無駄にハイスペックすぎる? Microsoft最強のラップトップ「Surface Book 2」レビュー

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  • author 湯木進悟
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無駄にハイスペックすぎる? Microsoft最強のラップトップ「Surface Book 2」レビュー
Images: Alex Cranz/Gizmodo US

つまり一般人にはいらない?

Microsoft(マイクロソフト)といえば、WindowsやOfficeなどのソフトウェアを開発提供する企業…。そんなイメージを払しょくする、数々のハードウェアが、ここのところMicrosoftから続々とリリースされてきましたよね。もっとも世間を驚かせたのは、とにかくプレミアムなWindowsラップトップの「Surface Book」ではなかったでしょうか。

いまやその第2世代となるSurface Book 2が発売されましたけど、しばらく手にとって使い倒してみた、米Gizmodo編集部のMario Aguilar記者が、率直なレビューを公開しています。買おうかどうか迷っているあなた、本当に自分に必要なモデルなのか、よくチェックしてから購入したほうがよいかもよ~。


新しいMicrosoftのSurface Book 2の15インチモデルで、タイピングして仕事をしていると、なんだか自分には似合わないという居心地の悪さをぬぐいきれません。誤解しないでくださいね。Surface Book 2は、非常に性能の優れたラップトップであるのみならず、美しいデザイン性も持ち合わせています。この大きなスクリーンで仕事をしていると、なんだか34インチのディスプレイを眺めながら、いつも仕事をしているデスクトップと変わらない感覚にとらわれてしまうんですよね。だから、Surface Book 2は、私にとって不要なものではありません。でも、それは超高級なスポーツカーが、街中で渋滞につかまって、黄色いタクシーと一緒にノロノロと並んでいるようなもの! これは本当に私に必要? 日本円にして30万円を優に超える、3300ドルも出して手に入れるべき? 答えは絶対にノーでしょうね。

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Images: Alex Cranz/Gizmodo US

初代Surface Bookが2015年に発売されたとき、その独特な脱着式スクリーンのコンセプトは、とても革新的に思えました。ユーザーにとってだけでなく、Microsoftのイメージまで変えてしまいそうな衝撃でしたよね。とにかくクールな製品に見えました。Microsoftが創造したかった、未来のコンピューティングエクスペリエンスの象徴みたいな存在だったのでは? デザイン重視派やギークなユーザーならば、こういう野心的な製品には惹かれることでしょう。それは私にとっても実はあてはまり、Surface Bookを手にして以来、Windowsマシンばかり使ってきましたよ~。

あれから2年が過ぎました。刷新されたSurface Bookシリーズは、Microsoftが掲げる野望を映し出しているかのようです。この2年間というのは、Microsoftが、ハードウェアもソフトウェアも「アーティスト向けにあるのだ」と唱えんばかりのものばかりリリースしてきた期間でもありました。その最大のリリースは、昨年発売された「Surface Studio」です。Windows 10の「Creators Update」も、一般のユーザーには、なんら興奮を誘う特徴がありませんでしたけど、スタイラスの「Surface Pen」やMixed Realityでの体験を重視する人にとっては、数々の優れた改良点が盛り込まれたアップデートだったはずですよね。

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Images: Alex Cranz/Gizmodo US

新しいSurface Book 2は、13.5インチと15インチの2モデルが用意されました。一言で表現するならば、最強性能を有するトンでもなく値段の高いラップトップ。ほかのプレミアムモデルな「MacBook Pro」「Razer Blade Pro」と肩を並べる存在ですね。今回、私がレビューしている15インチモデルには、新たな第8世代のIntel製のCore i7プロセッサーが採用されており、16GBのRAM、Nvidia製の「GeForce GTX 1060」のGPUが装備されています。1TBのストレージを備えて、3300ドルというハイプライスになりました。でも、もしストレージ容量は256GBで構わないという場合は、2500ドルから購入できるようになっていますよ。

さらに、もっとスペックを落とし、13.5インチモデルで、8GBのRAM、Nvidia製の「GeForce GTX 1050」のGPUでよければ、2000ドルから購入可能ですね。別にパワーゲーマーではなく、Mixed Realityなんかにも興味はないというユーザーであれば、13.5インチモデルには、独立したGPUを備えていない、1年落ちのIntel製のCore i5プロセッサーを採用した最小構成モデルまで用意されていますね。

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Images: Alex Cranz/Gizmodo US

とはいえ、今回は3300ドルの最強モデルのレビューを進めましょう。当然ながら、すばらしいパフォーマンスに圧倒されます。ただただベンチマークスコアに驚かされることでしょう! Photoshopのレンダリング測定では、最新のRazer Blade Pro以外の、ほかのすべてのラップトップに差をつける強さを見せつけました。パワーゲーマー向けの『Civilization 6』や『Rise of the Tomb Raider』といったゲームをプレイしても、Surface Book 2以上のプレイ環境を有するラップトップは、特殊なゲーミングPCだけではないでしょうか? MSIの「GT75VR」なら、Surface Book 2にも勝てそうですね。どうやらSurface Book 2のグラフィックス性能は、Mixed Reality対応のヘッドセットに必要なレベルを、大幅に上回ってもいるようですよ~。

それでいて、バッテリーの持ちも十分なものでした。10時間連続で使い続けても大丈夫なことが実証済みです。基本的に、ほぼ毎日、仕事中は一切電源につながなくてもよいレベルですね。

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Images: Alex Cranz/Gizmodo US

Surface Book 2のデザインは特徴的ですが、小さな違いを除けば、ほとんど先代から変化していません。高級感あふれるデザインではありますが、ちょっぴり変わったところも昔のままです。脱着式スクリーンの要となるヒンジは、閉じると隙間ができるのも変わりありません。相変わらず、通常のラップトップとして使用するスタイルでは、スクリーン上部にヘッドフォンを挿さなければいけなくなります。でも、キーボードは使いやすいですし、トラックパッドにも十分満足ですよ。

これだけの価格に見合って、Surface Book 2のハードウェアは、全般的に納得がいく仕上がりでしょう。なんといっても、ディスプレイの美しさは群を抜いていますからね。これでスプレッドシートを作成し続けることができるとしたら、私は何年でもやりたいです。おまけに、15インチモデルは大きいはずなのに、それほどかさばる感じがしません。まるでもっとコンパクトなラップトップを使っているときと変わらず、どこでも持ち歩いては、ポンと膝の上で開いて仕事ができます。なによりもうれしいのは、やっと普通にUSB type-Cポートで充電もできるようになりました!

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Images: Alex Cranz/Gizmodo US

Surface Book 2は、とっても高性能で美しい…。でも、やっぱり最後には、この質問に戻ってきてしまいます。つまり、いったいこれって、だれのためのもの? Surface Book 2は、お金持ちパワーユーザーが、とにかく非常に重要でタフな仕事をいつもこなすのには最適でしょう。オシャレなセレブのデザイナーが、Surface Penを駆使して、世界を変えるデザインに没頭するのにもピッタリでしょうね。暗い部屋のあちこちを、Surface Book 2のディスプレイだけ外して歩き回り、これまた世界を変えそうなデザインを逃さずクリエイトしていく。でも、そんな人って本当に存在するのでしょうか? TVのコマーシャルではない、現実の世界に、そんなユーザーはいるの?

私が、そんな人物のふりをしようとしても、やっぱり愚か者にしか見えないというのが正直な感想です。昨日は、ディスプレイ横にくっついたSurface Penを颯爽と手にして、ボタンをダブルクリックしてみました。すると、ちょうど読んでいたメールのスクリーンショットが撮られたので、そこにイェーイと書き込みつつ、Slackで同僚にシェアしてみました。それから、ディスプレイだけ取り外して、Netflixの映画を見ました。Mixed Reality対応ヘッドセットをかけて、臨場感あふれる映像にひたってみたり、まるでVRヘッドセットをかけながら仕事してますみたいなふりだってできてしまいます~。

もちろん、このすべてはスゴいことではあるでしょう。でも、私には、正直にいって、まったく必要ありません。といいますか、こういうことが必要な人って、世界にどれだけいるのでしょうか? なかなか周囲でSurface Bookを使っている人なんて目にしないのも、私にはわかるような気がします。もっと安価なSurfaceシリーズですとか、ほかのWindowsマシンで、普通は事足りてしまうのですよね。MacBook Proに匹敵する値段を出して、タッチスクリーンとグラフィックスを重視したい人にはよいでしょう。未来的なデザインで、常になにかをクリエイトし続けていきたいという人には、そのをかなえられるマシンなのかもしれませんけれど。

Images: Gizmodo US

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)