ウェアラブル翻訳機「ili」レビュー:活用するのにコツがいるけど、こりゃ便利
Photo: かみやまたくみ

ウェアラブル翻訳機「ili」レビュー:活用するのにコツがいるけど、こりゃ便利

ほんやくコンニャク的なガジェットではないんですよね〜。

2017年12月6日に先行発売されたウェアラブル翻訳機「ili(イリー)」。先行発売分が1時間で売り切れるという人気っぷり。さっそく購入して使ってみました(外国旅行には行けなかったので、日本在住の外国人の方にご協力いただいて…という形ですが)。

ボタンを押すだけで自分の発言を翻訳してくれる

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iliの正面。正面上部にあるボタンを押して話しかけ、指を離すと、翻訳されます。側面に見える2つのボタンは、電源ボタンと翻訳言語切り替えボタン Photo: かみやまたくみ

これは何?:小型軽量な翻訳機

価格:18,144円(税込)

好きなところ:わりと頼りになる

好きじゃないところ:声が変…

iliは旅行に特化したハンディサイズの翻訳機です。使い方自体は、以下の動画に示すようにとてもシンプル。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

ボタンを押して話しかけ、指を離せば翻訳してくれます。

しかも、翻訳エンジンを内蔵しており、ネット接続は不要。海外ではネット接続できないこともあるので、いつでも使えるという安心感があります。加えて、翻訳スピードも十分に速く、ストレスはありません(甲高い読み上げボイスはどうにかならなかったのかって気がしますけど…)。

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背面にはスピーカーがひとつ。翻訳をすぐに読み上げてくれます Photo: かみやまたくみ

これだけだととても便利そうなのですが…。

「一方向翻訳」という弱点──質問しても答えが理解できない

iliの対応言語は英語・中国語・韓国語。とりあえず英語ネイティブと会話してみることにしました。今回は、英会話講師のジョニー・ラウさんにご協力いただきました。

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Photo: かみやまたくみ

まずは思いつくままに、旅行中に使いそうなフレーズを翻訳してみます。

「駅への行き方を教えてください」

「どのバスに乗ればいいですか?」

複雑な文章は訳せないことが多く、なるべく簡潔なセンテンスを選ぶ必要があります。その上で、細かな文法ミスや単語の認識ミスなどもある感じですが、ジョニー的には「意味はだいたいわかる」とのこと。実用上は問題ない翻訳精度と言ってよさそうです。

引き続き翻訳を続けようとすると、「ちょっとストップ」とジョニー。

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公式サイトに明記されているように、iliは日常会話やビジネス会話は不得意で、旅行で使う表現以外の翻訳精度はよくありません Photo: かみやまたくみ

ジョニー:根本的な疑問なんだけど、これを使う人は英語がわからないはずだよね? だったら、ぼくが質問に答えても理解できないよね?

使い始めてすぐに翻訳精度云々以前の問題にぶつかりました…。それはiliは一方通行の翻訳しかできないということ。この点、公式サイトにも書かれてはいるのですが、実際使ってジョニーに突っ込まれるまでその内実がよくわかっていませんでした。

どういうことかと言うと、iliが対応している翻訳は以下の3種類のみ。

・日本語→英語

・日本語→中国語

・日本語→韓国語

要するに、自分の言葉を外国語に翻訳することしかできないということ。英語→日本語も、中国語→日本語もできないのですから、iliは外国語を理解する役には立ちません。もちろん、「iliを外国の人と交互に使って双方向コミュニケーションをする」といった使い方もできません。英語版iliを使えば、英語→日本語などの翻訳が可能ではあります。しかし、一方向翻訳という点に変化はなく、逆に日本語→英語の翻訳ができません。iliを通訳代わりに使うことはできないのです。

迂闊に質問をして外国語で回答されると、かえって反応に困るハメになります。じゃあ、どう使えばいいんだろ…?

要望を伝えるためのガジェット

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Photo: かみやまたくみ

今度は、書いている人にとってほぼ未知の言語である韓国語で試してみることにしました。知っているフレーズはカムサムハムニダのみ、ハングルは暗号に見えます。

渋谷にある「Cottea(コッティ)」というお店を訪問。韓国出身のホ・ソンウォンさんが経営されているコーヒーショップです。

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日本に来て8年目のイさんは日本語ペラペラですが、今回は韓国にあるお店にiliを持った外国人がお土産を買いにきたという設定で対応してもらいました Photo: かみやまたくみ

ではさっそく…

「コーヒーを淹れてください」

スッ…

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Photo: かみやまたくみ

「おすすめの豆をください」

スッ…

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日本語→韓国語の翻訳精度も上々。英語同様に、文法的に少しおかしいときもありますが、「言いたいことはわかります」とのことでした Photo: かみやまたくみ

Cotteaで販売されているさまざまなコーヒー豆の中から、イさんのおすすめを買えました。あとはお金を払って帰るだけです。ジョニーのときのように、突っ込まれることはなく、あっけないくらいスムーズ。「領収書を切ってください」という要望もきちんと伝わったし、大成功です。

Cotteaでは、ジョニーの指摘を踏まえてiliの使い方を意識的に変えてみました。ジョニーと会話しているときは、回答が必要な「質問」をしていましたが、今回は自分を要望を端的に伝えるようにしてみました。

お店では、一方向翻訳という弱点は気になりません。お客さんの要望を叶える場であるお店(ホテルやレストラン、土産物屋など)でなら、一方的にでも要望を伝えられれば、目的は達せられます。

これがわかりやすいのが公式サイトの動画。よく観ると、iliが利用されているのはだいたいお店ですね。 動画のふたりは当たり前のようにiliの正しい使い方に気づいていて、すごいなって思いました…。

お店に要望を伝えられるって、とても限定的に見えますけど、それができるってことはお金さえあれば衣食住を確保できるってことです。言葉がわからない土地でそこまでできるなら、かなり自由に過ごせるはずです。

iliが便利かは、旅のスタイルによる

万能のほんやくコンニャクではないことに最初は戸惑いましたが、iliは旅行特化ガジェットとしてコンパクトにまとまっています。ただ、その価値は「一方通行なコミュニケーションでOKな状況」が旅行中にどれだけあるかで変わってきます。

ガイドが付き添ってくれるツアー旅行に行くなら、iliは不要でしょう。その一方で、ひとりで旅行するつもりならiliが使える状況はかなり多いはず。何から何まで自分でやる必要があり、現地の商店で買い物をしたり、ホテルの人に要望を伝える機会も頻繁に訪れるでしょうから(海外出張のサポートとして優秀な気がします)。

でも、よほどの旅好きでないかぎり、空港でレンタルすれば十分でしょう。日常会話もビジネス会話もこなせないiliは、日本にいるときはまったく使い道がないのですから。旅のときだけ手元にあればいいでしょう。

Source: ili, TripFever, Cottea
Reference: ili (EN)

(かみやまたくみ)

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