「ぼくのかんがえたさいきょうのでじかめ」をまんま、形にしたかのよう。
α7シリーズには3つのラインナップがあります。どスタンダードでリーズナブルなα7/α7 II、低画素で超高感度性能を高めた&動画撮影に向いたα7S/α7S II。そして超高画素パラメータをMAXに振ったα7R/α7R II/α7R III。α7R IIと、最新型のα7R IIIなんて約4240万画素ですよ。8K超えちゃっていますよ。
α7Rは「ピーキーすぎておまえにゃ無理だよ」といわれんばかりのデジカメでしたが、α7R IIになって手ぶれ補正がつき、ややマイルドに。最新型のα7R IIIはどうでしょうか。もっと僕らに近寄ってくれる存在なのでしょうか。10日ほど付き合ってみました。
とりいそぎの結論。欲しいです。欲しすぎます。4240万画素がカジュアルに使えるってナニゴトですか。せんせい。この人、チートすぎます。

高画素機は高感度に弱いだなんて誰がいったのでしょうか。自分でもいっていた気がします。だから2432万画素で高感度に強いニコンD750を買ったのですが、進化とは切なくもうれしいもの。これ、ISO12800ですよ。JPEG撮ってだしですよ。
目元の毛もシャープに描いてる。精緻!
さすがにISO102400となると、ノイズが浮きますね。色も異なります。とはいっても、ドットbyドットで表示させるのでもなければ許容範囲。許せます。愛せます。
薄暗い居酒屋も怖くありません。ノーフラッシュで、パシャっと一瞬を切り取れます。明るいいいレンズが必要ということもありますが、ここまでの高画素機となると、ヘタなレンズが使いにくいですもんね。アラもすべて描けちゃいますから。

眠い絵になりがちな古いレンズを使ってみたらどうだろう? 手持ちのEマウント-ニコンマウントアダプタを介して、Reflex Nikkor 1000mm F11と合体。JPEG画像をLightoomでちょいと調整してみましたが、アリな気がしてきました。α7R IIIはピーキングが見やすいし、手ブレ補正もきくからマニュアルレンズとの合わせ技も楽しいったら。

AFは着実だし連写もなかなか。α7R IIIに向かって歩いてきてもらいましたが、瞳にフォーカスを合わせ続けてくれました。瞳AFサイコー。SEL90M28Gはマクロだし、決して速いAFではありませんが庭かけまわるイッヌを撮るのでなければオッケでしょう。
一眼レフと比較するとボディが小さく持ち運びしやすい。この日はSEL2470GMの2.8通しズームをつけていたから全体は大きくなったけど。35mmと50mmマクロの2本といっしょに毎日を暮らしたくなりました。

小さい=正義、ではないんですけどね。手袋派としては、小さすぎて握りにくいという懸念があって。どノーマルの状態だと、RX10M4のほうがホールドしやすかったなー。

しっかし、この透明感の高さたるや。手持ちでカジュアルに使える4000万画素級は実に楽しい! 自分のウデがよくなったかのようにも感じます。
ロットリングで描いたような、輪郭がビッとした被写体はα7R IIIが最も得意とするところ。しかしこのロードスターを撮った写真を見ていたら、手ブレが目立つカットもあったんです。 5.5段の補正効果を誇る光学式5軸ボディ内手ブレ補正ではありますが、過信はよくありませんね。

じゃあ三脚を使うとなると、α7R IIIはさらなる楽しさを提供してくれます。まずこちら。RAWをそのまま現像しました。

フルHDで切り出してみましたどん。情報量、すごい。ですが、ここからもう一歩追い込めるんです。ピクセルシフトマルチ撮影で!


質感、段違いです。「約1億6960万画素相当の解像度って」と思っていましたが、実際の結果を見てしまうと圧倒的。オーディオ文学である「1枚ヴェールをとったようなクリアさ」の言葉を贈りたい。
顕微鏡かってくらいに解像してくれるから、ピクセルシフトマルチ撮影でなんでも撮ってみたくなります。これは罪作りなデシカメです!
気に入ったところ

超高解像機なのに高感度域も常用できるのがスゴイ。「未来キタ!」って感じ。フルHDに切り出しても使えるトリミング耐性もステキ。
手ぶれ補正も頼れますね。E-M1 MarkIIほどのガッチガチさはありませんが、センサーサイズも画素数も違うものなので、そういうモノとして。
フォーカスポイントを動かしやすいジョイスティックにも感謝です。タッチパネルでのAFも慣れると快適。特に三脚使用時は活用しまくり。拡大表示&ピーキングでフォーカスを追い込めるところも気に入りました。
EVFも見やすいし、露出補正ダイヤルもありがたい。弱点、あるの?
残念なところ

前述しましたがグリップですね。これに関しては現状、一眼レフ機が勝っています。でも手の大きさは人それぞれ。だからあくまで僕にとっては、というお話とさせてください。
あとボディサイズの小ささから、特定の機能に即アクセスできるボタンが少ないです。そしてメニューが煩雑で、設定を変えるのが面倒に感じます。
とはいってもですよ。素早くモードや設定を切り替える必要があるプロカメラマンでなければ、あまりデメリットになるとは思えないんですよね。
こんな人にオススメ

連写性能はα9が勝っていますし、さらなる高感度域がほしいのであればα7S IIに行くべきでしょう。特に4K動画を撮る方もα7S IIがいいかも。
α7R IIIは、被写体とゆっくり付き合いたい人にとっては、ベストなデジカメ。お高いモデルですし、コイツの実力を引き出すにはハイパフォーマンスなレンズが必要になりますから、セットで考えるとかなり勇気のいる価格となるでしょう。
でもα7R IIIでなければ撮りにくい領域があるのは事実です。

自分の思い出を精緻に、色鮮やかに残しておきたいならば。α7R IIIは1つの結論となるはずです。いーなー。オーナーさんまじ羨ましい。
Photo: 武者良太
Source: ソニー
協力: こばやしゆういち、ドーゼヤスミン
(武者良太)