映画『ブラックパンサー』は政治・文化・テクノロジーが前例のないレベルで混ぜ込んである

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映画『ブラックパンサー』は政治・文化・テクノロジーが前例のないレベルで混ぜ込んである
Image: ©Disney via Gizmodo io9

3月公開となるマーベルのアフリカン・ヒーロー映画『ブラック・パンサー』。

その舞台となるワカンダはヒーロー「ブラック・パンサー」が治める王国であり、アフリカの秘境にある超ハイテク国家として長い間コミック・ファンの間で親しまれてきた国でしたが、それがついに映像化!

一体どんな奇抜でカッコいい国として描かれるのか。今回はワカンダのコンセプト・アートとその世界観の一部を制作陣がio9に語ったインタビューの内容と合わせ紹介します。

若干ネタバレともなるかもしれない内容を含んでいますので、気になる方はお気をつけください。

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Image: ©Disney via Gizmodo io9

まず1枚目はワカンダの「ステップ・タウン」。まさにSFなストリートという感じですが、プロダクション・デザイナーのハンナ・ベルチャーはワカンダのデザインについてこう語っています。


ハンナ・ベルチャー「私たちはワカンダに持たせたかったのはテクノロジー。進化した文明ってどんなものなのかって所がファンが見たいものですからね。でももう一つ、アフリカの部族の伝統というのも持たせたかったので、私たちはそこにも踏み込んで、どうやって新しいものと混ぜていくかを考えたんです」


確かによく見てみると、アフリカ的なトライバルな模様が随所に入っているのがわかりますし、ハイテクっぽい建物の入り口が木の柱で支えられているというのも面白い。また、「ステップ・タウン」はそれぞれの地区はニューヨークのマンハッタンをベースにしながら考えたとも語っています。


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Image: ©Disney via Gizmodo io9

トライバルといえば、ワカンダ王ティチャラ=ブラック・パンサーの専用機「ロイヤル・タロン」のデザインも凄い。正面から見ると「アベンジャーズ」なども乗っていた「クイン・ジェット」のようなのですが、何と上から見るとアフリカの仮面の形になっているんだとか。

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Image: ©Disney via Gizmodo io9

そしてこれティチャラの妹でワカンダの技術開発のリーダーを努めるシュリの研究室のコンセプトアート。一般的なSF研究室と比べるとかなり奇抜な構造をしており、ここにも随所にトライバルな意匠が施されています。

16才にしてトニー・スタークに匹敵する天才であるとも言われているシュリに関して、主演のチャドウィック・ボーズマンはこう語っています。

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Image: ©Disney via Gizmodo io9


チャドウィック・ボーズマン「スーパーヒーローに幼い妹がいるというだけで珍しいことで、それがブラックパンサーというキャラクターを独自にしていると思います。もちろん守るべき対象として出てくることはあったと思いますが、この映画にはそんな囚われのお姫様的なキャラクターは出てこないんですよ」


ちなみに今作にはドーラ・ミラージュと呼ばれる女性だけで構成されたワカンダ王の親衛隊も登場し、ブラックパンサーにも負けず劣らず大暴れするという、強い女性がぞろぞろ出てくる映画になりそうです。

とにかくそんな天才が誕生するハイテク国家として発展させた理由のひとつが、ワカンダで採れる希少金属の「ビブラニウム」。マーベルの映画シリーズでは、キャプテン・アメリカの盾の素材としても知られていますが、実はさまざまなものに応用できる凄い金属。プロデューサーのネイト・ムーアはその金属とワカンダの発展についてこう語っています。


ネイト・ムーア「ビブラニウムを持っていると世界に知られていたら、ワカンダは征服されてしまうか、少なくともずっと戦争をする羽目になっていたでしょう。だから彼らはビブラニウムを持っていることを世界から隠すという賢いことをしました。そうすることで戦争や自衛ではなく、インフラにお金を投じて発展してきたんですよ。」



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Image: ©Disney via Gizmodo io9

そしてこちらはワカンダの玉座の間。アフリカ的な塚の上に玉座が置かれ、その周囲はガラス張りになっているという、テクノロジーと伝統文化とのミックスというテーマに則ったものとなっています。

しかし、そんなワカンダの王座も『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で起こったワカンダの王ティチャカの死後、ティチャラ=ブラック・パンサーが継ぐことになり、ワカンダに緊張が走るというのが映画のストーリー。

チャドウィック・ボーズマンも、「最初はスーパーヒーローではなく、政治的な混乱を描く作品になる」と語っています。

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Image: ©Disney via Gizmodo io9

そんな混乱の中に登場するのが今作のヴィラン「エリック・キルモンガー」は、自分としては正しいことをしていると思っている革命家タイプで、ただの自分の欲を満たすために権力を欲しているわけではないという面白いタイプのヴィランになる様子。

予告を見る限り、ブラックパンサーと似たスーツを着ているシーンもありますが、コミックではちょっと斬新な攻撃をワカンダに仕掛けてきた(ネタバレになるかもしれないので詳細は割愛)キャラクターなので、その辺りも楽しみですね。

元記事の著者であるCharles Pulliam-Mooreさんも指摘している通り、マーベルでは『ソー』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』など今まで新文明を紹介してきたSF作品がありましたが、今作はそんな新文明を地球の上に誕生させ、ちゃんとアフリカの伝統に絡めてリアルにしているというのがやっぱり凄いところ。

とにかくストーリーの中でテクノロジーと政治に伝統文化がミックスされているというのが新しく、面白い。そんな映画『ブラックパンサー』は2018年3月1日(木)公開!!


Image: ©Disney via Gizmodo io9
Source: Gizmodo io9(1, 2

傭兵ペンギン