GoProに6万円を差し出した者だけが味わえる、ただゆっくりにしただけのあまりに美しい世界。
アクションカメラのパイオニアであり、王座に君臨し続けるGoPro。文句をつけるなら、完璧すぎて変化がないってことくらいのものでした。しかし今年登場したHero6は、空前絶後のスローモーションを実現するべく更なる高みを目指したアクションカメラです。これが変化と感じるかどうかはさておき、一見の価値はありますよ~!
見た目に関しては、Hero5と変わりません。横の数字が5から6に変わっているだけで。いや別にデザインが悪いって言ってるんじゃないですよ? Hero5のデザインもすばらしかったですから。Hero5と同様にハウジングなしで水深10mまで耐えられ、背面には明るいLCDタッチスクリーン。GoProの自家製ドローンKarmaも含めてありとあらゆるアクセサリーに対応しています、Hero5と同様に。

肝心の中身はどうなのかってことですが、Hero6はGoPro史上初の自社製プロセッサーGP1を搭載っ!! このGP1がとんでもないやつで、なんとHero5の倍のパフォーマンスを達成しちゃいました。つまり4Kを60fpsで、1080pを240fpsで撮影してしまうんです。百聞は一見に如かずってことで、とりあえず下の比較動画を見てくださいよ~。
1080p/120fpsの5倍スローもめちゃくちゃきれいですけど、240fpsの10倍スローは別次元です。肉眼では見えない世界をはっきりと見ることができますね。白鳥の羽ばたく姿や飛び散る水しぶきは美しく神秘的です、ただゆっくりにしただけなのに...。
GoProはついでに史上最高の電子手振れ補正機能もつけちゃったそうです。Hero5では10%だったクロップは5%に減り、1080pのときはぬるぬる動いてくれます。しかしながら4kでは、酔っ払いが壊れかけのCameraで撮影したみたいになってしまいます...。もちろんHero5と比べればマシになっていますし、というかソニーのアクションカメラX3000Rの存在がなければ、恐らくそんなに悪いものには思えなかったでしょうねぇ。X3000Rはソニーの光学式手振れ補正機能がついた唯一のアクションカメラで、あぁため息が出るほど滑らかじゃあないですかっ! しかもですよ、X3000Rは光学式なんでクロップしなくても良いし画質も落ちません。全体的には、X3000RはHero6ほど使い勝手は良くないし欠点も多いです。下に4kの比較動画も貼っておきますね、先の1080pの比較動画と合わせてご覧ください!
4kについては、さすがHero6って感じです。彩度が上がりすぎるバグもアップデートで解消され、鮮やかで正確な映像になっています。一方4k60fpsを達成していながらHero6より福沢諭吉3人分安いという驚きのYi 4K+ですが、これに野口英世を30人も動員するのはおすすめできないですね。一目同然の低クオリティで、おまけにしょっちゅうカードエラー起こすので(別々のカードを3枚も試してもダメ)、禿げます。
4つのアクションカメラを比べてみましたが、やっぱり選ばれたのはHero6ですね。暗い場所でホワイトバランスをautoにしたとき、めっちゃ緑になることがありますが、それ以外ではサイコーのカラーバランスです。暗いとこでのノイズも明るさを調整すれば気にならないし、そんな姑みたいにいびったらGoProが可哀想ですからね...。

さらにHero6は5GHzのWi-Fi使用時、Hero5の3倍の速度でスマホに転送できます。シャア専用GoProです。ただし、国内正規品は5GHzを使えません。なんてこった! 自動で素材を取り込み、自動でエフェクトなり音楽なりを加えて編集してくれるQuick Storiesも強化されたらしいのですが、ビミョーです。ベストショットを認識し損ねるだけじゃなく、写真が逆順になってたりハイフレームレートで撮ったのがスローになっていなかったり、たまに画像にアクセスできなくなったりします。
さらに注意しなければならないのが、新しく導入された高効率ビデオコーデック(HEVG)です。HEVGとは高画質の大容量ビデオをクオリティをさげることなく約半分のサイズにできる最新ビデオ圧縮規格のことです。すごい良いんですけど、最新すぎて対応してないみたいな制限があります。例えばiPhone 6sは未対応です。詳しくはGoProのホームページで確かめてください!

Hero6は、音質にもやや難があり。というのもHero6の防水構造が音をふさいでしまっているんです。だからケースなしのX3000RやYi 4K+と比べちゃうと残念な音なんですが、X3000RやYi 4K+に防水ケース付けたら何にも聞こえなくなっちゃうんでHero6の勝ちです。激しいスポーツなんかをやるときはHero6、記者会見の様子を撮るときはそれ以外って感じで使い分けましょう。
言うまでもないですけど、Hero6はただのカメラでもあります。今まで通りのRAW形式に加え、HDR形式にも対応します。でもHDRモードでは彩度が高すぎたりして、少しやりすぎ感があります。基本RAWで、特に明るい部屋にいるときはHDRにしてみようかなくらいで良いと思います。
散々不平不満をこぼしてきましたけど、Hero6は感動さえ覚えるほどのアクションカメラです。今まで使ったアクションカメラの中でも最高のダイナミックレンジ、たとえ被写体が逆光でも細かい影まで捉えてくれます。こいつを手にしたら、なんだってスローモーションにしたくなっちゃいますよ!
最後に、本当に最後に文句を言うなら、それは価格でしょう。5万円くらいだったらHero6は文字通りヒーローって感じでした。Hero5が約4万円に値下げされた今、多くの人が5で十分だと考えるでしょう。どうしてもあのスローが撮りたい、という人はご自身のお財布と相談ですね。個人的には、まだアクションカメラを持っていないならアリです、福沢諭吉1人の価値はあるでしょう。既にHero5を持っているなら、もちろんめっちゃ欲しいですけど、諦めますね...。というかこの流れだと、Hero15は15万円ですよ!

手振れ補正機能が命だって人には4万円のX3000Rが良いかもしれませんが、タッチスクリーンの反応の悪さといったらないです。別売りのリモコンかアプリを購入しないと、カメラを叩き壊してしまうかもしれません。アクションカメラに肝心なダイナミックレンジもまだまだって感じです。たった3万円のYi 4K+ですが、あの低画質と寿命を死神並みに持っていくあのバグを考えると、ちょっと誰にもお勧めできません。大体の人にはHero6の購入を、もうHero5を持っている人には見送ることをお勧めします!
Image: Gizmodo US
Video: Brent Rose via Gizmodo
Source: GoPro
Blent Rose - Gizmodo US[原文]
(瀧川丈太朗)