究極の自動操縦システム!
いまや飛行機から自動車まで、人間のパイロットやドライバーが常にコントロールせずとも、自動運行が可能な時代となってきました。その最先端ともいうべきシステムは、どうやら宇宙空間での運用を目指して研究開発中のようですよ~。
NASAも資金面でサポートを提供しているDraperは、宇宙遊泳のミッションに挑んでいる宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)などへ自動的に帰還できるようにするシステムの開発に取り組んでいます。宇宙遊泳の最中に意識を失ってしまったり、急な体調不良に見舞われたりしても、ワンボタンで安全な場所へ宇宙飛行士を連れ戻せるようになることが目指されているんだとか。
現在の宇宙服には、自動ナビゲーションに関わるソリューションが一切装備されていない。すべてが完全なマニュアル操作のみで、緊急事態に面すると、宇宙飛行士にとっては、非常に大きな挑戦が投げかけられる。
Draperで同システムの開発チームを率いるSeamus Tuohy氏は、こんなふうにコメントしています。開発中のシステムは、宇宙遊泳中の宇宙飛行士が、どれくらいの時間をかけて、どれほどの酸素を用い、どうやって安全にISSなどへ戻ることができるのかなどを、常時計測。いざ緊急ボタンが押されたならば、完全に自動操縦でジェットパックを作動させられるほか、ヘルメットのバイザー上に安全な帰還ルートを表示し、実際のコントロールは宇宙飛行士が行なうといった半自動操縦にも対応しています。また、宇宙飛行士の意識がまったくない場合などは、ISSのクルーや地上の管制官が緊急システムを起動することもできるようになっているみたいですね。
宇宙空間には重力がなく、どちらが上で、どちらが下なのかを計測する方法も容易ではないため、宇宙飛行士にナビゲーションを提供するのは非常に困難だ。Draperの技術は、クルーの安全を守りながら、ミッションの成功度を高めることにもつながるだろう。
DraperのシステムエンジニアであるKevin Duda氏は、このように解説を加えています。GPS信号もない状態で、どのように宇宙空間での正確なナビゲーションを可能にするのか? この課題を解決しながらシステムの開発を進めることは、平時の宇宙飛行士の安全を向上させることにもつながるようですね。まだ特許申請がなされたばかりの技術なので、実用化までの道のりは長そうですけど、いろいろな分野に応用されると、地上でもメリットが大きいと考えられます。消火救命作業中の消防隊員や海中深くに潜るダイバーなどが、たとえ意識を失っても安全に戻ってこれるシステムなども実現するかもしれませんよ。
Image: NASA
Source: Draper
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)