2017年は、SoundCloudの終了騒動やMP3の正式終了のほか、音楽ストリーミングとは切っても切れない関係のスマートスピーカーが日本上陸し、楽曲特定サービスShazamがAppleに買収されるなど、IoTと音楽の関係を色濃くするニュースがたくさんありました。
みなさんは今年、どんな音楽を聴いたでしょうか? ギズモード・ジャパンの中の人が選ぶ「2017年のベスト音楽」はこんな感じですよ!
ヤマダユウス型(ライター)
【1位】坂本龍一 / async
【2位】Satellite Young / Satellite Young
【3位】Arca / Arca
【4位】PINK / 土岐麻子
【5位】Okovi / Zola Jesus
【6位】Various Artists / MONO NO AWARE
【7位】Native Invader / Tori Amos
【8位】岡部啓一、MONACA / NieR:Automata Original Soundtrack
【9位】19972016 / Boom Boom Satellites
【10位】どうぶつビスケッツ×PPP / ようこそジャパリパークへ
PS4ソフト『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』は、1つのBGMについて編成違いのバージョンが用意されており、同じ曲であってもボーカルがあったりドラムがなかったりします。それが楽曲としての多面性や、「同じであっても違う」という作品のフィロソフィーと一致したり、もうすべてが素晴らしくなるED曲に集約されたり、とかくこのサントラはド名盤。プレイした人はノータイムでBuyすべし。
『async』については衝撃というか、何度聴いても心拍があがっちゃうというか、語るには余白が足りないとはまさにこのことで。この人類総シンクボタン時代に、あの坂本龍一が、こんなにもシンプルで、一音一音を大事にする盤を、作っている。その事実と、決して独創的なだけではない音楽的快楽に、なんともゆるされた気持ちになれるんです。
振り返ってみると、今年はけものとニーアとエクスペリメンタルの年でした。夏からは本格的にモジュラーシンセを始めたので、2017年下半期はあまりボーカルモノを聴いていない気がします。自分の音楽をどこに置きたいのかについても、よぅく考えられた年だったかなぁと。
照沼健太(ライター)
【1位】小沢健二 / 流動体について
【2位】PUNPEE / MODERN TIMES
【3位】ゆるふわギャング / Mars Ice House
【4位】tofubeats / FANTASY CLUB
【5位】Chip Tanaka / Django
【6位】わーすた / パラドックス ワールド
【7位】SALU / INDIGO
【8位】BAD HOP / Mobb Life
【9位】Cornelius / Mellow Waves
【10位】NOT WONK / Penfield
あえて日本の音楽に絞って選んでみました。次点としては『美味しんぼ オリジナル・サウンドトラック アンティパスト』。中古で数万円の値段がついていた貴重サントラ盤の待望のリイシューです。関係者の皆さま、再発ありがとうございました。
さて、この10枚、基本的にポジティブなセレクトだと思います。変わること/変わらないこと、希望/感傷、その両方が混在しながらも基調としては前を向いた作品たちではないでしょうか。
1位の小沢健二には特別思い入れがあるわけではないのですが、このシングルはすごかった。あまりにも強烈な断罪と肯定によってもうひとつの世界を浮き彫りにする表題曲「流動体について」は、たった一曲で無数の思索を巡らされる名曲。渾然一体となったボーカルと楽器隊の音量バランスは、極めて作品に寄り添った戦略的な判断ではないかと思います。
現状認識と適切なコミュニケーション、そして時たまの馬鹿騒ぎ。それしか前に進む方法はないのだと、そう感じさせられた2017年です。
尾田和実(事業統括プロデューサー)
【1位】Courtney Barnett & Kurt Vile / Lotta Sea Lice
【2位】The Weather Station / The Weather Station
【3位】Wand / Plum
【4位】Thundercat / Drunk
【5位】Colter Wall / Party
【6位】Nick Cave & The Bad Seeds / Lovely Creatures
【7位】Big Thief / Capacity
【8位】Dirty Projectors / Dirty Projectors
【9位】Robyn Hitchcock / Robyn Hitchcock
【10位】Ariel Pink / Dedicated To Bobby Jameson
我ながら時代との接点をまったく感じないセレクション。「この名作を多くの人とシェアしたい」というSNS的願望より、「とりあえずほっといてくれよ」という私的感情が打ち勝ってしまう。それでも、The Weather Stationのコピーの域を超えた骨太なジョニ・ミッチェルっぷりや、Wandの粒揃いなドリームポップ感は一聴の価値があるよ、と“Be humble(控えめ)”に伝えたい。
2017年を振り返って…トラップとAuto-Tuneの組み合わせには辟易してる…それだけは間違いない。同じ金太郎飴だったら、Kurt Vileの永遠に続くかのようなギターアルペジオのほうが遥かにマシ。Kendrick Lamar最強説が依然として続く1年だったとしても。
豊田圭美(ギズモード・ジャパン/FUZE編集部)
【1位】Kehlani / SweetSexySavage
【2位】Gorillaz / HUMANZ(Deluxe)
【3位】Charli XCX / Boys
【4位】G.RINA / LIVE & LEARN
【5位】Mura Masa / Mura Masa
【6位】Jamila Woods / HEAVN
【7位】Ryohu / Blur
【8位】TLC / TLC
【9位】SZA / Ctrl
【10位】Calvin Harris / Funk Wav Bounces Vol,1
1位はぶっちぎりでKehlaniのファーストアルバム。サマーソニックの来日公演で一気に心をもっていかれました。ガーリーなのに力強いライブパフォーマンスに圧倒され、ハートを射抜かれてから延々このアルバムを聴いています。2017年はJamila WoodsやSZA、Kelela、Nonameなど、フィメールアーティストに恋する1年間でした。
2位はGorillaz。聴いた後も頭に残る中毒っぷりはほかに類を見ません。Kelelaなど2017年ホットなアーティスト達をフィーチャーしていることも含め、垂涎ものでした。
4位は、今夏のベストオブベスト。楽曲はもちろん、G.RINAのアルバムアートワークやMVには痺れっぱなしです。
8位はTLCの、実に15年ぶりとなるアルバムです。レフト・アイ急逝後にリリースされた『3D』以来のTLCに、どれほど熱くなったかわかりません。当時小学生でしたが、大人になってもかっこいいものはかっこいいですね。
番外編として、Traditionの『Captain Ganja and the Space Patrol』は心から最高でした。1970年代〜80年代、UKダブで一世を風靡したTraditionの伝説の作品が、今年日本で世界初のCD化を実現。中二感溢れるタイトルと、手塚治虫作品を読んだときの感覚に近いようなSFっぽいアンビエント感がたまりませんでした。
K.Yoshioka(ギズモード・ジャパン編集部)
【1位】joji/In Tongues
【2位】XXXTENTACION/17
【3位】Lil Peep/Come Over When You’re Sober, Pt. 1
【4位】Thundercat/Drunk
【5位】Lil Yachty/Teenage Emotions
【6位】Lil Uzi Vert/Luv Is Rage 2
【7位】Weny Dacillo/AMPM
【8位】Bonobo/Migration
【9位】Lil Pump/Lil Pump
【10位】Starrah x Diplo/Starrah x Diplo
今年はいろんな意味でエモかった。
1位は、Pink Guyという名でおもしろYouTuberとしても人気を集める、ジョージ・ミラー(オーストラリアと日本のハーフ)の音楽プロジェクト。ロウファイなトラップビートの上に、つぶやくような歌声が乗るR&B作品です。入眠音楽として最高の出来。音楽もギャグもいける、まさに真のエンターテイナーです。彼をフックアップした、アジアのヒップホップを集めたコレクティブ、88risingも要注目。
3位は今年亡くなった白人ラッパー、Lil Peepのデビュー作。90年代のグランジを思わせるギターリフにトラップのビートを乗せた「エモトラップ」スタイルの先駆者です。
5位は20歳のラッパー、Lil Yachtyのデビュー作。彼は珍しいラップスタイルや歌詞がティーンから人気をえているのですが、それゆえベテランラッパーや昔からのヒップホップファンに批判されがちでした。そんな彼が「自分は自分、自由にやりたい」という想いを込めたのが本作。そんなメッセージは、タイトル、ジャケットにも表れています。
7位はWeny DacilloのデビューEP。彼はBSスカパー!のBazookaという番組が主催の「高校生ラップ選手権」にも出演していました。…が、このときは完敗してしまったんですね…。そして月日がたち、彼はめちゃくちゃかっこいい楽曲を提げてシーンに帰ってきたというわけです。まさにヒップホップドリーム。
Image: Shutterstock
Source: YouTube(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7), Apple, NieR:Automata, Wikipedia, TOWER RECORDS ONLINE, BSスカパー!
(ギズモード・ジャパン編集部)