勇気あるヒーローなのか、それとも…?
現在世界5位の価値を持つ暗号通貨、ライトコイン(LTC)は最近急激な成長を遂げていました。今年3月には4ドル(約450円)だったライトコインは、現在300ドル以上(約3万4千円)の価値を持っています。ところが、創始者のCharlie Lee氏は先日、 利益相反を理由に、所持しているライトコインをすべて(記念の物理コインは除く)売却したとRedditの投稿で発表しました。
「私がライトコインの価格や、単に良いニュースや悪いニュースをツイートしただけでも、私腹を肥やすためにやっているんだろうと批判を受けました。人によっては、私がLTCに逆張りしているなんて言うんです! 要するに、大きな影響力を持っている私が、LTCを所有し、それに関してツイートすることはある種利益相反となってしまうのです。よって、過去数日で私のライトコインはすべて売却、寄付しました」とLee氏はRedditに綴ります。彼は暗号通貨取引プラットフォーム、Coinbaseの初期に技術者として働いていたこともあります。
新しい派生コインが公開される前に、創始者と初期投資家達が予め事前採掘することを「premine(プリマイン)」と呼びますが、最近の暗号通貨の世界ではこのpremineが過剰に多い派生コインを作る、胡散臭い創始者が増えています。Premineが多いことで本来の価値に合わない影響力が生まれ、取引所で扱われるようになったと同時に売り抜けてしまえば、premineを得ていた人たちだけが得をし、それ以外の人たちは大幅な損害を受けます。だからこそ、Lee氏がライトコインをすべて(しかも公の場で公表して)手放すのが極めて異例なのです。
彼は何年も、自身の持っていたライトコインの総額を頑なに口にしませんでしたが、結局最後までそれは明言しませんでした。売却前に告知がなく、ライトコインをいくら売却したのか、元帳で調べられないため、Redditのライトコインスレッドには不安を口にする人もいます。「過去2週間で価値が跳ね上がった途端にコインの制作者が手持ちをすべて売り払ったのに、ここの連中は彼をヒーロー扱いしてるのか」と一人のユーザーが発言し、「売ったあとに公表するのは『ライトコインのため』なんかじゃない。とんずらしたのさ」と他のユーザーが答えました。
肩の荷が下りたLee氏は、短期的には信頼と好感度をあげたかもしれませんが、彼が他のライトコイン所持者の知らない情報を握っていたという疑惑は消えません。サトシ・ナカモトの名前で活動していた人(々)ですら、姿を消す前にビットコインを売ったり、寄付したり、削除はしていません。それに、派生コインを作った人間で、自分の作った物にまったく投資していない例を探すほうが困難です。「ライトコインが成功すれば、いろいろな意味で私にもまだ恩恵はあります。ただ、コインを保持することによる直接的な恩恵がないだけです」とLee氏は同じ投稿で発言しています。
Image: YouTube
Bryan Menegus - Gizmodo US[原文]
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