素晴らしいチョイスだと思います。
感情とは、難しいものです。こんなものがなければもっと楽なのにと思うこともあれば、その豊かさに感謝することもあり、人間らしいとはまさに感情の動きをもって使われる言葉なのだと思います。となれば、これからますます人間と密に暮らしていくだろう人工知能に教えねばなりませんよね、感情ってやつをさ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のソーシャルマシーンラボと、McKinsey(マッキンゼー)のテック&メディアチームの共同研究にて、映画を使って感情をAIに教える取り組みが行なわれています。
このプロジェクトは、人口知能に感情を持たせるというわけではなく、悲しいとか嬉しいという感情がどういうものかを理解させるというもの。ストーリーの流れよって人間の心がどう動くのか、これを理解するためにAIが学ぶべきことは、映画の何が感情を揺さぶるきっかけになるかというもの。音楽しかり、セリフ運びしかり、カメラのアングルしかり、さまざまな映画技術が、見ている人に何を感じさせるのかを学びます。そのために、MITのマシーンラーニングモデルは、何千何百という映画を視聴。
マッキンゼーのブログによれば、どこまでAIが感情を理解できたのか、ディズニー・ピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のオープニングシーンでテストした結果が公開されています。カールじいさんのオープニングといえば、あまりにも有名すぎるTHE・涙こぼれる名シーン。観たことがある人はわかると思いますが、人生の喜び悲しみすべてがギュっと濃縮されており、映画開始すぐでこんなにも涙がでるのかというほど、泣けます。
結果、AIの感情の理解はこのグラフにまとめられています。グラフは、0から1で感情の動きを表しており、数字が高いほどポジティブ(ハッピー)な感情、低いとネガティブ(悲しい)な気持ちとなっています。ポジティブ最高値は、若かりしカールじいさん夫婦が子どもを授かるシーン。1番低いのは、エリーが亡くなってカールじいさんがひとり家に戻ってきたシーン。ボランティアのみなさん(もちろん人間)にも同じオープニングを見てもらい、彼らの感情&そう感じるにいたったきっかけ(音楽など)も記録。こうすることでAIの感情理解を比較し、どれほど正確か、人間に寄り添っているかをチェックすることができました。
研究チームの真のゴールは、人工知能が感情にうったえるパワフルなストーリーを作ることですが、今はまだそこにはいたりません。作るには、どういうものが効果的かを知るところから。 感情を読み取るというマシンラーニングは、近年とてもポピュラーな研究テーマです。このままマシンラーニングが進めば、10年後の超感動大作の脚本家も監督も、AIなんてこと十分にありそうですね。
Image: Shutterstock
Source: McKinsey via Fast Company, Wikipedia
Sidney Fussell - Gizmodo US[原文]
(そうこ)