトップPCやラップトップまで、RGBライトを搭載できるものなら何でも作るつもりじゃないかと思えるほどです。それでもRazerの製品群には、ぽっかりと穴が空いていました。そう、スマートフォンです。PCゲームのどんな人気タイトルでも、数の上ではスマートフォンのキャンディークラッシュやクラッシュ・オブ・クランにはかなわない今、ゲームにとってスマートフォンは避けて通れないプラットフォームです。問題は、200ドルのMoto G5でも1,000ドルのiPhone Xでもスーパーマリオランを快適にプレイできるこの時代、ゲーミングに特化したスマートフォンの居場所があるのかってことです。
ゲーミングフォンというと、2003年発売のNokiaのN-Gageとか、スマートフォンにゲームコントローラーを内蔵させたソニーのXperia Playとか、結果的に残念だったガジェットを想像されるかもしれません。その手のデバイスではベストを尽くしても、みんなが求めているゲーム体験を実現できていませんでした。そこでRazerは初のスマートフォンを出すにあたり、普通のゲーマー向けじゃなく、ちょっとひねってスマートフォンナード向けの端末を出してきました。
「Razer Phone」
これは何?:5.7インチのスマートフォン
価格:700ドル(約7万9000円)
好きなところ:高リフレッシュレートでなめらかなディスプレイ、やたら音が大きいスピーカー、最上級のスペック
好きじゃないところ:指紋センサーがやや頼りないことと、カメラがお座なりであること
突き抜けたスペックとデザイン
これまで、たくさんの企業がゲームボーイとスマートフォンの融合を試みては失敗してきました。でもRazerは単にそこそこのスマホにゲーム対応させるのではなく、ナード向けに特化することで、似たり寄ったりなApple(アップル)やサムスン、LGのスマートフォンから差別化できる可能性があります。それに、ハードコアなスマホ好きが電話に求めることと、ゲーマーが求めることの間には共通点がたくさんあります。
たとえば、パフォーマンス。700ドル(約7万9000円)のRazer Phoneは、他のハイエンドAndroidスマホと同じSnapdragon 835を搭載していて、RAMも8GBとGalaxy S8の2倍です。巨大なスクリーンは、リフレッシュレートが120Hzにも到達します。それからやたら音の大きなスピーカーに、デフォルトで入っているNova Launcher PrimeのおかげでAndroidをクリーンにカスタマイズ可能、そして巨大なバッテリーは、ゲーム機なんてファミコンしか知らない人でもうれしいはずです。

それ以外の特徴は、Razerが買収したNextbitのRobinに似ています。Robinは、見た目的には2016年のベストスマホだったかもしれません。Razerはそれをパワーアップさせて、角ばったボディを頑丈なアルミにし、スクリーンを5.7インチにしました。その結果できたのは、がっちりしたレンガみたいな、新鮮なスマートフォンです。上下のベゼルもビッグですが、これもムダなスペースじゃありません。そこには800万画素のセルフィーカメラや通知用ライトがあるだけじゃなく、スマートフォンの中ではもっともリッチでパワフルなスピーカーが収まっているんです。

スピーカーも良い、ただしヘッドフォンジャックがない
Razer Phoneのスピーカーの音はたいていの小さなBluetoothスピーカーより良質で、Google HomeとかAmazon Echoと同等の感じです。クラッシュ・ロワイヤルをプレイしながら音量マックスにしてみたら、他のスマホでは聞いたことのないような音の割れとかノイズがたくさん入ってきたんですが、それは従来のスマホではそこまで音量が出ないからです。Dolby Atmosアプリでイコライザーを調節して音楽を聞くと、Razer Phoneの音は驚くほどリッチでした。他のたいていのスマホと違って低音のキックもちょっとあり、ヘッドフォンよりスピーカーで聞きたいと思える数少ないデバイスのひとつです。Razer Phoneにはヘッドフォンジャックがないことなので、この点は重要です。

RazerのCEO、ミンリャン・タン氏いわく、ヘッドフォンジャックをなくしたのでバッテリーを大きくでき、温度コントロールも改善できたそうです。とはいえ、充電しながらヘッドフォンを付けてゲームをプレイしたいときにどうすればいいか、その問題は解決できません。
バッテリーもいろいろと強力
でもたしかにバッテリーライフに関しては、Razer Phoneはかなり満足度が高いです。1週間使ってみましたが、毎日何時間かゲームをしていても、1日で充電が切れることはありませんでした。バッテリー消費テストでは、Razer Phoneは9時間19分持ち、これは標準のPixel 2(8時間59分)より20分長く、ただGalaxy Note 8の10時間21分よりは少なかったです。ただこのテストのとき、画面のリフレッシュレートはデフォルトの90Hzになっていて、Galaxy S8は60Hzだったので、そのせいで余計に電力消費していたはずです。
Razer PhoneはQualcommの(1年近く前に発表されてた)高速充電技術、Quick Charge 4.0を搭載する最初のスマートフォンでもあります。これでRazer Phoneは、たった30分でゼロから36%にまで充電できます。Galaxy Note 8でも同じようなことができますが、30分で30%なので、それよりさらに効率的です。しかもNote 8のバッテリー容量は3,300mAhですが、Razer Phoneは4,000mAhあるんです。
120Hzのクセになる滑らかさ
そして何と言っても感動するのは、スクリーンです。明るさは350ニッツ前後と一番明るいディスプレイじゃありませんが、その分120Hzのリフレッシュレートで補っています。何もかもがシルキーで滑らかで、スワイプして通知トレーを表示するとか、アプリドロワーを見るといった操作だけでも気持ち良いんです。今回のレビュー中、僕はホームスクリーンをただフリップするだけで10分くらいは見とれてしまいました。

でもこのリフレッシュレートが真価を発揮するのはもちろんゲームをプレイするときです。たいていのアプリには30fps、60fpsといった上限がありますが、RazerではNexonとかRespawnといったデベロッパーと協力して、Titanfall Assaultなどのタイトルでは最大120fpsまでサポートされているんです。そのいくつかのアプリで数分使ってみましたが、あらゆるアプリがこうだったらいいのにと思ってしまいました。
好きじゃないところ
ここまでベタ褒めしてきましたが、Razer Phoneは完ぺきからはほど遠く、ここまで書いたことだけで買う判断をしちゃいけまません。ヘッドフォンジャックがないこと以外に、小さい問題がふたつ、そして大問題がひとつあります。
まず小さいひとつめは、指紋リーダーです。本体の側面にあって、前面のスペースを食わないことは良いのですが、出っ張りがないので触った感触で探すことができず、ちょっと心もとないです。

ふたつめの小さな問題は、耐久性です。今回のレビュー用端末は、大事に使っていたにもかかわらず、上のスピーカーグリルを覆っているプラスチックののりが浮き始めていました。スマホは毎日酷使するものなので、半年とか1年とか普通に使っていたらどうなるんだろうと考えてしまいました。

ただ、良いところ全部台無しにするかもしれないくらいの大問題は、カメラです。最初のファームウェアアップデートでクオリティが上がるはずでしたが、それをした後でも、どうもパッとしない感じです。理想的なライティングで、Razer PhoneとGalaxy Note 8の両方で撮り比べしたんですが、Razer Phoneではなかなかフォーカスを合わせられませんでした。Galaxy Note 8の方はくっきりして、色はリッチで、とにかくRazer Phoneよりもそそる写真が撮れています。

他のシチュエーションでも、Razer PhoneのカメラのダイナミックレンジはGalaxy Note 8より狭く感じられず、いつもコントラストが足りませんでした。Razerいわく、カメラ性能改善のためのアップデートがこれからも続くそうですが、今のところ1,200万画素の背面カメラは、700ドルのスマートフォンのものとしては物足りません。
でもとにかく、新鮮
とはいえRazer Phoneは、どんぐりの背比べになったスマートフォン市場に一石を投じていて、Razer初のスマホとしては十分意味があると思います。ほとんど攻撃的なくらい角ばっていて、RAMは山ほど積んでいて、Appleが有機ELに乗り換えた今でも液晶ディスプレイ搭載です。そのうえ120Hzのリフレッシュレートによって、映画もゲームも、単なるUIまでもすべてが滑らかに感じられます。完ぺきではないにせよ、ポテンシャルはすごく高いです。欠点まで含めて、良い意味で違うってことを高く評価したいです。
まとめ
・5.7インチのIGZO液晶ディスプレイはリフレッシュレートが最大120Hzで、すべてがすごく滑らかです。
・1200万画素の背面カメラは全然シャープじゃなく、価格に見合わない感じがします。
・ステレオスピーカーはスマートフォンの中でもベストな音質・音量だと思われます。
・ヘッドフォンジャックなし、防水もワイヤレス充電もなしですが、バッテリーは4000mAh、USB-CのオーディオアダプタにはTHX認証のDAC内蔵です。
・AT&TやT-MobileといったGSMのキャリアにしか対応してません。
・日本での正式な発売に関しては未発表です。
スペック
・OS:Android 7.1.1
・プロセッサ:Qualcomm Snapdragon 835
・RAM:8GB
・ストレージ:64GB内蔵、microSDカードスロット搭載
・ディスプレイ:5.7インチQHD IGZO液晶ディスプレイ、リフレッシュレート120Hz
・カメラ:背面はデュアルで1200万画素、前面は800万画素
・スピーカー:前面ステレオスピーカー、デュアルアンプ、THX認証のDAC内蔵のUSB-Cオーディオアダプタ付属
・接続:Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac対応、Bluetooth 4.2対応
・バッテリー:4,000mAh、Qualcomm Quick Charge 4.0対応
・サイズ:6.24 x 3.06 x 0.31インチ(158.5 x 77.7 x 8 mm)
・重量:197g
Image: Sam Rutherford/Gizmodo US
Source: Razer
Sam Rutherford - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)