VAIO S11レビュー:モダンなノートPCが失ったモノがここにある
最新のVAIO S11(左)とソニー製のVAIO Pro11(右)

VAIO S11レビュー:モダンなノートPCが失ったモノがここにある

かつてのVAIOとぱっと見は似ていますが、キャラはぜんぜん違います。

ソニーからスピンナウトしたPCメーカー・VAIO。そのVAIOが2017年の9月にリリースしたのが、モバイルPCのVAIO S11です。発売からしばらく経ってしまいましたが、本機を1週間ほどお借りしてのレビューをお届けします。

  • これは何?:1kgを大幅に切る軽量小型ノートPC
  • 価格:10万4,800円~(税抜)
  • 好きなところ:周辺機器がマジで1つも要らない
  • 嫌いなところ:Windows 10なのにディスプレイがタッチパネルじゃない

PC以外は何も持たなくてOK。まさにオールインワン

最近の Ultrabook(ウルトラブック)系のモバイルノートPCたちは、薄いボディやすっきりしたデザインとのトレードオフとして、さまざまなポート類を切り捨てています。数個のUSB-A/USB-Cがあるだけで、有線LANにしろ外部ディスプレイにしろ、なにか変換コネクタを挟まないと接続できません。将来的にはすべてがワイヤレスになるのでしょうが、今はまだ過渡期です。

これらのPCでガチに仕事をしようと思ったら、いろんな周辺機器が必須でしょう。USBハブ、SDカードリーダー、それに各種のケーブルをまとめたポーチはモバイラーのお供です。場合によっては、ここに有線LANアダプタや、ディスプレイ用のポートを備えたドックも加わります。

周辺機器にはたくさんの製品があります。軽いもの、安いもの、複数の機能がまとまったもの...。求める条件はユーザーによってまちまちでしょうから、ストアをいろいろ回って、あれこれ買い集める必要があるでしょう。

こういったガジェットをそろえるのは、まあ楽しいといえば楽しいです。でも、けっこうな出費になりますし、バッグの中のスペースも有限です。持ち運びのために小型のモバイルPCを選んだのに、オプションで荷物が増えるという本末転倒さ...

s11_2
USBが左右に分散しているのは好印象。LANコネクタは折りたたみ式。
Photo: Taro Kanamoto

でも、VAIO S11を使っていた間、これらのオプションをポーチから取り出すことは一度もありませんでした。S11は3つのUSB-AにSDカードスロット、HDMI&VGAのディスプレイコネクタ、とどめに有線LAN端子まで、思いつく限りのインターフェースを備えているのです。正直、私のケースでは使わないコネクタすらありました(はい、VGAです)。

やりすぎ感すら漂いますが、VAIO S11があれば、周辺機器の悩みは消え失せるでしょう。アダプタを家に忘れるとか、ケーブルが断線するとかのトラブルとも無縁です。

さらに、このS11はSIMロックフリーのLTE回線を内蔵したモデルも用意されています。Wi-Fiルーターすら不要。まさしくオールインワンPCと言えるでしょう。

軽さは正義。実用主義のストイックなボディ

s11_3
Photo: Taro Kanamoto

これだけのポート類を搭載しながら、VAIO S11の重量は1kgを大きく切った860g(LTE内蔵モデル)。モバイルを名乗りつつ1kgを超えるPCも少なくない中、900g以下のマシンは数えるほどしかありません。VAIOといえば、ソニー時代から軽さにこだわりのあるPCでした。その流れを受け継いでいるのはうれしいところ。

ボディの剛性感もあり、11インチというフットプリントの小ささもあわせて、ケース無しでたいていのバッグに放り込めます。バッグからS11をひっぱり出して、クラムシェルのボディをパカっと開けば準備OK。指紋センサー+Windows Helloに対応していますから、ログインも一瞬です。

ただし、ACアダプタだけは従来然とした黒くて四角い羊羹みたいな箱です。さすがにUSB-Cで充電できるモダンなPCと比べると野暮ったさを感じてしまいます。次世代機では、ぜひUSB-Cでの充電に対応していただきたい!

s11_4
トラックパッドにはいまどき珍しい左右クリックボタンが。
Photo: Taro Kanamoto

使うなかで気づいたのが、ボディのあらゆる場所がマットに仕上げられているという点です。キーボード、パームレスト、天板、タッチパッド...ガジェットとしてのセクシーさには欠けますが、徹底して指紋のストレスをなくそうという設計意図が感じられました。

ディスプレイもノングレアタイプ。Windows 10を搭載したマシンとして、タッチ非対応であることには物足りなさを感じるのですが、デザインとしては理解できます。

ツールとしては円熟の域。ただし新鮮さはない

s11_5
私物のVAIO Pro11(右)と。液晶の反射の差がすごい。
Photo: Taro Kanamoto

私はプライベートではソニー時代のVAIO Pro11をいまだに使っています。当時、一番ハイエンドな仕様でオーダーしたので、2017年になったいまでもけっこう使えていますが、そろそろ買い換えたくはあるところ。

じゃあPro11の次にS11を買うの? と聞かれたらNOです。S11の完成度は高いけど、それはあくまで「仕事道具として」「クラムシェル型PCとして」のもので、プライベートでなにかワクワクすることをしたいときのパートナーとしては、S11は高揚感に欠けるというのが正直なところ

また、USB-Cを備えていないのもそうですが、ディスプレイの解像度がフルHDどまりだったり、Windows 10なのにタッチパネルがなかったり、2017年に発売されたモデルとして新鮮さが薄いのも気になりました。

とはいえ、仕事で使い倒すPCとしては高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。MacBook Airのように、むき出しでバッグにいれ、多少の擦り傷も気にせずステッカーを貼って使い倒すWindowsマシン。それがVAIO S11です。価格帯としても、Airあたりが競合相手になりそう。


S11はよくまとまったオトナなPCです。でも、かつてVAIOといえば、ジーンズのポケットに収まるType Pや、ビデオカメラと一体化したGTなど、攻めたコンセプトのマシンをリリースするブランドでした。独立してからのVAIOも、Z Canvasのようなピーキーなマシンをたまーにリリースしています。

やはりファンとしては、そろそろ攻めのVAIOを見たいところ。省電力&省スペースなSnapdragon On Windowsも発表されたことですし、そろそろType Pの後継モデルとか...どうですかね?


(金本太郎)

あわせて読みたい

powered by

こちらもおすすめ