映画、ドラマ、サブスク、コミック…すべて動くかも。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で話題のディズニーが、なんとその公開前日にもともとスター・ウォーズの配給会社だった20世紀フォックスなどの関連企業を524億ドル(約5兆9000億円)で買収したという大発表をしました。
ってことは、『アベンジャーズ』を擁するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に、Xメンやデッドプールも参加できる……ってだけじゃなく、他にもいろんなことが起こりそうです。その辺の話を少し見ていきましょう。
まず今回、ディズニーが一部買収した21世紀フォックス(20世紀フォックスの親会社)はフォックスのエンターテインメント部門。映画製作・配給会社の「20世紀フォックス」と、ドラマ製作会社の「20世紀フォックステレビジョン」、「フォックス21テレビジョンスタジオ」だけでなく、さらにケーブルTV局である「FX」や「スカイ」、「スター」など、エンタメ部門をまるっと買収したことになります。
言い換えれば、フォックス系列のもう一つの側面である報道とスポーツ部門には手を付けていないという形。フォックス・ニュースと言えば保守派チャンネルとして有名で、トランプ大統領お気に入りのメディア。なのでディズニーが今後も欲しがることはなさそう……。
それはともかく、今回の買収は『タイタニック』に『プレデター』や『コマンドー』など数え切れない名作の権利がディズニーに渡るのですが、個人的に気になっているのは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の権利。
実は『新たなる希望』の配給・ソフト化権はルーカスフィルムをディズニーが獲得した後も、20世紀フォックスが所有していました。そのため現在発売されているソフト版は、簡単に言えばディズニーとフォックスが共同で出している形になっています。
デジタルではないソフト化権は2020年で切れる契約だったこともあり、ファンの間ではそのあたりに「特別編」ではない「劇場公開版」が4Kで出るんじゃないかなんて話も出ていたのですが、今回の買収によりその辺の権利も一気にディズニーが手にしているので、もしかするとソフトだけじゃなく劇場でも見られるかもしれません。
1977年の映画を4Kで見てどうするのと思うかもしれないですが、やっぱり見てみたいものなんですよ……(注:数多くのバージョンのブレードランナーのソフトを持っている人の意見です)!
もうひとつ、今回の買収で大きな変化が訪れそうなのが、今や群雄割拠の戦国時代へと突入した動画配信サービス。フォックスは、動画配信サービス大手のHuluの経営権の一部も持っているのですが、どうやら今回の買収でディズニーはそちらの権利も取得した模様。
また、ディズニーは独自の動画配信サービスを開始するとも発表しており、そちらとの競合がどうなるのかも気になるところ。
アメリカではディズニー作品の多くはNetflixが配信権を持っているのですが、それらは2019年で配信権を引き上げるとのことなので、そのあたりから色々と動きがありそうです。日本ではどうなるかは今のところ不明ですが、これからディズニー見るならHuluになっていくのでしょうか……?
その一方で、Netflixが展開しているマーベルのドラマには影響しないという発言もかつては行なわれていたのですが……果たして本当のところ、どうなるのか。
といろいろ書きましたが、アメコミ映画ファンとしてはなんといっても、ディズニーのマーベル原作映画(MCU)と、フォックスのマーベル原作の映画の世界観を繋げられるようになるところですね。
ディズニーのプレスリリースの中でも、「Xメンやデッドプール、ファンタスティック・フォーが一つの屋根の下に集い、再会する機会が生まれる」と書かれています。まだ、MCUとフォックスの世界が直接的に繋がるかどうかは未定ですが、可能性は十分ありますし、妄想が無限に広がります。
ちなみに、MCUもフォックスも映画だけでなくドラマでもマーベル原作ものをやっているので、そちらのつながりもあるかもしれません。超人対策チームの活躍を描く『エージェント・オブ・シールド』とサイケデリック・ミュータントものの『レギオン』が繋がったらかなりイカれた展開になりそうじゃありませんか!?
しかし個人的に一番楽しみなのは、スーパーヒーロー冒険家族『ファンタスティック・フォー』がマーベルの手元に戻るというところ。今までとはまた違ったノリの実写版が展開されると思うとワクワクしてきますし、『ファンタスティック・フォー』の関連キャラである「シルバーサーファー」や「ギャラクタス」といった濃いめの宇宙キャラが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の面々と出会ったりしたらもう最高ですよ。
実際、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督はシルバーサーファーが特にお気に入りで、インタビューでも言及していましたし、数年前に発売されたコミックの表紙には、ガン監督の推薦文が掲載されたほど。実は監督はかつての『シルバーサーファー』の単独映画化に関わっていたりと、かなり縁深い人物なんです。
また、映画・ドラマも楽しみですが、この展開はコミックにも変化を与えそう。実はコミックでは『ファンタスティック・フォー』のキャラクターがユニバースから消えたわけではないものの、チームの単独誌がなくなるなど目に見えて明らかにひどい扱いを受けていたので、もしかすると単独誌が戻ってくることもあるかもしれません。
加えてディズニーが『スター・ウォーズ』を獲得したときのように、コミックの権利もまとめてディズニーに移行する可能性があるので、『アベンジャーズvsプレデター(AvP)』や『エイリアンvsパニッシャー(こっちもAvP)』なんていうコミックが出る可能性もゼロではありません。
地球のスーパーヒーローがエイリアンに追いつめられたとき、爆炎の向こうから『コマンドー』のメイトリックス大佐が出て来て、パニッシャーと共闘するとか最高じゃないですか。
とにかくこれからプラスな変化が訪れそうな、ディズニーのフォックス買収。一体何が起こるか、非常に楽しみで仕方がありません!
Image: Drew Angerer/Getty Images News/ゲッティ イメージズ
Source: Disney, Gizmodo US, Gizmodo io9, CNBC
(傭兵ペンギン)